昭和電工が手掛ける半導体向け高純度ガスの需要が拡大している。半導体や液晶、発光ダイオード(LED)などの生産工程で使うガスで、いずれも高い伸びを示している。同社は需要が増えているアジア地域で生産能力を引き上げ、物流の拠点の整備に動く。森川宏平・執行役員情報電子化学品事業部長にアジア市場の戦略を聞いた。
――高純度ガスの需要が伸びている背景を教えてください。
「高純度ガスは複数の種類があるが、いずれも半導体や液晶、LEDなどの生産に欠かせない。半導体シリコンウエハーの出荷量は2013年後半から伸び率が拡大し、14年には前の年に比べ1割強増えた。スマートフォン(スマホ)などハイテク製品だけでなく、自動車や白物家電などに用途が拡大したことが背景にある。昭和電工の高純度ガスの売上高も14年には2割以上増えている」
――需要の拡大を背景に生産能力も引き上げています。
「成膜材料になる亜酸化窒素は韓国企業と生産委託の契約を結び、年間600トンの生産を開始。韓国や中国などに出荷する。臭化水素は日本での生産能力を5割引き上げたばかりだ。13年に能力増強した際は3~4年後に増産すればよいとみていたが、半導体の製造工程の変更で臭化水素の需要が急激に伸びており、増産を前倒しにした」
――高純度ガス事業の強みは何でしょうか。
「高純度ガスは約20種類を手掛けており、半導体メーカーの生産工程が変わっても供給できる製品を持っている。今年から来年にかけても生産能力を引き上げる計画がある。ただ、高純度アンモニアや塩素などは日本で生産すると、コスト競争力の面で劣る。こうした製品は需要が伸び、生産コストの低い海外で増産する考えだ」
――海外の需要増加を受け、物流拠点も拡充しました。
「14年にはシンガポールと台湾で物流設備を増強した。顧客企業の近くに在庫を持ち、物流を効率化することが狙いだ。ただ、工業用ガスは専用の容器で運んでおり、顧客に納めた後も空容器を回収する必要がある。生産能力を増強したのと同じだけ、容器を増やすのは効率が悪い。サプライチェーン管理(SCM)の強化が課題となる」
――具体策はありますか。
「15年半ばをメドにSCMを担当する専門の組織を立ち上げる。容器の効率的な利用や営業・物流拠点の最適な配置を考える。18年までには容器の回転率を現在の2倍に引き上げ、生産の増加に伴うコストの上昇を抑制したいと考えている」
――売上高の目標はどの程度でしょうか。
「15年は前年に比べ1割以上の増加を見込んでいる。年率15%程度増やしていき、18年には400億円を目指す。海外売上高比率は現在の6割から7割に引き上げたい。足元では中国の需要が鈍っている様子はなく、今後は液晶やLED関連が増えるとみている。もっとも、過去に供給過剰に苦しんだ経験がある。多様なガスを手掛けているうえ、自社の販売拠点を海外に持っているのは強み。過大な投資をせず、コスト引き下げの努力を続けたい」
2015年4月21日火曜日
太陽光で燃料電池用水素、東芝が実験、CO2出さず、製造から発電一貫。
東芝は20日、太陽光発電を使い、燃料電池で発電する水素を製造・貯蔵するシステムの実証実験を川崎市で始めたと発表した。水素の製造から燃料電池での発電まで一貫した「地産地消」であることが特徴。猛暑時の補助電源や非常用電源などに活用する。
太陽光発電でつくった電力で水を水素に分解し、この水素をタンクにためる。必要に応じて燃料電池で発電する。水素製造から発電まで二酸化炭素(CO2)を排出しない利点がある。東芝の田中久雄社長は「水素社会の実現へ向けて大きく踏み出す」と強調した。 川崎港近くにある川崎市の施設にコンテナ型のシステム「H2One」を設置し、運転を始めた。従来の燃料電池では都市ガスなどから水素を取り出す際にCO2が出ていたが、今回のシステムではCO2を排出しない。非常時には300人分の電力と温水を1週間供給できる。 東芝は同システムを9月までに発売する計画だ。自治体や鉄道会社向けに非常用電源として売り込み、初年度に50台程度の販売を目指す。大型の蓄電池と比べて3分の2程度のコストで導入できるという。 |
眠れる電源、有効活用、都市の川で発電、ボタン一押しで、大学など実用研究進む。
これまで発電に活用してこなかった身近な場所にあるエネルギーを有効活用する技術の開発に大学などが動き始めた。都市部の川の流れや人の動きなどを活用して発電する。生活環境に潜む小さなエネルギーに着目することで、節電だけでなく、都市で使う電気の一部の地産地消に道を開く。
有効に使われていないエネルギーはさまざまな場所に存在している。たとえば産業部門の廃熱だけでも年間1兆キロワット時に達するといわれる。国内の年間電力消費量に匹敵する数字だが、大半はそのまま捨てられている。ただ、個々のエネルギーの多くは規模が小さい。不安定で、利用コストも高くなる傾向がある。 福岡工業大学の阿比留久徳教授らは都市の平地を流れる川や農業用水で発電できる装置を開発した。幅2メートル、重さ300キログラムで、2枚の板を垂直に水の中に沈める。板は飛行機の翼のように丸みがあり、水流によって魚の尾びれのように左右に振動する。これを回転運動に変え、電気を作る。毎秒1~2メートル程度の流れがあれば発電できる。 橋桁からつるしたり船に乗せたりして使う想定だ。常時稼働させれば照明や空調、炊事など住宅2軒分で使う電気をまかなえる年間9000キロワット時弱の電気を作れる見通し。装置は100万円程度で作製できるとみており、2~3年後の実用化を目指す。「従来の水車は落差のある山間部の川でないと実用的な発電が難しかった」(阿比留教授) 金沢大学の上野敏幸准教授は指を軽く動かす動作で発電できる手のひらサイズの装置を作った。親指でボタンを押すと鉄とガリウムの合金でできた棒が振動して発電する。形が変わると磁力が生じる現象を利用した。1回押すと照明や呼び鈴のリモコンを動かせる程度の電気が得られ、内蔵電池が不要になる。工場や道路などの振動も発電に活用できるという。 1個500円以内で作れる見込みという。機械製造の梶製作所(石川県かほく市)などと協力し、1~2年以内に家電や住宅メーカー向けに試験出荷する計画だ。 神戸市立工業高等専門学校の赤松浩准教授らは下水処理場から出るメタンガスを利用して発電する機器を試作した。処理場のメタンガスは濃度が低く燃やしにくいがプラズマ(電離ガス)を発生させる装置を組み合わせることでガスの状態を変化させ、燃焼しやすくした。材料加工や殺菌などに使う装置を通常の発電に使うアイデアだ。 下水処理場は都市部に近い場所にあり、発電できれば送電の際の損失も減らせる利点がある。数年後の実用化を目指す。 国も未利用エネルギーの活用を目指している。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年度から8年間で120億円以上を投じ、車や工場の廃熱をもとに発電する技術を開発する。ほとんど利用されていない比較的低い温度のセ氏200度以下の熱で効率よく電気を作る。 車向けでは熱を電気に変える材料などの開発を目指す。車はガソリンのエネルギーの約3割を動力に使い、残りは熱や振動になっているという。 |
2015年4月17日金曜日
NEDOなど、磁気軸受を搭載した超高効率モーター用分析評価装置を開発
発表日:2015年4月13日
超高効率モーター用分析評価装置を開発
―世界初、省エネに大きく寄与―
NEDOと高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)(※1)は、モーター電磁損失の分析装置として、磁気軸受(※2)を搭載した超高精度モーター損失分析装置と薄帯状高効率鉄心材料(※3)の応力下磁気特性評価装置を世界で初めて開発しました。
これらの装置を用いて、新規磁性材料の特性を考慮した家電、産業機械、自動車などのモーターの設計および評価を行い、エネルギー損失を従来比25%削減するモーターの実現を目指します。
【用語解説】
※1 高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)
レアアースに依存しない革新的な高性能磁石の開発、さらにはモーターを駆動するための電気エネルギーの損失を少なくする軟磁性材料の開発を行うと共に、新規磁石、新規軟磁性材料を用いて更なる高効率を達成できるモーターの設計技術を開発することで、次世代自動車や家電、産業機械の心臓部であるモーターの省エネ化において競争力を確保することを目的として、2012年9月25日に設立しました。
※2 磁気軸受
磁気浮上による非接触支持を行います。摩耗がないため潤滑油が不要であり、軸受の寿命は半永久的です。
※3 薄帯状高効率鉄心材料
現在、鉄心に用いている電磁鋼板(厚さ0.3~0.6mm)と比べて非常に薄い薄帯(20μm(0.02mm)程度)として製造され、損失が電磁鋼板の1/4~1/3と小さい高効率の鉄心用材料です。
1.概要
モーターの需要は、家電や産業機械向けに加えて、自動車の電動化(HEV,EV,FCV)に伴い、拡大が予想されています。このような状況の中で、モーターの省エネ化は最重要課題の一つです。産業競争力のある小型・高効率モーターを開発するためには、実機モーター組込時の磁性特性を評価する技術や構造設計技術を開発し、その性能・信頼性評価を確立することは省エネ化を実現するために必要不可欠です
NEDOの「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」において、高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)は、モーター・磁性材料技術開発センター(※4)において、エネルギー損失を従来モーター比25%削減する高効率モーターを開発するために、高低温減磁試験評価技術と超高精度モーター損失分析評価技術、薄帯状高効率鉄心材料の磁気特性評価技術の開発に取り組みました。
2.今回の成果
(1)超高精度モーター損失分析評価装置
これまでモーターの損失評価の誤差の原因となっていた機械損失の変動要因低減技術として、磁気浮上し、機械摩擦損失の無い磁気軸受を採用しました。磁気軸受の一方にトルク検出器を介して負荷モーターを取り付け、他方に直接供試モーターを取り付ける構造とすることで、供試モーターの取付け性に優れ、供試モーター側には機械的接触部が一切無い構造としました。これにより、高精度に安定したモーター電磁損失の測定が実現し高精度の損失分析が可能となりました。
(2)薄帯状高効率鉄心材料の特性評価装置
次世代のモーター用鉄心素材として期待される薄帯状材料に応力を加えた際の磁気特性を評価する装置を世界で初めて開発しました。
モーターを回すための電磁石部分を構成する鉄心は、現在は厚み0.3~0.6mmの電磁鋼板を積み上げる構造が主流ですが、この鉄心部分には将来、損失が小さいアモルファス材あるいはナノ結晶材と呼ばれる薄帯状材料が適用されると予想されています。一方、モーターの回転力を支えるために、鉄心部分を強固に固定する必要がありますが、保持する力を加えることで鉄心での損失が増加し、素材の特性が活かせない可能性があります。
今回、髪の毛の太さよりも薄い約20μm厚の材料を折り曲げずに圧縮力を加える技術を新規に開発した結果、磁気特性の低下を定量的に評価できるようになりました。今後はこのデータを用いて、高効率な素材特性を活かしたモーターの設計を進めていきます。
3.今後の予定
エネルギーの損失が少ない高性能軟磁性材料の開発、さらにはこれらの新規磁性材料の性能を最大限に生かして更なる高効率を達成できるモーターの開発を行い、エネルギー損失を従来モーター比25%削減する高効率モーターの実現を目指します。
超高効率モーター用分析評価装置を開発
―世界初、省エネに大きく寄与―
NEDOと高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)(※1)は、モーター電磁損失の分析装置として、磁気軸受(※2)を搭載した超高精度モーター損失分析装置と薄帯状高効率鉄心材料(※3)の応力下磁気特性評価装置を世界で初めて開発しました。
これらの装置を用いて、新規磁性材料の特性を考慮した家電、産業機械、自動車などのモーターの設計および評価を行い、エネルギー損失を従来比25%削減するモーターの実現を目指します。
【用語解説】
※1 高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)
レアアースに依存しない革新的な高性能磁石の開発、さらにはモーターを駆動するための電気エネルギーの損失を少なくする軟磁性材料の開発を行うと共に、新規磁石、新規軟磁性材料を用いて更なる高効率を達成できるモーターの設計技術を開発することで、次世代自動車や家電、産業機械の心臓部であるモーターの省エネ化において競争力を確保することを目的として、2012年9月25日に設立しました。
※2 磁気軸受
磁気浮上による非接触支持を行います。摩耗がないため潤滑油が不要であり、軸受の寿命は半永久的です。
※3 薄帯状高効率鉄心材料
現在、鉄心に用いている電磁鋼板(厚さ0.3~0.6mm)と比べて非常に薄い薄帯(20μm(0.02mm)程度)として製造され、損失が電磁鋼板の1/4~1/3と小さい高効率の鉄心用材料です。
1.概要
モーターの需要は、家電や産業機械向けに加えて、自動車の電動化(HEV,EV,FCV)に伴い、拡大が予想されています。このような状況の中で、モーターの省エネ化は最重要課題の一つです。産業競争力のある小型・高効率モーターを開発するためには、実機モーター組込時の磁性特性を評価する技術や構造設計技術を開発し、その性能・信頼性評価を確立することは省エネ化を実現するために必要不可欠です
NEDOの「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」において、高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)は、モーター・磁性材料技術開発センター(※4)において、エネルギー損失を従来モーター比25%削減する高効率モーターを開発するために、高低温減磁試験評価技術と超高精度モーター損失分析評価技術、薄帯状高効率鉄心材料の磁気特性評価技術の開発に取り組みました。
2.今回の成果
(1)超高精度モーター損失分析評価装置
これまでモーターの損失評価の誤差の原因となっていた機械損失の変動要因低減技術として、磁気浮上し、機械摩擦損失の無い磁気軸受を採用しました。磁気軸受の一方にトルク検出器を介して負荷モーターを取り付け、他方に直接供試モーターを取り付ける構造とすることで、供試モーターの取付け性に優れ、供試モーター側には機械的接触部が一切無い構造としました。これにより、高精度に安定したモーター電磁損失の測定が実現し高精度の損失分析が可能となりました。
(2)薄帯状高効率鉄心材料の特性評価装置
次世代のモーター用鉄心素材として期待される薄帯状材料に応力を加えた際の磁気特性を評価する装置を世界で初めて開発しました。
モーターを回すための電磁石部分を構成する鉄心は、現在は厚み0.3~0.6mmの電磁鋼板を積み上げる構造が主流ですが、この鉄心部分には将来、損失が小さいアモルファス材あるいはナノ結晶材と呼ばれる薄帯状材料が適用されると予想されています。一方、モーターの回転力を支えるために、鉄心部分を強固に固定する必要がありますが、保持する力を加えることで鉄心での損失が増加し、素材の特性が活かせない可能性があります。
今回、髪の毛の太さよりも薄い約20μm厚の材料を折り曲げずに圧縮力を加える技術を新規に開発した結果、磁気特性の低下を定量的に評価できるようになりました。今後はこのデータを用いて、高効率な素材特性を活かしたモーターの設計を進めていきます。
3.今後の予定
エネルギーの損失が少ない高性能軟磁性材料の開発、さらにはこれらの新規磁性材料の性能を最大限に生かして更なる高効率を達成できるモーターの開発を行い、エネルギー損失を従来モーター比25%削減する高効率モーターの実現を目指します。
JFEスチールスチール研究所主任研究員大山伸幸氏――天然ガス、コークス代替
| 生産効率向上、CO2減 製鉄業は原料から高品質の鋼をどれだけ効率的に取り出せるかが収益力を左右する。JFEスチールは鉄鉱石の事前処理方法を見直し、コークスの一部を液化天然ガス(LNG)で代替してエネルギー使用量を減らす技術を開発した。中国鉄鋼大手の大量生産を背景にコスト競争は激化している。技術開発で競争力を維持する考えだ。 鉄は鉄鉱石と石炭由来のコークスを高炉内部で反応させて取り出す。粉状の鉄鉱石をそのまま投入すると内部の熱風の流れを妨げるため、事前に少量のコークスを燃料として混ぜ、焼き固めて焼結鉱にする。 幅5メートル、長さ数十メートルの巨大なベルトコンベヤー上で燃やされた焼結鉱のうち、高炉に投入できるのは一定の強度がある約8割。約2割が不良品として再び焼結工程に入れられていた。 「歩留まりを高めるにも二酸化炭素(CO2)排出量を減らすにも、コークスにはこれ以上頼れない」。スチール研究所福山地区で上工程の製造技術を研究する大山伸幸主任研究員は、新技術「Super―SINTER(スーパーシンター)」でLNGを採用した経緯をこう説明する。 旧川崎製鉄時代の研究で、歩留まりが悪い主因は最適な燃焼温度が維持できていない点である事は判明していた。良質な焼結鉱はセ氏1200~1400度で燃やすと生成するが、自然燃焼に任せる従来法では短時間しか保てず、良質品は2割しか製造できない。 「気体燃料を原料の上部から吹き込み内部に送り込めば自在に温度制御できるのでは」。大山氏は研究所内で試験装置を製作。粉状の鉱石の隙間にLNGを確実に送り込むため、最適な吹き出し速度やLNGの量、ノズルの形状などを選定した。コークスの使用量は8%減った一方で適正温度維持の時間は約2倍に延びた。CO2排出量は焼結機1台あたり年間6万トン減らせる。 高熱の鉄鉱石にLNGを吹き付ける方法に、社内からはリスクが高いと懸念する声も上がった。実用化を後押ししたのは2003年に川鉄と旧NKKと経営統合し、「燃焼系の研究に強い」(大山氏)旧NKKの研究部門と知見を共有できたためだ。 旧NKKの拠点だった東日本製鉄所京浜地区(川崎市)は隣接する東京ガス工場から高炉へLNGを供給するパイプラインがあったことも開発を加速した。実用化第1号機には京浜地区の焼結機が選ばれ、09年に量産に成功。全国4地区の焼結機に順次導入が進んだ。 さらなる生産効率アップのため、LNGに加え酸素ガスも吹き込む次世代機も14年に開発済み。歩留まりは9割に改善し生産スピードも高まった。良質品も約4割と「理論値に近い」(大山氏)水準に達している。 世界で採掘される鉄鉱石は今後、粒子が細かく鉄の含有率の低い鉱石がさらに増える見通し。原料の事前処理技術はコスト改善のためにいっそう重要となる。微粉状の鉱石は焼結時間がより多くかかるためだ。大山氏は「造粒方法などさらなる技術開発を続けたい」と語る。原料の低質化に技術開発が間に合うか、時間との争いが続く。(林さや香) 〈施設概要〉 ▽設立時期 2003年4月 ▽場 所 広島県福山市など全国6カ所 ▽人 員 890人 ▽事業分野 製銑、製鋼、圧延など上工程の技術開発および鋼材製品開発 |
2013年5月16日木曜日
太陽光発電用シリコン、砂漠の砂から生産、弘前大研究所、低コストで。
砂漠などに大量に存在する二酸化ケイ素(シリカ)から太陽光発電用の太陽電池の材料に使う高純度シリコンを低コストで生産する新しい技術を、弘前大学の北日本新エネルギー研究所(青森市)が開発した。アフリカのサハラ砂漠に近いアルジェリアのオラン科学技術大学と連携し、今秋から実証実験を始める。
同研究所の伊高健治准教授らの研究グループが、砂から精製したシリカを、るつぼの中でセ氏1800度程度の高温で炭素還元してシリコンを取り出すことで不純物の割合を少なくする方法にめどをつけた。 サハラ砂漠の砂に含まれるシリカからシリコンを大量生産し、サハラ砂漠に建設する太陽光発電所で発電した電気を抵抗の少ない超電導直流電線を使って欧州などへ送る「サハラソーラーブリーダー計画」の一環。 科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の助成を受け、2010年から弘前大や中部大学などが共同で進めている。 計画を主導する東京大学大学院の鯉沼秀臣客員教授は「大量の電気を低コストで生産、世界中でその電気を融通し合うシステムが可能になる」と話している。 |
2013年1月31日木曜日
ホンダ―家庭用熱電併給システム、光熱費、年5万円節約
ガスで発電し、排熱を給湯や暖房に使うホンダの熱電併給システムがじわじわと普及している。納入先のガス会社は同様の働きをする家庭用燃料電池「エネファーム」に注力するが、2011年の東日本大震災以降は販売が上向いている。
同システムは都市ガスを燃料にエンジンで発電し、その際発生する熱を回収、再利用する仕組み。給湯暖房ユニットと組み合わせると光熱費を年約5万円節約できるという。家庭用を手掛けるのはホンダだけだ。
03年に商品化し、東京ガスなどガス会社が「エコウィル」の商品名で80万円程度で販売している。11年に全面改良し現行機を発売。33%小型化する一方、発電効率を従来の22・5%から26・3%に高めた。
ガス会社が09年にエネファームを発売しており、改良当初は販売が伸び悩んだ。だが、「大震災で分散電源への関心が高まった」(大阪ガス)ことから、エコウィルの販売が多い大阪ガスの12年4~12月の販売台数は4033台となり、前年度を上回るペースで推移している。
ホンダは12年11月に停電時にも使用できる機能が付いたモデルを追加した。12年末までの約10年間の販売台数は計12万4000台。四輪、二輪に次ぐ汎用製品の主力製品として地道に販売する考えだ。
(遠藤淳)
注文住宅などの城南建設(相模原市、黒羽秀朗社長)が1999年に発売した木造戸建て住宅「檜(ひのき)物語」が好評だ。柱や梁(はり)など主要な建材に強度の高い国産のヒノキを採用。これまでに累計約2万棟を販売した。
ヒノキはシロアリ被害や経年の腐食に強い高級建材。きめ細かい木目も特徴で、和室などのデザインにそのまま活用すれば高級感を演出できる。
一方で、建設後の湿度変化によって木が収縮し、割れる恐れがある。あらかじめ切れ込みを入れ「あそび」をもたせて収縮量を調整する手法もあるが、強度が落ちるのが難点。同社は独自の乾燥手法で切れ目を入れずに製材し強度を保つ。
ヒノキは一般的な集成材に比べ6割程度価格が高くなる。森林組合や製材工場と組み独自の調達経路を開拓、原価を抑えて通常の材木と同等の工費で建設できるようにした。
販売価格は1480万円(延べ床面積90平方メートル)と大手ハウスメーカーに比べ数割安く抑える。今月26日には、最小限の骨組みで開放的な印象を与える「シースルー階段」などを標準仕様に追加。デザインにこだわる消費者の取り込みにも力を入れている。
2013年1月30日水曜日
太陽電池向け、集光シート発電量3割増、VBの光エネルギー研、微細な突起、安価型。
光学部品開発ベンチャーの光エネルギー研究所(茨城県つくば市、尾崎豊社長)は太陽電池の発電量を大幅に高める安価な集光シートを開発した。太陽電池のパネル表面に張り付ければ、様々な角度から来る太陽光を取り込める。実験で太陽電池の発電量が約3割増えるのを確認した。3月からサンプル出荷を始める。1平方メートル当たり7000円で販売する予定だ。
集光シートは30日から東京都内で開くナノテクノロジー(超微細技術)の国際展示会の「nano tech 2013」に出展する。 開発したシートは、太陽電池パネルの上に張り付ける。厚さ約100マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの透明シートの表面に、高さ100マイクロ~300マイクロメートルの突起が整然と並んだ構造。シートのどの方向から当たった光も突起がレンズの役割を果たして、シートと垂直方向に曲げて下に通す。 これにより、太陽電池に集まる光の量が増える。従来の太陽電池は、斜めから当たった光の多くが反射してしまい、有効活用できなかった。 実験では、シリコンを用いる一般的な太陽電池を使い、1カ月間の発電量を測定した。屋根の上で水平に置いた太陽電池はシートに張ると、通常より発電量が約32%高まった。 また、太陽電池の水平方向から光を当てた場合の光の吸収率を、コンピューターでシミュレーション(模擬実験)した。シートを張った場合、光の96・2%を吸収できた。シートがない場合は38・7%だった。 シートの突起は紫外線を当てると固まる樹脂で作った。現在の生産能力は1日当たり約1平方メートル。3月をめどに同250平方メートルに高める計画だ。集光シートのアイデアは従来もあったが、集光効果が高い微細な突起を並べたタイプはなかったという。 シートは太陽電池のほか、液晶ディスプレーのバックライトなどと組み合わせることも可能。ディスプレーを自然光を取り込める構造にすれば、屋外などでも鮮明な画像が見られる。また、ポスターの裏にシートを張ると、窓から光が差し込んでもポスターが鮮明に見える。 |
2013年1月29日火曜日
持ち運べる燃料電池、ボンベ1本で運転
| ■産業技術総合研究所 28日、持ち運べる燃料電池システムを開発したと発表した。市販の液化石油ガス(LPG)カセットボンベ1本で24時間連続運転できるという。災害時や野外でも電子機器を使えるようにする。2~3年後の実用化を目指す。 試作システムは縦23センチメートル、横約25センチメートル、高さ約13センチメートル。重さは5キログラム程度。出力は50ワット。電圧は電池のつなぎ方によって5~36ボルトという。 微小な固体酸化物形燃料電池を36本入れた。燃料電池をバーナーで燃焼した排ガスで温め、LPGを供給して発電する。2分以内に5ボルトで動く発光ダイオード(LED)ライトを点灯できた。 従来はLPGをいったん高価な貴金属の触媒を入れた装置で処理する必要があった。今回、電極にナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの酸化セリウムを採用、LPGから直接発電できるようにした。 |
2013年1月24日木曜日
次期有人潜水艇、深度1万メートル超え、海洋機構が長期計画。
| 海洋研究開発機構が今後15年程度の研究開発目標を盛り込んだ「長期ビジョン」を5年ぶりに改定した。海底下のメタンハイドレートやシェールガスといったエネルギー資源の利用技術を開発する。津波や高波に関する災害情報を常時発信し、防災に役立てる。 2014年度から5年間の次期中期計画には、新型の深海潜水艇の開発を盛り込む方針。現在の「しんかい6500」を上回る1万1000メートルの深さまで潜れる有人潜水艇の開発に着手する。 大型探査船「ちきゅう」=写真=を使い、海底下7000~8000メートルのマントル上部まで掘り抜く「マントル掘削」で世界初の成功を目指す。 海洋機構の年間予算は約400億円。新型潜水艇の開発などを計画通りに進められるかどうかは不透明だ。 |
2013年1月22日火曜日
超電導ケーブルで送電、省エネへ実用化探る、国内で相次ぎ実験開始。
発電した電気を無駄なくほぼ100%送れる超電導ケーブルを使った送電実験が国内で相次いで始まった。送電時の電力損失を減らせるので、現在の銅ケーブルなどから置き換えれば大幅な省エネにつながる。超電導技術は日本の得意分野だが、実用化への取り組みは遅れていた。実験を積み重ねることで、既存の送電インフラの更新の一部置き換えを狙う。
「超電導ケーブルで送った電気を、超電導ケーブル用の線材生産に使う」。頭が混乱しそうな発言の主は住友電気工業の林和彦・超電導製品開発部長だ。同社は今月7日、大阪市内にある自社工場内で超電導送電の実験を始めた。
関西電力から供給された電気を70メートルの超電導ケーブルを使い、3300ボルト、200~400アンペアで超電導線材の生産工場に送る。「自社の実験データを示しながら、超電導ケーブルを様々な産業分野での採用につなげたい」(林部長)。電気を大量に使うデータセンターや化学・鉄鋼メーカーの工場などが超電導ケーブルを採用すれば、省エネにつながる。実験を通じ事業拡大を目指す。
超電導ケーブルはセ氏零下196度の液体窒素で冷やすと、電気の流れを妨げる抵抗がゼロになる。銅ケーブルでは送電途中で約5%が熱になり失われてしまうが、超電導ケーブルなら損失をほぼ半分にできる。
銅ケーブルや住友電工の実験は電気を交流で送る方式だが、直流にすれば損失は約0・5%と、さらに省エネ効果が高まる。太陽光発電とも相性がよい。直流方式の実験も今年、北海道石狩市で始まる見通しだ。
中部大学の山口作太郎教授を中心に、自治体などが協力。さくらインターネットが運営するデータセンターの近くに大規模太陽光発電所(メガソーラー)を新たに設置し、300~500メートルの超電導ケーブルで電気を送る。太陽光発電で生み出す電気は直流で、コンピューターで使う際も直流。銅ケーブルでは送るときだけ交流にしていた。直流のままなら電気を変換する必要がなく、変換時の発熱などを抑えられる。
このプロジェクトへの企業の関心も高い。超電導ケーブル、冷凍機、化学、鉄鋼、電機、建設などの企業に参加を呼びかけており、30社以上が参加を検討しているという。国の助成が得られれば、北海道電力の変電所から約2キロメートルのケーブルを使ってデータセンターまで直流で送る実験にもとりかかる計画だ。
山口教授は「電気抵抗による損失や発熱がなくなれば、空調の費用も減る。データセンター全体で40%以上の省エネになる」と期待を込める。東京電力も昨年10月、横浜市内の変電所で住友電工、前川製作所と共同開発した超電導送電システムを日本で初めて実際の電気系統に接続するなど、動き出している。
米国やロシア、中国などは日本メーカーの技術も活用し、一足先に超電導送電の実験を始めている。スマートフォン(スマホ)のように、日本勢の役割が主に部品供給にとどまり、製品化や実用化で後れを取る可能性もある。相次ぐ実験をいかに早く実用に結びつけるかが今後の課題になりそうだ。
2011年7月15日金曜日
新エネの可能性風力(上)太陽光より普及の壁高く
太陽光や風力などでつくった電気の全量買い取りで再生可能エネルギーの導入拡大を狙った再生エネルギー特別措置法案の国会審議が14日始まった。「脱原発依存」を表明した菅首相は成立に強い意欲を示している。
再生可能エネルギーと言えば太陽光が代表格だが、国内で最も導入余地が大きいのは風力だ。環境省の試算(洋上風力発電を含む)によれば、買い取り制度に技術革新と事業費補助が加わった場合で導入可能量は15億キロワットに達する。大型太陽光発電所などの建設が見込まれる非住宅分野の太陽光発電の10倍以上だ。
ただ、従来は国が風力発電所の建設費の3分の1を補助する制度があったが、買い取り制度導入と引き換えの形で先行して打ち切られており、シナリオのように買い取り制度と補助金の「併用」になるかどうかは不透明だ。実際、補助打ち切りの影響で、昨年度の風力発電の新規導入量は26万キロワットと09年度比13%減少した。
風力発電は可能性は豊かだが、導入に向けた壁は結構高い。風車の回転で発生する低周波音が人の健康に悪影響を及ぼす問題もその一例だ。風車に鳥が衝突する「バードストライク」も生態系保全の観点から問題視されている。環境省は出力1万キロワット以上の風力発電所を建設する際に環境アセスメント(事前評価)を義務付ける方針だ。再生可能エネルギー導入促進と環境保全の板挟みになっている状況だ。洋上の場合も立地を巡って漁業者との調整が必要になる可能性がある。
全量買い取り制度が実現すれば追い風になるが、それで順風満帆というわけにはいかない。風力の可能性を引き出すには規制の見直しや利害調整など環境整備が欠かせない。
再生可能エネルギーと言えば太陽光が代表格だが、国内で最も導入余地が大きいのは風力だ。環境省の試算(洋上風力発電を含む)によれば、買い取り制度に技術革新と事業費補助が加わった場合で導入可能量は15億キロワットに達する。大型太陽光発電所などの建設が見込まれる非住宅分野の太陽光発電の10倍以上だ。
ただ、従来は国が風力発電所の建設費の3分の1を補助する制度があったが、買い取り制度導入と引き換えの形で先行して打ち切られており、シナリオのように買い取り制度と補助金の「併用」になるかどうかは不透明だ。実際、補助打ち切りの影響で、昨年度の風力発電の新規導入量は26万キロワットと09年度比13%減少した。
風力発電は可能性は豊かだが、導入に向けた壁は結構高い。風車の回転で発生する低周波音が人の健康に悪影響を及ぼす問題もその一例だ。風車に鳥が衝突する「バードストライク」も生態系保全の観点から問題視されている。環境省は出力1万キロワット以上の風力発電所を建設する際に環境アセスメント(事前評価)を義務付ける方針だ。再生可能エネルギー導入促進と環境保全の板挟みになっている状況だ。洋上の場合も立地を巡って漁業者との調整が必要になる可能性がある。
全量買い取り制度が実現すれば追い風になるが、それで順風満帆というわけにはいかない。風力の可能性を引き出すには規制の見直しや利害調整など環境整備が欠かせない。
富士フイルム、工場間で電力融通体制、東電管内、富士宮の自家発活用。
富士フイルムは、東京電力管内にある拠点間で自家発電の電力を融通できる体制を整えた。今夏義務付けられた使用最大電力の15%削減が難しくなった場合に融通を実施し、東電からの購入電力を減らすことで削減率を確保する。空調や照明などの節電を優先するが、緊急時のリスク対策として、東電の送電線を通じて電力を送る託送契約を同社と結んだ。
政府の電力使用制限は契約電力500キロワット以上の事業所に15%削減を義務付けており、同社では東電管内で15拠点が対象になっている。同社は15拠点をまとめて合計の使用最大電力を削減する手法をとっている。削減の基準値となる昨夏の使用最大電力は計約5万7000キロワット。
電力融通に活用するのは、医療用のレントゲンフィルムなどを製造する富士宮工場(静岡県富士宮市)の自家発電設備。天然ガスを燃料とするコージェネレーション(熱電併給)システムがある。発電能力は明らかにしていないが、数万キロワット規模とみられる。
東電管内ではほかに神奈川工場足柄サイト(神奈川県南足柄市)など2カ所にも自家発電設備があるが、富士宮工場の設備が最も発電余力があるという。
同社は効果的な節電に向け、東電管内の15拠点のうち、電力使用量の95%を占めている11拠点に、使用量を計測・把握するシステムを導入。拠点ごとの使用電力量を本社や各拠点で逐次把握できる。15拠点合計の使用電力の動きを推定し、猛暑などで通常の節電策を使っても15%削減が難しいと判断した時に電力の融通を実施する。
富士宮工場は工場で必要な電力の多くを既に自家発電設備で賄っているもよう。このため託送をせずに同工場で自家発電の電力の使用量を増やして東電からの購入電力を減らすという調整は難しいとみられる。
同社は神奈川県にある研究所に設置している大容量蓄電設備のナトリウム硫黄(NAS)電池も活用し、夜間にためた電力を昼間に使う取り組みも進めている。節電目標を達成しながら生産への影響を避ける方針で、「想定外の事象が起こった場合のリスク対策として」拠点間で電力を融通できる仕組みを構築した。
政府の電力使用制限は契約電力500キロワット以上の事業所に15%削減を義務付けており、同社では東電管内で15拠点が対象になっている。同社は15拠点をまとめて合計の使用最大電力を削減する手法をとっている。削減の基準値となる昨夏の使用最大電力は計約5万7000キロワット。
電力融通に活用するのは、医療用のレントゲンフィルムなどを製造する富士宮工場(静岡県富士宮市)の自家発電設備。天然ガスを燃料とするコージェネレーション(熱電併給)システムがある。発電能力は明らかにしていないが、数万キロワット規模とみられる。
東電管内ではほかに神奈川工場足柄サイト(神奈川県南足柄市)など2カ所にも自家発電設備があるが、富士宮工場の設備が最も発電余力があるという。
同社は効果的な節電に向け、東電管内の15拠点のうち、電力使用量の95%を占めている11拠点に、使用量を計測・把握するシステムを導入。拠点ごとの使用電力量を本社や各拠点で逐次把握できる。15拠点合計の使用電力の動きを推定し、猛暑などで通常の節電策を使っても15%削減が難しいと判断した時に電力の融通を実施する。
富士宮工場は工場で必要な電力の多くを既に自家発電設備で賄っているもよう。このため託送をせずに同工場で自家発電の電力の使用量を増やして東電からの購入電力を減らすという調整は難しいとみられる。
同社は神奈川県にある研究所に設置している大容量蓄電設備のナトリウム硫黄(NAS)電池も活用し、夜間にためた電力を昼間に使う取り組みも進めている。節電目標を達成しながら生産への影響を避ける方針で、「想定外の事象が起こった場合のリスク対策として」拠点間で電力を融通できる仕組みを構築した。
2011年7月9日土曜日
原発並み出力の太陽光発電、サウジで実用実験、東大・シャープ
東京大学とシャープなどは独自開発の太陽光発電システムの大規模な実験をサウジアラビアの砂漠で実施する。日射量などを調べて実験地を決定し、年内にも開始する。5年後をメドに出力100万キロワット級の商用設備を現地に完成させ、原子力や火力に代わる主力エネルギー源を目指す。
実験するのは太陽光をレンズで集める「集光型」と呼ぶ太陽光発電システム。東大とシャープは光を電気に変える変換効率が42%と世界最高レベルの太陽電池を開発済み。こうした先端技術などの実用化を日揮、Jパワー、日本政策投資銀行と目指している。
サウジの国立エネルギー研究機関「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)」と協力し、まず出力約10万キロワットの実証システムを設けて実験する。改良しながら出力を10倍に拡大していく。
大半の太陽光発電所は出力が数十万キロワット。原子力発電所1基は100万キロワット前後なので、太陽光発電を主力エネルギーにするには同等かそれ以上の性能が必要になる。また、太陽電池の変換効率が10~20%台と低く、広大な土地に多数並べないと発電量を稼げない。
共同チームは変換効率が42%の集光型システムなら、少ない太陽電池で大電力を生み出せるとみている。広大な土地の確保が必ずしも必要ではなくなるほか、送電や建設のコストも抑えられ、電気代を既存電力レベルに近づけられるという。
サウジは石油に代わる資源確保が課題。実験の誘致は太陽光発電の関連産業を集積して育成する狙いもある。共同チームは実験を通じてサウジをはじめ海外企業などにシステムを売り込む考え。
砂漠での太陽エネルギーの実験としては、アブダビ首長国で太陽の熱を利用する太陽熱発電システムの試みがある。太陽光発電システムの実験も各国が構想を練っているという。
実験するのは太陽光をレンズで集める「集光型」と呼ぶ太陽光発電システム。東大とシャープは光を電気に変える変換効率が42%と世界最高レベルの太陽電池を開発済み。こうした先端技術などの実用化を日揮、Jパワー、日本政策投資銀行と目指している。
サウジの国立エネルギー研究機関「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)」と協力し、まず出力約10万キロワットの実証システムを設けて実験する。改良しながら出力を10倍に拡大していく。
大半の太陽光発電所は出力が数十万キロワット。原子力発電所1基は100万キロワット前後なので、太陽光発電を主力エネルギーにするには同等かそれ以上の性能が必要になる。また、太陽電池の変換効率が10~20%台と低く、広大な土地に多数並べないと発電量を稼げない。
共同チームは変換効率が42%の集光型システムなら、少ない太陽電池で大電力を生み出せるとみている。広大な土地の確保が必ずしも必要ではなくなるほか、送電や建設のコストも抑えられ、電気代を既存電力レベルに近づけられるという。
サウジは石油に代わる資源確保が課題。実験の誘致は太陽光発電の関連産業を集積して育成する狙いもある。共同チームは実験を通じてサウジをはじめ海外企業などにシステムを売り込む考え。
砂漠での太陽エネルギーの実験としては、アブダビ首長国で太陽の熱を利用する太陽熱発電システムの試みがある。太陽光発電システムの実験も各国が構想を練っているという。
2011年7月7日木曜日
豊橋技科大、粒子混合で新技術、透明な樹脂を導電体に
豊橋技術科学大学の武藤浩行准教授は6日、絶縁体の樹脂を電気が流れるよう改良する新技術を開発したと発表した。樹脂の粒子と導電体の粒子をそれぞれ正と負に帯電させて混ぜる。成形すると透明性を保ったままどの方向にも電気が流れる材料を作れる。様々な異種原料同士の組み合わせに応用できるという。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの成果。電機や食品メーカー6社と応用に向けた共同開発に着手した。
今回、電気がよく流れるアクリル樹脂を作ることに成功した。樹脂の微粒子を陽イオンの分散剤、導電性があるカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を陰イオンの分散剤に入れてそれぞれを正と負に帯電させた。両者を純水中で混ぜると樹脂の表面にナノチューブが均質に付着した。
この粒子を型に入れて加熱圧縮すると導電性材料になる。黒色のナノチューブの配合量は、樹脂に対して1万分の1以下と少ないため透明性を保つ。新技術は他の粒子同士にも応用でき、例えば砂糖を塩で覆ったような調味料の作製も可能だという。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの成果。電機や食品メーカー6社と応用に向けた共同開発に着手した。
今回、電気がよく流れるアクリル樹脂を作ることに成功した。樹脂の微粒子を陽イオンの分散剤、導電性があるカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を陰イオンの分散剤に入れてそれぞれを正と負に帯電させた。両者を純水中で混ぜると樹脂の表面にナノチューブが均質に付着した。
この粒子を型に入れて加熱圧縮すると導電性材料になる。黒色のナノチューブの配合量は、樹脂に対して1万分の1以下と少ないため透明性を保つ。新技術は他の粒子同士にも応用でき、例えば砂糖を塩で覆ったような調味料の作製も可能だという。
2011年7月6日水曜日
次世代火力発電、NOx抑える技術開発、日立が試作機、希釈剤装置不要に
日立製作所は4日、環境負荷が小さい次世代の火力発電設備で、窒素などの希釈剤を使わずに大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)の発生を抑える技術を開発したと発表した。従来は燃料の主成分である水素の燃焼温度が高くなるほどNOxが増えるため、希釈剤を投入する必要があった。燃料に空気を急速に混ぜ、燃焼温度の上昇を防ぐガスタービン用燃焼器を試作。希釈剤を扱う専用装置が不要になり設備投資が減らせる。
石炭をガス化してから燃やす石炭ガス化複合発電(IGCC)に、二酸化炭素(CO2)を地下に封じ込める回収・炭素貯留(CCS)技術を組み合わせた火力発電設備への技術活用を想定している。IGCCは石炭ガスでガスタービンを回すとともに蒸気も発電に使う方式で、従来の石炭火力より発電効率が高く、CO2排出量が減る。
試作したのはガスタービンに組み込む燃焼器で、CCSでCO2を回収した後に使う。燃料ノズルの形状と位置を工夫し、燃料と空気が空気孔内で小さな渦を作り、そこを抜けると混ざり合う仕組みにした。水素の燃焼温度は通常セ氏2000度にのぼりNOxの排出が多いため、従来は大量の希釈剤を投入し温度を下げていた。
試作機は実験でのNOx発生量が10PPM(PPMは100万分の1)以下となり、国の環境規制値である70PPMを下回ったとしている。燃料の水素濃度はCO2の回収率が高いほど上昇するが、従来は濃度に応じて別々に燃焼器を設置する必要があったという。今回の試作機は1つで幅広い範囲の濃度に対応できる。
石炭をガス化してから燃やす石炭ガス化複合発電(IGCC)に、二酸化炭素(CO2)を地下に封じ込める回収・炭素貯留(CCS)技術を組み合わせた火力発電設備への技術活用を想定している。IGCCは石炭ガスでガスタービンを回すとともに蒸気も発電に使う方式で、従来の石炭火力より発電効率が高く、CO2排出量が減る。
試作したのはガスタービンに組み込む燃焼器で、CCSでCO2を回収した後に使う。燃料ノズルの形状と位置を工夫し、燃料と空気が空気孔内で小さな渦を作り、そこを抜けると混ざり合う仕組みにした。水素の燃焼温度は通常セ氏2000度にのぼりNOxの排出が多いため、従来は大量の希釈剤を投入し温度を下げていた。
試作機は実験でのNOx発生量が10PPM(PPMは100万分の1)以下となり、国の環境規制値である70PPMを下回ったとしている。燃料の水素濃度はCO2の回収率が高いほど上昇するが、従来は濃度に応じて別々に燃焼器を設置する必要があったという。今回の試作機は1つで幅広い範囲の濃度に対応できる。
2011年6月27日月曜日
東京工業大学教授柏木孝夫氏――海洋バイオマス、突破口に
燃料・地球温暖化に貢献
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、政府は今後のエネルギー政策と地球温暖化対策の両面で頭を悩ませている。1つの突破口となりそうなのが、海藻を燃料として使う「海洋バイオマス」だ。4月には産学が協力して事業化を目指す「海洋環境創生機構」が設立された。同機構の会長に就任した東京工業大学の柏木孝夫教授に、今後の展望を聞いた。
――海洋バイオマスはエネルギー供給と地球温暖化問題に対し、どのように貢献するのか。
「海藻からエタノールを抽出できバイオ燃料を生産できる。陸上の植物と同様、光合成で育つため、二酸化炭素(CO2)をうまく供給すれば、海藻の成長を促進できる。火力発電所や製鉄所など大口のCO2排出源の近傍に海藻の培養槽を設ければ、火力発電所などから出るCO2を固定化できる。カーボンニュートラルとなり、地球温暖化問題に貢献する」
「例えば、6万立方メートル(オリンピックプールの約50倍)の培養槽を使うと、1日当たり360トンの海藻を生産できる。バイオ燃料の生産量は同120トンとなる。海藻の生産過程で固定されるCO2は年1万4500トンとみている」
――バイオマスは採算性改善が課題といわれているが。
「海藻をバイオ燃料として使うだけでは、採算は厳しいと考えている。そこで、育てた海藻の一部や、燃料を得た後の残さを活用し、医薬品や化粧品などの新規材料を生み出す研究を進めている。基礎研究はあらかた終わり、海藻の生産、燃料化、有用物質の抽出といったシステム全体をうまく設計する研究に、注力する時期にきた」
――創生機構への参加企業は。
「竹中工務店、日立製作所や横河電機、昭和シェル石油などが参加している。海洋植物から有用成分を作り出すため、花王も参加している。約20社の協力を得た。国の研究費を申請している。富山市とは実験に関する相談もしている」
――被災地の復興に役立つ可能性は。
「津波で大きな被害を受けた沿岸部の新産業に役立てればと考えている。福島県の東電広野火力発電所の近くは、海洋バイオマスを推進するうえで、条件を満たす場所の1つだと思う」
――経済産業省の「再生可能エネルギーの全量買い取りに関するプロジェクトチーム」の有識者メンバーだったが、今後、被災地の再生可能エネルギーの導入はどう進めるべきか。
「政府は、電力会社に再生可能エネルギーの全量を固定価格で買い取ることを義務づける特別措置法案を国会に提出している。この法案だけでは不十分で、被災地に再生可能エネルギーが集約されるように、事業者へのインセンティブを与える必要がある。グリーンパークを設けて、税制面の優遇措置を設けるのも1つの手。都市部から被災地に資金が流れる仕組みを作ることが必要だ」
記者の目
エネルギー供給
米国と開発競争
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が5月にまとめた報告書によると、バイオエネルギーは世界のエネルギー供給量の約1割を占める。大半は途上国で暖房・調理に木材を使う伝統的バイオマス。科学技術を駆使した近代バイオマスはこれからの分野だ。
海藻を活用してバイオ燃料を生産する試みは米国で研究が盛んだ。2010年には米エネルギー省の支援のもと商業化に向け3つのプロジェクトが始動した。米国との開発競争に打ち勝てるか、日本の技術力が問われている。
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、政府は今後のエネルギー政策と地球温暖化対策の両面で頭を悩ませている。1つの突破口となりそうなのが、海藻を燃料として使う「海洋バイオマス」だ。4月には産学が協力して事業化を目指す「海洋環境創生機構」が設立された。同機構の会長に就任した東京工業大学の柏木孝夫教授に、今後の展望を聞いた。
――海洋バイオマスはエネルギー供給と地球温暖化問題に対し、どのように貢献するのか。
「海藻からエタノールを抽出できバイオ燃料を生産できる。陸上の植物と同様、光合成で育つため、二酸化炭素(CO2)をうまく供給すれば、海藻の成長を促進できる。火力発電所や製鉄所など大口のCO2排出源の近傍に海藻の培養槽を設ければ、火力発電所などから出るCO2を固定化できる。カーボンニュートラルとなり、地球温暖化問題に貢献する」
「例えば、6万立方メートル(オリンピックプールの約50倍)の培養槽を使うと、1日当たり360トンの海藻を生産できる。バイオ燃料の生産量は同120トンとなる。海藻の生産過程で固定されるCO2は年1万4500トンとみている」
――バイオマスは採算性改善が課題といわれているが。
「海藻をバイオ燃料として使うだけでは、採算は厳しいと考えている。そこで、育てた海藻の一部や、燃料を得た後の残さを活用し、医薬品や化粧品などの新規材料を生み出す研究を進めている。基礎研究はあらかた終わり、海藻の生産、燃料化、有用物質の抽出といったシステム全体をうまく設計する研究に、注力する時期にきた」
――創生機構への参加企業は。
「竹中工務店、日立製作所や横河電機、昭和シェル石油などが参加している。海洋植物から有用成分を作り出すため、花王も参加している。約20社の協力を得た。国の研究費を申請している。富山市とは実験に関する相談もしている」
――被災地の復興に役立つ可能性は。
「津波で大きな被害を受けた沿岸部の新産業に役立てればと考えている。福島県の東電広野火力発電所の近くは、海洋バイオマスを推進するうえで、条件を満たす場所の1つだと思う」
――経済産業省の「再生可能エネルギーの全量買い取りに関するプロジェクトチーム」の有識者メンバーだったが、今後、被災地の再生可能エネルギーの導入はどう進めるべきか。
「政府は、電力会社に再生可能エネルギーの全量を固定価格で買い取ることを義務づける特別措置法案を国会に提出している。この法案だけでは不十分で、被災地に再生可能エネルギーが集約されるように、事業者へのインセンティブを与える必要がある。グリーンパークを設けて、税制面の優遇措置を設けるのも1つの手。都市部から被災地に資金が流れる仕組みを作ることが必要だ」
記者の目
エネルギー供給
米国と開発競争
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が5月にまとめた報告書によると、バイオエネルギーは世界のエネルギー供給量の約1割を占める。大半は途上国で暖房・調理に木材を使う伝統的バイオマス。科学技術を駆使した近代バイオマスはこれからの分野だ。
海藻を活用してバイオ燃料を生産する試みは米国で研究が盛んだ。2010年には米エネルギー省の支援のもと商業化に向け3つのプロジェクトが始動した。米国との開発競争に打ち勝てるか、日本の技術力が問われている。
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