ソニーは6月からフルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ「4K」の液晶テレビの販売を本格化する。苦戦が続くソニーのテレビ事業にとって4Kテレビは再生の切り札。通常のフルハイビジョン映像でも4Kに近い画質で楽しむことができる超解像技術を活用し、ライバル各社に差を付ける戦略だ。
「ソニーが持つ15年以上にわたるテレビの高画質化ノウハウのすべてを投入した」。テレビ事業部で4Kテレビの開発を担当する飯田譲司エンジニアリングマネジャーは、6月1日に発売する4Kテレビ「KD―65X9200A」を見ながら強調する。 ソニーは昨年11月に84型の4Kテレビを発売したことを手始めに、6月から65型と55型の2機種の販売を始める。4Kとは1000の単位を意味し、水平方向の画素数が約4000のために名付けられた。解像度がフルハイビジョンの約4倍のため、従来はぼやけていた画像が鮮明に見えるようになった。 4Kテレビについて、4Kコンテンツの不足が普及を遅らせるとの見方もある。しかし、ソニーの4Kテレビ「X9200Aシリーズ」の特徴は通常の映像でも4Kに近い鮮明な画質に高めて楽しめること。それを実現したのが同シリーズに搭載した超解像エンジン「4K・X―リアリティ・プロ」だ。 4Kよりも画質が劣るフルハイビジョンの映像をどう4Kの画質に高めるのか。ソニーでは「データベース型照合置換」という技術を採用する。 ソニーは映画や放送部門が4Kの映像データを大量に保有しており、4Kの映像信号波形をフルハイビジョンに劣化させた場合の波形の変化パターンを数千種類持っている。この変換パターンを逆方向で利用するのがデータベース型技術のミソだ。 具体的にはフルハイビジョンの映像信号波形が入力されたら、まずノイズを低減する処理を施した後、変化パターンを蓄積したデータベースで照合。4K映像として撮影した場合に持つとみなす映像信号波形を作り出し、被写体の輪郭や質感などを復元して鮮明な映像を実現する。 国内のライバルメーカーも超解像技術を導入したとしているが、ソニーによると、データベース型は同社独自の技術。他社は半導体などによる演算型の技術を採用しているという。データベース型のメリットは4K映像の再現性が高いうえ、処理速度が速く、エンジンに組み込んだ半導体への負担が少ないため、コストを圧縮できる点にある。 液晶テレビの世界市場は2012年に初めて前年割れとなったため、各社は4Kテレビで消費意欲を高める狙いだ。ソニーのほか、東芝やシャープといった日本メーカーに加え、韓国のLG電子や中国の海信集団(ハイセンス)や創維集団(スカイワース)などが発売。50型で1万1000元(約16万円)の低価格商品も登場している。 ソニーは超解像技術を使った製品投入により、低価格を特徴とする中国メーカーとは違いをアピールする。テレビの歴史は高画質化と大画面化の歴史でもあり、4Kの次はハイビジョンの16倍の解像度を持つ「8K」も控える。飯田エンジニアリングマネジャーは「低品位の映像を高品位に向上させる超解像技術の精度を高めていきたい」と意気込む。 |
2013年5月16日木曜日
ソニー――4Kテレビ用超解像技術、フルHDも高精細に
2013年1月22日火曜日
ディスプレー、表示法切り替え、千葉大が材料開発、温度で発色・発光自在に。
フルカラーに対応
千葉大学は1台で2つの表示方法を切り替えて使う次世代フルカラーディスプレー向けの材料を開発した。電子ペーパーとパソコンなどを想定しており、温度により色と光が変わる材料を活用した。照明の明るさなど周囲の状況に合わせて表示法を選べば、目などへの負担が減らせる。企業に呼びかけて共同研究を進め、ディスプレーの早期実用化を目指す。
ディスプレーには電子ペーパーなど外からの光を反射し表示する反射型と、画面の後ろに光源がある液晶テレビやパソコンなどの発光型がある。
中村一希助教と小林範久教授らは、染料に色を引き出す顕色剤という材料がくっついて発色する方式を反射型に採用。発光型を用いる際は、染料と顕色剤が離れて色が消える代わりに、発光材料が光るようにした。
発色と発光の切り替えを実現する材料を開発、フルカラー化に必要な3原色(赤・青・緑)をそろえた。発色する材料と発光材料を、色ごとに組み合わせた。例えば赤色では、赤い色の染料と顕色剤と、赤い光を出す物質のユーロピウムを合わせた。研究に協力した山田化学工業(京都市、山田新平社長)の染料を利用した。
温度により発色・発光材料のうち、どちらかが働くように工夫した。実験では材料を樹脂中に混ぜてガラス基板上に薄い膜を作った。この膜を一度加熱して急激に冷やして染料と顕色剤がくっついた状態にすると、赤い色になった。
加熱後にゆっくり冷やすと、染料と顕色剤が離れ色は消えた。この状態ではユーロピウムが赤い光を放った。この切り替えは何度も繰り返せる。
同じ原理を利用し、ガラス基板上の1つの膜で青と緑でも色と光の切り替えができた。実際のディスプレーでは、電気を流して温度を変化させる方式を採用する考えだ。
日中など明るい場所では電子ペーパーで、暗い場所では液晶テレビで見るように表示方法が切り替えられれば、目への負担を減らせる。野外に設置し天候や時間帯によって表示方法を切り替えられる電子広告などへの応用も目指す。
▼温度変化で色が変わる材料 サーモクロミック材料と呼ばれ、感熱紙や温度変化を示す塗料などに利用されている。液晶やロイコ染料などが代表的な材料だ。
ロイコ染料は顕色剤と組み合わせて使う。顕色剤がくっついた状態では色が付き、離れた状態では無色になる。加熱と冷却速度を調節するとロイコ染料と顕色剤のくっつき方が変わるため色も変わる。
2011年7月11日月曜日
液晶の苦杯バネに産業転換を
液晶パネルが利益を生みにくい産業になりつつある。国内メーカーの苦戦が続くほか、最大手の韓国・サムスン電子も先週発表した4~6月期決算でこの分野が赤字になった。
原因はメーカーの乱立による価格の下落だ。例えば中国ではテレビ用の液晶パネルをつくる新興企業が続々と産声を上げ、今年だけで4~5工場が新たに稼働する。製造装置さえあればだれでも参入できる。それがこの市場の現実になった。
日本の電機メーカーはすでに事業の見直しを迫られている。シャープは先月、テレビ用の生産を減らし、スマートフォン(高機能携帯電話)などに需要が伸びている中小型液晶パネルに力を入れると発表した。
すでにテレビ用から撤退した日立製作所も東芝とソニーが進める中小型パネルの事業統合交渉に加わった。技術が優位な時にコスト競争力をつけておこうとの狙いである。
日本企業は液晶技術の草分けだ。部品や材料産業のすそ野も広く簡単にはこの分野を捨てられない。それだけにあらゆる手を尽くし、巻き返しの機会を狙っていくのが重要だ。
ただ、これからは技術を磨きコストを下げるだけでは利益を期待できない。中国メーカーなどは自国に成長市場を抱え、今後も力をつけていく。優れた製品を送り出しても息をつく間もなく追いついてきそうだ。
それは太陽光パネルやリチウムイオン電池など他の分野も同じだろう。価格競争力の戦いになれば日本は不利になり、それを避けるには従来と違う発想の経営が必要になる。
日立や東芝は最近、IT(情報技術)の粋を集めた環境配慮型都市などに重心を移し、設備投資や企業買収を進めている。個々の技術を強くする一方でそれらを束ね、システムやサービスと一緒に提供して価格競争とは一線を画す。付加価値を高めていく経営モデルの一例である。
サムスンもこうした方向に注目する。同社首脳は「このままでは10年後は中国に負ける」とし、医療やインフラへの参入に意欲をみせる。
新しい競争が始まりそうだ。日本には液晶パネルや半導体で韓国と競い、苦杯をなめた歴史がある。今後進む産業の転換では失敗をばねに一歩も二歩も他の国に先んじたい。
原因はメーカーの乱立による価格の下落だ。例えば中国ではテレビ用の液晶パネルをつくる新興企業が続々と産声を上げ、今年だけで4~5工場が新たに稼働する。製造装置さえあればだれでも参入できる。それがこの市場の現実になった。
日本の電機メーカーはすでに事業の見直しを迫られている。シャープは先月、テレビ用の生産を減らし、スマートフォン(高機能携帯電話)などに需要が伸びている中小型液晶パネルに力を入れると発表した。
すでにテレビ用から撤退した日立製作所も東芝とソニーが進める中小型パネルの事業統合交渉に加わった。技術が優位な時にコスト競争力をつけておこうとの狙いである。
日本企業は液晶技術の草分けだ。部品や材料産業のすそ野も広く簡単にはこの分野を捨てられない。それだけにあらゆる手を尽くし、巻き返しの機会を狙っていくのが重要だ。
ただ、これからは技術を磨きコストを下げるだけでは利益を期待できない。中国メーカーなどは自国に成長市場を抱え、今後も力をつけていく。優れた製品を送り出しても息をつく間もなく追いついてきそうだ。
それは太陽光パネルやリチウムイオン電池など他の分野も同じだろう。価格競争力の戦いになれば日本は不利になり、それを避けるには従来と違う発想の経営が必要になる。
日立や東芝は最近、IT(情報技術)の粋を集めた環境配慮型都市などに重心を移し、設備投資や企業買収を進めている。個々の技術を強くする一方でそれらを束ね、システムやサービスと一緒に提供して価格競争とは一線を画す。付加価値を高めていく経営モデルの一例である。
サムスンもこうした方向に注目する。同社首脳は「このままでは10年後は中国に負ける」とし、医療やインフラへの参入に意欲をみせる。
新しい競争が始まりそうだ。日本には液晶パネルや半導体で韓国と競い、苦杯をなめた歴史がある。今後進む産業の転換では失敗をばねに一歩も二歩も他の国に先んじたい。
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