ラベル 携帯電話 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 携帯電話 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年4月21日火曜日

華為技術(下)2つの哲学、頭脳呼び込む――実用技術「半歩先」で顧客密着、目先の利追わず、5G05年から

技術者7万6000人 世界から集結
 中国南部の中核都市、広東省深〓市。「ここで研究できることを中国人として本当に誇りに思う。他の企業ではできない事ができるからね」
 華為技術(ファーウェイ)本社。東京ディズニーランドの約4倍もの広さを誇るこの地に同社自慢の一大研究所がある。通称ホワイトハウス。その豪華施設で男性研究員の一人、甘宏(35)は誇らしげに語ってくれた。
超エリート集団
 米国のホワイトハウスに似せた白亜の建物だ。そこで働くことが許されるのは、17万人いる華為の社員の中でわずか5000人にすぎない。
 超エリート集団と言ってよい。公表してはいない。中国国内、名門25大学の大学院卒でしか、実はその門をたたくことは許されていない。
 湖北省出身の甘宏も、今をときめくスマートフォン大手の小米の創業者、雷軍と同じ名門大、武漢大学を卒業し、華為の仲間入りを果たした。
 入社後は破格の待遇が待っている。新卒の月給は約20万円。一般的な中国の大卒に比べ3倍以上だ。その後も昇給は続き、40歳の技術者なら、年収は1000万円以上になる。1億円プレーヤーも決して珍しくない。
 「朝から晩まで必死に考え、猛烈に働き、業界リーダーになろう」
 施設内には、最新鋭の試験設備がズラリと並ぶ一方、研究所の壁には似つかわしくない派手な赤の横断幕が数多く張られ、技術者を日々鼓舞する。寝袋まで常備する華為はかつて「モーレツ企業」とも評された。
 だが、猛烈に働くだけで、今の華為の成功があるはずはない。
 「なぜうちで5Gの開発が進んだか分かりますか? 華為って、すごい会社だから? 猛烈に働く会社だから? いや、それはどれも違うよ」
 こう語るジョー・ケリー(50)は華為に魅力を感じ、遠いアイルランドから2年前に入社してきた。
 中国では第4世代(4G)の通信サービスの普及が始まったばかり。だが、10年前の2005年、華為ではすでに20年に商用化が期待される第5世代(5G)の開発に向けた検討が始まっていた。
 スマホが4Gから5Gに移行すると、情報の処理速度は一気に100倍に跳ね上がる。その5G開発の先頭を走るのが華為だ。
 「5Gのような20年単位のプロジェクトの開発ができるのも、華為が非上場企業だからさ」
 ジョー・ケリーはそう言い切った。「短期的な配当ばかり要求される上場企業なら、まともな5Gの開発なんて絶対できない」。もともと華為の大手顧客だった英固定通信最大手のBTグループから転職したジョー・ケリーには、そんな華為が羨ましく映った。
報酬で株を譲渡
 創業者で、今もトップとして君臨する最高経営責任者(CEO)の任正非(70)。任の現在の持ち株比率はわずか1・4%にすぎない。1987年の創業以来、上場することなく、残りは全て、任が社員だけに譲渡してきた。今や8万人超の社員が華為の大株主だ。
 だが、任が簡単に株を社員に譲ってきたわけではない。個人の目標の達成度合いに紐付け、達成者のみに株を成功報酬とし、譲渡してきたのだ。
 華為には非上場企業としての強みを最大限生かし、決して小手先ではなく、分かりやすく結果に報いる仕掛けで技術者を研究に駆り立ててきたからこそ、今の華為があると経営陣と技術者らは信じている。
 87年の創業時、たった14人の会社だった華為。それが過去10年間で投じた研究開発費が4兆円に迫る企業に変貌した。毎年の売上高の10%を超える研究開発費比率は、日本の電機大手の2倍の水準だ。今や全従業員17万人の45%、7万6000人は研究開発に関わる技術者だ。
 急成長を果たした華為。だが、それでも任がいまだにこだわりを持ち、技術者だけには力を込める口癖がある。
 「イノベーションはライバルの半歩先でいい。3歩先にまでは行くな。顧客に寄り添い、本当に使えるものだけを皆で作ってくれ」
 5Gなどの新技術に腰を据えて長期的に取り組みながらも、実用化の段階では、顧客のニーズからかけ離れてはならないというのが任の考えだ。
 顧客への密着も華為の研究開発の特徴だ。通信会社などとの共同開発拠点は世界31カ所に広がった。通信技術の新世代への移行が部品の一部やソフトの切り替えだけでできるようにした「シングルラン」と呼ぶ携帯電話基地局の設備。通信会社のコストや手間を大幅に省けるこの製品は、英通信大手ボーダフォンとの共同拠点で生まれた。
 任の思いに共感する世界の技術者たちが今日も華為の門をたたく。14年の1年間、その技術者数は世界で過去最高の6000人に達した。

2015年4月17日金曜日

KDDI、ファイアーフォックスOS搭載スマホ、消費者手軽にアプリ開発、「おたく向け」高機能な部品

 KDDI(au)が2014年12月に発売したスマートフォン(スマホ)「Fx0」は米モジラ財団のOS(基本ソフト)「ファイアーフォックスOS(FxOS)」を搭載した国内初のスマホだ。FxOSは「第3のスマホOS」を狙い、海外で普及が先行する。手軽にアプリ(応用ソフト)をつくれるのも特徴だ。記者が使い勝手を探った。
 FxOSはブラウザー(閲覧ソフト)「ファイアーフォックス」を提供する非営利組織のモジラ財団が開発した。スマホOSは米グーグルの「アンドロイド」と米アップルの「iOS」の寡占状態にあるが、海外では13年からFxOS搭載スマホが登場した。現在は十数機種が販売されているが、新興市場向けの数十~100ドル程度の低位機種が大半だ。
 KDDIはFx0を「ギーク(おたく)向け」(田中孝司社長)として、海外の既存機種よりも高性能な部品を採用した。4・7型画面や処理能力が高い「クアッドコア」と呼ぶCPU(中央演算処理装置)を搭載し、高速データ通信「LTE」にも対応した。ただ、テレビ視聴の「ワンセグ」や電子マネー、赤外線通信など国内向け機種でおなじみの機能はない。
 基本的な使い方はアップルのiPhoneやグーグルのアンドロイド搭載スマホと似ている。ホーム画面には電話やメール、ブラウザー、音楽や動画といったアプリのアイコンが並び、指でタッチすれば起動する。ホーム画面に戻るには画面下のボタンを押せばよい。
 日本語入力アプリも備え、指を画面に触れて滑らせる「フリック入力」ができる。実機を試したところ、メールやブラウザー、カメラなどの基本アプリで操作に迷ったり、動作が遅いと感じたりすることは少なかった。
 対応アプリは公式のアプリ配信サイトで入手できる。現在、短文投稿の「ツイッター」や無料通話の「LINE」などが公開されている。予定表や歩行者向け道案内、飲食店検索など実用向けアプリもある。iOS版の同じアプリと比較してみたが、画面のデザインや機能は簡素なものの、基本的な使い勝手は大きく変わらなかった。
 ただ、後発OSとあってラインアップは貧弱だ。対応アプリの拡充に向けて、FxOS陣営がアプリ開発者向けにアピールしているのが最新ウェブ技術「HTML5」を採用している点だ。
 ウェブサイトの構築に使う同じ技術を利用し、手軽にブラウザーだけで機器を動かすアプリを作成できる。「自由度が高く誰でもアプリをつくれる」(KDDI商品企画部の上月勝博氏)という。iOSやアンドロイドで必要な専門的なプログラミング言語を習得する手間が省ける。
 さらにKDDIは専門知識のない消費者向けのアプリ開発ツール「Framin」も用意した。
 このツールでFx0にダウンロードして、試しに初歩的なアプリをつくってみた。考えたのは、画面に刀の画像を表示し、素早く動かすと刀を振った際の効果音が鳴る仕組みのアプリだ。
 まず名称を決め、刀の画像を読み込みアプリの画面に設定する。次に「本体を振ると音を鳴らす」という動作ルールを指定する。最後に動作をテストしたうえでFx0にインストールする。一連の作業は全てタッチ操作だけでツールの指示に従って進められた。
 専用サイトでは、より複雑な動きのアプリのつくり方を公開している。2月からは利用者が作成したアプリをサイトに投稿して共有できるようにした。利用者同士の交流を通じてFxOSの普及につなげる狙いだ。
▼Fx0の主な仕様 ▽高さ139×幅70×厚さ10.5ミリメートル▽重さ148グラム▽バッテリー2370ミリアンペア時▽ディスプレー4.7型IPS液晶(1280×720ドット)▽連続通話時間1010分▽連続待受時間820時間(3G)720時間(LTE)▽メーンカメラ800万画素▽韓国LG電子製▽本体と基本的な通信料込みで月3800円(税別)から

太平洋セメント中央研究所第3研究部増田賢太氏――空洞の微粒子、スマホに

断熱に優れ薄型化に貢献
 太平洋セメントは、中が空洞になっている極小微粒子の開発に成功した。原料を溶かした液体を加熱すると、水分が蒸発して微粒子ができる仕組みを応用。高い精度の空洞微粒子を作り出した。スマートフォン(スマホ)の基板に塗布すれば空気膜をつくり、バッテリーの発熱から基板を保護できる。他にも様々な利用法が期待できる。
 中が空洞の新しい微粒子を開発したのは、太平洋セメント中央研究所(千葉県佐倉市)第3研究部資源VCチームの増田賢太リーダーだ。
 微粒子の直径は1~10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル。酸化アルミニウム、二酸化ケイ素を主成分とするアルミノシリケートなどで作られる。様々な無機酸化物を原料にできる。膜厚は100ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下で、凹凸のない、きれいな球状になっている。
 中が空洞の微粒子で、ここまで小さく平滑な素材を作ることは難しい。一般的な微粒子は二酸化ケイ素を含む頁岩(けつがん)と呼ばれる岩石を砕いて粉にしたものを原料とするケースが多い。
 熱を加えると、中に含まれる有機物が燃えてガスが発生し、風船のように膨らむことで中が空洞になる。ただし、膨らむ過程で穴があいたり、表面に凹凸が出ることが難題だ。穴があくと強度が下がり、性能の劣化につながってしまう。直径も小さいもので20マイクロメートル、膜厚は1000ナノメートル以上の粒子しか作れない。
 「今までにない小さくて平滑な粒子は作れないか」。増田氏が着目したのが「噴霧熱分解法」と呼ぶ製法だった。同製法の特徴は丸くて平滑な微粒子を作り出せること。もともとは、空洞ではなく、中が詰まった粒子を作る製法の一つだ。
 原料を含んだ水溶液を霧吹きのように炉の中にふき込む。炉の内部の熱により、水溶液中の成分が析出する仕組みだ。増田氏は同製法をベースに、炉の熱や水溶液の成分といった条件を変えた。実験当初は条件を変えても中身の詰まった粒子しか作れなかったという。試行錯誤を重ねながら最適な条件を見つけ出し、2014年10月、ついに空洞の極小微粒子を作り出すことに成功した。
 「モバイル機器での展開ができないか」。増田氏は電子材料分野での展開を見込む。例えば、スマホやタブレット端末の電子基板に微粒子を塗膜する。粒子1個あたりの空気の割合は80%以上だ。
 競合他社の粒子は60%以下のため、太平洋セメントの方が断熱性能に優れ、基板を熱から守ることができる。直径が1~10マイクロメートルと小さく、端末の薄型化に役立つ。フィルムに微粒子を混ぜて使うことも可能という。
 将来は船舶や鉄道車両に使うプラスチック、複合材料の添加剤向けも視野に入れる。15年度からサンプル提供し、量産技術の確立にも取り組む。
 太平洋セメントは、セメントを構成するカルシウムやケイ素といった素材の微粒子技術を生かし、新分野への展開を加速している。中央研究所は太平洋セメントの既存事業であるセメントやコンクリート以外に、資源・環境分野で新事業を展開するための研究開発を担ってきた。パワー半導体に使う炭化ケイ素などの研究実績を残している。

2013年5月16日木曜日

サムスン、アップル、スマホ、国内で決戦、ドコモの端末戦略左右

 スマートフォン(スマホ)で世界首位に立つ韓国サムスン電子の日本市場での存在感が高まりそうだ。NTTドコモはサムスンの新型機種を特に販売に力を入れる戦略スマホと定め、ソフトバンクなどが扱う国内トップのアップル「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。サムスンが日本でシェアを拡大できるかどうかは、ドコモのiPhone導入の行方を左右することにもなりそうだ。
 「ツートップは自信を持ってお薦めするドコモの顔だ」。15日、夏商戦向け新商品を発表したドコモの加藤薫社長は記者会見終了までに「ツートップ」という言葉を10回近く発し、2つの新スマホを持ち上げた。
 ツートップは23日発売のサムスン「ギャラクシーS4」と17日発売のソニー「エクスペリアA(エース)」。ドコモは販促費を重点配分して他のスマホより価格を引き下げiPhoneにぶつける。加藤社長が特に説明に時間を割いたのがギャラクシーだ。
 サムスンが「iPhoneキラー」と位置付ける旗艦機種。鮮明なフルハイビジョン(HD)映像を表示できる5インチの有機ELパネルを世界で初採用。顔の動きで動画を自動再生・一時停止したり、画面に触れずに指をかざすだけで操作したりできる機能など持てる技術を詰め込んだ。
 主要市場でのギャラクシーS4の販売はこれからで実績はまだないが「iPhone5に対して優位。スマホ初心者にも使いやすい」(調査会社MM総研の横田英明取締役)と商品力を評価する声は多い。
 ドコモにはiPhoneに真っ向勝負を挑める機種が必要だ。iPhoneを扱うソフトバンクとKDDI(au)への顧客流出が続いているためだ。通信会社を乗り換えられるMNP(番号持ち運び制度)で、2012年度には転出の超過数が過去最悪の140万件に膨らんだ。
 ドコモ自身もiPhone導入を検討するが、販売ノルマなどアップルの条件が障害となって成り行きは流動的。そこで様々なメーカーの機種を等しく扱ってきた従来の販売戦略を転換、ツートップを対抗馬として明確に打ち出すことにした。
 ただ日本でアップルは依然強い。12年度の国内スマホ市場でのシェアは35・9%。サムスンは5位にとどまる。サムスンはここ数年で着実に存在感を高めているとはいえ、ドコモの新戦略が功を奏するかは予断を許さない。
 ツートップ戦略をもってしても顧客流出が止まらない場合、ドコモは厳しい条件をのんででもiPhone導入を迫られる。逆に流出を抑えられればアップルとの交渉で優位に立てると同時に、iPhoneなしでの独自路線という選択肢も含め戦略の自由度は増す。

手のひら、ディスプレーに、東大が技術、素早く動いても表示

 東京大学の石川正俊教授や篠田裕之教授らは手のひらなどをディスプレー代わりに情報を表示できる技術を開発した。高速で撮影するカメラで2ミリ秒ごとに位置を確認し、手が素早く動いても画像を遅延なく表示する。映像に合わせて超音波で手のひらに刺激も与えられる。将来は手のひらを押して情報を入力する技術と組み合わせて、携帯端末を持たずにコンピューターを操作する新技術として実用化を目指す。
 装置は2台の高速カメラと画像を投影するプロジェクター、手のひらの触覚を刺激する超音波発振機などからなる。高速カメラで手のひらや紙など表示したい物の位置を立体的に特定し、プロジェクターで画像を投影する。
 今回は「7」など特定の部位に超音波を当て刺激が感じられるようにした。
 これまでのプロジェクターで映像を表示する技術は静止した物に使う程度。移動する物に遅延無く、投影するのは難しかった。新技術なら動く物でもディスプレーになる。
 工場や事務所内に装置を設置すれば、情報端末を使わずに遠隔地のコンピューターから情報を自在に入手できる環境に変えられる。企業と協力して実用化を目指す。

2013年1月31日木曜日

赤いiPhoneの誘惑、アップル、世界最大・中国移動に急接近


 米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の神話に陰りが見られる中、世界最大の携帯電話会社、中国移動通信集団(チャイナモバイル)にアップルが急接近している。30日に決算を発表したNTTドコモもiPhone販売が焦点だが、中国移動の契約者数はドコモの10倍強の7億件だ。神話を取り戻すために中国移動と組むのか。ティム・クック最高経営責任者(CEO)の視線は中国に向く。
 「2014年をめどに赤いiPhoneが発売されるだろう」。中国の携帯電話業界関係者がささやく。その噂のきっかけとなったのは、クックCEOと奚国華・中国移動董事長が10日に北京の中国移動本社で行った密談だ。中国移動関係者も「iPhoneを巡って交渉したことは確実だ」と打ち明ける。
 クックCEOが中国を訪問するのは2度目。12年3月にも訪問して中国移動トップとiPhoneを巡る交渉を行った。クック氏は故スティーブ・ジョブズ氏がCEOだった頃から何度か訪中しており、中国移動とのiPhone交渉を始めてから5年以上の歳月が経過したという。
 「今回は双方ともに本気だ」。中国の通信業界に詳しい証券アナリストは指摘する。中国移動の香港上場子会社の業績は伸び悩んでおり、その打開策が必要になっている。2012年1~9月の売上高は前年同期比6%増の4085億元(約5兆9千億円)で、純利益は1%増の933億元。1契約あたりの月間収入(ARPU)は70元から67元に低下した。
 なぜ収益が伸び悩んでいるのか。第3世代(3G)サービスで、中国移動は中国が旗振り役を務める独自規格「TD―SCDMA」を採用したため、スマホなどの投入で出遅れたのだ。ライバルの中国聯合網絡通信集団(チャイナユニコム)や中国電信集団(チャイナテレコム)に先行された。
 中国聯通は日本のNTTドコモやソフトバンクと同じ「W―CDMA」であるため、いち早く09年にiPhoneを導入し、シェアを伸ばした。中国の携帯電話市場全体で中国聯通のシェアは22%にすぎないが、3Gに絞ると38%に達する。中国電信はKDDIと同じ「CDMA2000」を採用して、12年にiPhone販売を開始。3Gシェアは18%を占める。
 実はアップルの中国収益も伸び悩んでいる。中国のIT(情報技術)調査会社の易観国際によると、2012年7~9月期のスマホのブランド別シェアでアップルは4・2%の7位。ピーク時の11年4~6月期の7・1%から下落した。並行輸入品などが含まれていないが、一時の勢いはみられない。アップルが明らかにした12年10~12月期の中国売上高も68億ドル(約6200億円)にとどまった。前年同期の41億ドルを上回ったが、12年1~3月期の79億ドルに及ばなかった。iPhoneを受託製造する富士康科技集団(フォックスコン)の関係者は、「iPhone5も中国販売が計画未達だ」と漏らす。
 双方が業績の伸び悩みに対する解決策として提携する可能性が急浮上しているが、中国移動版iPhoneが生まれなかった大きな理由は通信規格の問題だ。アップルはジョブズ氏の研ぎ澄まされた感性で絞り込んだ数少ない商品を大量に生産することでコストダウンを実現して巨額の利益を手にしてきており、当初3GではW―CDMAにしか対応してこなかった。
 中国移動はTD―SCDMAにこだわったため、アップルは対応商品の開発に乗り出さなかった。しかも、第3・9世代(3・9G)や第4世代(4G)とも呼ばれる高速携帯電話サービス「LTE」でも、中国移動はTD―SCDMAの発展型の「TD―LTE」を採用する。現在のLTEの主流はNTTドコモや米AT&Tが採用する「FDD―LTE」。「iPhone5」もFDD―LTEに対応しており、中国移動とアップルには大きな溝が残ったままだ。しかし、米半導体大手関係者によると、3Gと異なり、TD―LTEとFDD―LTEの技術的な違いは大きくなく、半導体チップなどの部品を共通化することができるとの見方を示す。
 このため中国移動の奚董事長はクックCEOに対してTD―LTEを本格的に商用化する14年をターゲットにして中国移動版iPhoneを開発するように強く要請したもよう。その際には中国移動が13年に1800億元を投じて全国100都市以上に20万カ所のLTE基地局を整備する計画も示したという。
 中国移動の申し出に対してクック氏はどう決断するのか。ジョブズ氏は先進性や独創性にこだわったが、現経営陣は業績向上に追われ、その誘惑に勝てそうもない。赤いiPhoneは短期的な業績拡大にはプラスだが、「アップルらしさ」が犠牲になる恐れもある。

2013年1月24日木曜日

子ども向け携帯―ドコモ、一足先にスマホ

 携帯電話大手3社が利用制限をかけることで子どもでも安心して使える携帯電話をそろって販売している。これまで従来型の携帯電話で販売してきたが、NTTドコモが2月上旬、初めてスマートフォン(スマホ)を発売する。スマホの顧客を早期に囲い込みたいとの思惑が働いている。
 「『中学生にキッズケータイは幼すぎる』との意見が多かった」。NTTドコモマーケティング部の斉藤武マーケティング統括担当部長は、子ども向けのスマホを発売した理由をこう説明する。
 ドコモの子ども向けスマホ「スマートフォンforジュニア SH―05E」は基本機能を除くとドコモが事前に審査した10種類程度しかアプリ(応用ソフト)が使えない。インターネットの閲覧やメール、カメラなどは通常のスマホと同じように利用できる。
 4・1型の液晶パネルを使うなど外見は通常のスマホと同じ。危険を察知したときに側面のボタンを押してブザーを鳴らす程度で、ハードウエアとしてのデザインや機能は子ども向けと銘打つほどの特徴はない。
 ドコモが子ども向けの従来型携帯「キッズケータイ」を発売したのは2006年3月。同年2月に初めて子ども向けを発売したKDDI(au)とほぼ同時期だった。主要な機能は音声通話に限定しており、インターネットやメールは使えない。デザインも小ぶりでかわいらしさが前面に出ており、主に小学校低学年を対象にしている。スマホは小学校高学年や中学生の利用を狙った。
 ドコモの調査では、小学生でスマホを利用したいと答えた人の割合は11年12月末時点の71%から昨年7月に83%に増加。実際にスマホを利用している小学生の割合も7%から15%に拡大している。
 ドコモは「キッズケータイからジュニアスマホ、そして通常のスマホに買い替えてもらえる長期的な仕組みが整った」(斉藤氏)と主張。子どもが新しい電子機器に興味を示すのは当然なうえ、小中学生もネットに慣れ親しんでいる。小中学生のころからスマホ需要を取り込んで数年後のスマホの購入やサービスの長期利用につなげることをもくろむ。
 他の2社は子ども向けのスマホを販売する予定は当面ないという。KDDIは11日、ひもを引っ張ると防犯ブザーが鳴るなどの機能を持つ「マモリーノ」の第3弾を発売した。音声通話以外にもメールが使え、「中学生の利用に十分応えられる」(同社)と話す。
 KDDIとソフトバンクモバイルは子どものスマホ利用にはアプリの利用制限で対応している。ソフトバンクは保護者が設定することでアプリをダウンロードできなくするほか、ダウンロード済みのアプリも使えなくする「あんしん設定アプリ」を、基本ソフト(OS)に米グーグルの「アンドロイド」を使う端末向けに無料で提供している。
 「保護者がアプリの是非を個別に判断できる」(ソフトバンク)。KDDIもダウンロード済みのアプリを選んで利用制限するアンドロイド向けアプリ「安心アクセスforアンドロイド」を用意している。
 ドコモは従来型携帯で中高年向けの「らくらくホン」がヒット。スマホでもボタンを大きくするなどした中高年向け機種を発売して人気を得るなど、年齢層別の機種の開発で実績がある。だがスマホは従来型携帯や中高年向けほど子ども向けの特徴は出しにくい。ドコモの子ども向けスマホの年間販売目標は30万台。国内ではスマホは50万~60万台売れればヒットと言われる。少子化の中で目標を達成できるか注目だ。

スマホ用高強度ガラス、独ショット、日本メーカーも採用。

 独ガラス大手のショットはスマートフォン(スマホ)のタッチパネルを保護するガラスを開発した。既存のスマホ用保護ガラスと比べて強度が2割高いのが特長。海外に加え日本の複数のスマホメーカーも採用を決めている。同社はスマホの世界的な普及で保護ガラスの需要は増すとみており、2014年に世界全体で約1億ドル(約88億円)の売上高を目指す。
 ショットは耐衝撃性やひっかき傷などに強いアルミノケイ酸塩ガラスを独自の配合で製造。他社のアルミノケイ酸塩ガラスと比べて外部からの力を吸収する圧縮応力を2割高めたほか、材料の硬さを示す「ビッカース硬度」も上回っているという。光の透過率は他社製品と変わらない。
 スマホはタッチパネルが大きいため、液晶などを守る保護ガラスの重要性が高まっている。現在は工業用ガラス大手の米コーニングの「ゴリラガラス」が市場の大半を占めており、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)5」も採用しているとされる。
 ショットの11年9月期連結売上高は29億ユーロ(3410億円)。1966年に日本に販売子会社を設立し、08年10月には日本の画像処理機器メーカーのモリテックスを子会社化している。

2011年7月15日金曜日

携帯新放送「モバキャス」来春開始、「30センチのアンテナ」が波紋。

 NTTドコモ子会社のジャパン・モバイルキャスティング(東京・港、永松則行社長)は14日、2012年春に始まる携帯端末向け新放送のサービス概要を発表した。名称は「モバキャス」。「ワンセグ」の13倍のチャンネルを約10倍の画質で楽しめる。スマートフォン(高機能携帯電話)の拡大をにらみ、ドコモと総務省が華々しく推進してきた新事業だが、「東京スカイツリー」から効率的に電波を発信する設備計画のもろさが露呈するなど雲行きは怪しい。
 「フェンシング・ケータイ」――。携帯電話業界では今、新放送対応のアンテナを搭載したスマートフォンの試作機がこう揶揄(やゆ)されている。屋内で電波を受けるためのアンテナが、まるでフェンシングの剣のように見えるからだ。
 その長さは実に30センチメートル。ドコモや携帯電話機メーカーの開発陣は「30センチ問題」に対応するために試行錯誤を繰り返す。「イヤホン型のアンテナを使ってもらう」(ドコモ幹部)など代替策や、先端をコイル状に巻いたアンテナ、充電器に長いアンテナを取り付けるなどの案もある。
 新放送は生中継に加え、就寝中などにコンテンツをダウンロードし、スマートフォンに番組を蓄えておく「蓄積放送」が強み。ただそのためには屋内で電波を受信する必要がある。ドコモ子会社は東京スカイツリーで全世帯の3分の1に当たる1600万世帯をカバーする計画だ。
 永松社長は「出力が高い大電力方式なので多くの世帯をカバーできる」と説明するが、「ギャップフィラー」と呼ばれる補助な中継アンテナやWiFi無線の活用といった設備面の追加投資は必須とみられる。
 「だから言ったのに……」。昨年新放送の設備運営の総務省への申請を巡りドコモと争ったKDDIの幹部はこう漏らす。電波問題の原因はドコモの設備設計の甘さにある。
 昨年総務省に提出した事業計画で、KDDIは約770億円を投じて中小型局865局を整備するとした。一方、ドコモ側は設備投資を440億円に抑え、東京スカイツリーを軸に既存の放送局を活用して全国を125局でカバーする。設備レンタル料や利用者料金を抑えるためともいえるが、技術者出身のKDDIの小野寺正会長(当時社長)は総務省の公開説明会で「屋内で使う発想がなさすぎる」と皮肉った。
 設備申請を許可した総務省も、事業者認定を大学教授らで構成する電波監理審議会に委任。ドコモ側に軍配を上げた電監審はコストなどを算定基準としたが、「専門家不在の組織が多数決で決めた」(通信業界関係者)との指摘は根強く残る。
 総務省は8月にもジャパン・モバイルキャスティングから設備を借りて放送事業に参入する企業の参入募集を開始する。ソフトバンクグループや学習塾のナガセなどが参入に意欲を示すが、「枠が埋まらない可能性もある」(証券アナリスト)との声もある。
 KDDI幹部は「参入するメリットがない」と話すなど他の通信事業者との溝も埋まっていない。
 かつて携帯端末向け有料放送の先駆けといわれ、東芝などが主体となり04年にサービスを開始した「モバイル放送(モバHO!)」は加入目標の200万人に対し約10万人にとどまり、09年3月にサービスを終了する末路をたどった。米国でクアルコムが進めた「フローTV」も同社が撤退するなど、無料が中心となってきたネットサービス時代に有料放送の利用者確保は厳しい。「モバHO!」と同じ轍(てつ)を踏まないような知恵が必要になっている。

 ▼携帯端末向け新放送 24日に停止する地上アナログ放送の空き電波を使って2012年春に始まるサービス。現行の「ワンセグ」の約13倍のチャンネル数が使え、映像の画質も約10倍に高められる。スポーツや音楽ライブを生放送で楽しめるほか、端末にコンテンツを蓄積することもできる。雑誌やアプリなど映像以外のコンテンツを配信できるほか、簡易ブログ「ツイッター」などとも連携する。

2011年7月11日月曜日

携帯の電磁波、評価には時間――WHO「発がん性があるかもしれない」

証拠限定的、冷静に対応
 世界保健機関(WHO)が5月、携帯電話から出る電磁波に「発がん性があるかもしれない」という評価を下した。発がんのリスクはコーヒーや自動車の排ガスと同じ程度。ただ証拠は限定的で、WHOは今後、多角的に調査を続け、4年以上かけて総合評価をまとめるとみられる。
コーヒーと同分類
 評価をまとめたのは、国際がん研究機関(IARC)のタスク会議。同会議は携帯電話と脳腫瘍(神経こう腫、聴神経そう腫)に関する疫学研究、動物実験の結果から、携帯電話が出す電磁波の発がん性を「2B」と評価した。これは危険性を示す5つのランクのうち上から3番目。コーヒーや鉛、ガソリン自動車の排ガスと同程度のリスクだ。
 WHOは欧米で電磁波の健康影響が指摘されたのを受け、1996年から調査を始めた。疫学の分野では約1万人を対象に日本や英、仏、独など13カ国が参加した国際研究と、スウェーデンが独自に実施した成果を採用した。携帯電話の累積通話時間と神経こう腫の発症率を比較。通話時間が1640時間未満の場合は発症率は増えなかったが、それ以上では1・4倍高くなった。スウェーデンの研究でも通話時間が長くなるほど発症率が増加。2000時間以上通話した場合、携帯を使わないグループに比べて3・2倍も高くなった。
 同会議では疫学の結果からは、携帯電話が出す2ギガ(ギガは10億)ヘルツの周波数帯の電磁波に長時間さらされると、神経こう腫の発症につながるかもしれないと判断した。
 一方、動物実験では明確な結論は出なかった。ラットやマウスに2年間にわたり電磁波を当てた実験など40件以上の研究を調べたところ、がんを発症したマウスなどの匹数は当てなかった場合と比べて増えなかったものの、体内にできるがん細胞の数が増えたという実験が1件だけあった。同会議は動物実験の結果からは発がん性があるかどうかは不明確として、発がん性は「限定的な証拠にすぎない」とした。
 疫学調査や動物実験の結果と合わせて総合的に判断し電磁波を「人間に対して発がん性があるかもしれない」と評価した。これは「発がん性がある」としているたばこの煙やベンゼン、「おそらく発がん性がある」のポリ塩化ビフェニール(PCB)などより下のランクで、「発がん性を分類できない」のカフェインやコレステロールより上だ。
第1段階の一部
 ただ、同会議の発表は3段階あるリスク評価のうち、第1段階である「障害性評価」の一部。「リスクを定量的に評価しておらず、冷静に受け止めるべきだ」(総務省)。WHOは今後、神経こう腫と聴神経そう腫以外の脳腫瘍も疫学研究や動物実験を進めるほか、神経こう腫については追加の実験を実施してリスクを定量的に評価する。さらに電磁波による発がん性のリスクを軽減するガイドラインも策定する考えだ。
 WHOは発がんのリスクがあるかどうか最終的に判断する作業はこれまでも慎重に進めてきた。2000年代に実施した送電線などから出る3~3キロヘルツの低周波に関するリスク評価は約10年かかった。経済産業省系の財団法人、電気安全環境研究所電磁界情報センターの大久保千代次・所長は「今回の評価も4年以上かかるのでは」と話す。
 国内でも携帯電話の発がんリスクを調べる動きはある。東京女子医科大学の山口直人教授らは1日当たり20分を超えて携帯電話を使っている人が聴神経そう腫にかかるリスクは、使わない人に比べ2・74倍高いとする論文をまとめた。聴神経そう腫にかかったことがある約800人を対象に国内で実施した疫学調査の結果だ。ただ山口教授は「今回の実験だけで、携帯電話とがんの因果関係は証明できない」と話す。さらに複数回の疫学調査を実施した後、動物実験などと合わせてリスク評価する必要があるためだ。
 携帯電話の電磁波について総合的なリスク評価が発表されるまでは時間がかかりそうだが、どうしても気になる人はイヤホンやマイクを使い、携帯電話を頭部から離して使えば不安も和らぐ。長電話を控えてメールでやり取りする工夫もできる。また携帯電話は電波状況が良いところで通話するほど、出力が抑えられ、出てくる電磁波も弱くなる。仕事や生活と切り離せない道具である以上、リスク評価が確定するまでは冷静に付き合っていくとよいだろう。