東京大学の西沢直子特任教授らはイネが土壌から吸収し、細胞壁に沈着している鉄を溶かして有効利用する際に欠かせない遺伝子を突き止めた。この遺伝子が強くなるよう改良すると、アルカリ性が強くて植物が育ちにくい土壌でもイネがよく育つことも確認した。成果は米専門誌ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(電子版)に掲載された。
東大のバシル・クーラム特任研究員、東北大の石丸泰寛助教らとの共同研究成果。鉄は植物の生育に不可欠な元素。イネは土壌中の鉄を溶かして吸収するため、ムギネ酸類という物質を根から分泌しているが、いったん吸収した鉄を有効利用する仕組みも存在している。
研究チームはイネが根などの細胞壁に沈着した鉄を溶かすのに「フェノール性酸」という物質を利用しているのを突き止めた。この物質を細胞の外側に分泌する際に働くのが「PEZ」遺伝子で、細胞膜に存在していた。
この遺伝子を壊したイネは、フェノール性酸が細胞外に出ていけず、細胞壁に沈着した鉄を溶かし出せなくなった。栄養や水分を運ぶ導管の中の鉄濃度が下がり、地上部に鉄が十分運ばれなくなり、生育も悪くなった。逆にPEZを強く働かせると、本来は育ちにくいアルカリ性の土壌でもよく生育した。
フェノール性酸はイネ以外でも鉄の利用に重要なことが知られている。ムギやトウモロコシ、人でも働いているという。今回の成果が、イネ以外でPEZに相当する新たな遺伝子の発見につながると期待している。
2011年7月19日火曜日
関西大、光で微細模様、樹脂開発、たんぱく質転写――低コストの加工、有望。
関西大学の宮田隆志教授らは、光で表面に微細な凹凸をつけられる樹脂素材を開発し、たんぱく質などをスタンプのように転写することに成功した。マイクロチップなどの微小部品の作製に幅広く利用できるとみている。微小部品の作製には大がかりな装置が必要だったが、新技術なら光を当てるだけですむ。低コストの微細加工法として実用化を目指す。 開発したのは光エネルギーを吸収して収縮する高分子樹脂。光反応性のケイ皮酸ビニルとポリジメチルシロキサンを組み合わせた。樹脂に紫外光を当てると、その部分だけ構造が変わって薄くなる。45マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル間隔の格子模様のフィルターを載せて光を30分当てると、樹脂に凹凸ができ、格子がきれいに浮かび上がった。境界線も鋭かったという。 こうして作った格子模様の表面をスタンプに見立て、蛍光色素を付けたたんぱく質が入った溶液をインクにしてシリコンウエハーに押しつけた。蛍光顕微鏡で観察すると、スタンプの出っ張った部分のたんぱく質がウエハーに移る一方、くぼんだ部分にたんぱく質は付かず、格子模様をうまく転写できたことが確認できた。 たんぱく質などで微細模様を描くには、フォトリソグラフィーを使う方法もある。研究グループが開発した新技術と同じように光に反応する樹脂を利用する。ただ、光を当てて固まる性質のため、後で余分な樹脂を酸で洗って取り除くなどの作業が必要。新技術は光を当てる1度の操作だけなので、より簡便で使いやすい方法になる可能性がある。 応用例としてはたんぱく質の粒をチップ状に並べたマイクロチップや、マイクロ流路などが考えられる。どれほど細かい模様が描けるかを確認し、くっついてきれいにはがれる物質などスタンプとインク選びの相性も調べる。 |
抗がん剤開発に拍車、遺伝子の後天的制御を標的に、米社が日本で承認。
国内勢も導入へ
7月1日、米メルク社の日本法人であるMSDが、日本における皮膚T細胞リンパ腫の治療薬「ゾリンザ」の販売承認を獲得した。単なる希少疾患薬(オーファンドラッグ)ではない。最近急速に解明されつつある新しい生命現象、エピジェネティックス(遺伝子の後天的制御)と呼ばれる新たな創薬標的を射抜く、画期的な抗がん剤である。
エピジェネティックスはバイオテクノロジーにおけるポストゲノム研究の有望株。例えば国立がん研究センターのグループが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染による胃の慢性炎症がエピジェネティックス異常を蓄積し、胃がんを生じることを解明するなど、エピジェネティックスの異常ががんを引き起こすことが続々と報告されている。
従来の化学抗がん剤はがん細胞が増殖するために必要なたんぱく質や酵素を標的にしてきた。最近では、がん細胞にだけ特異的に生産されるたんぱく質を標的にした抗体医薬や、がんが増殖するために必要なリン酸化酵素を阻害する標的医薬、そして細胞内で老廃物となったたんぱく質を分解する酵素を阻害する新規の抗がん剤まで現れた。
こうした厳しい抗がん剤開発競争で、ゾリンザが標的とするのは、遺伝子のスイッチを調節するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)だ。ゲノムDNAと結合し、染色体の構造を緩めたり、締めたりする働きがある。これを阻害すると、がんで盛んにスイッチが入っていた増殖関連遺伝子などをオフにし、最終的には細胞死を誘導する。米国では既に2種類の医薬品が発売されており、ゾリンザは日本初のHDAC阻害剤となった。
今年1月には日本新薬がビダーザというエピジェネティックス新薬を発売している。これは日本で発売されたDNAメチル化酵素阻害剤の第1号だ。前がん状態とも言える骨髄異形成症候群の治療薬である。
エーザイはMGIファーマを買収し、DNAメチル化阻害剤のダコジェンを獲得、急性骨髄性白血病治療薬として米国で開発を進めていた。今年6月に発表したフェーズ3臨床試験の初期の解析成績は失望に終わったが、投薬した患者を1年間追跡した結果、薬効を証明でき、近く米国で販売申請を行う計画だ。
こうした実用化の成功がエピジェネティックス抗がん剤開発に拍車を掛ける。今や抗体医薬や標的医薬の次の戦場と言われるまでになった。
実際、2008年4月、武田薬品工業が抗がん剤開発のベンチャー企業、ミレニアム・ファーマスーティカルズを88億ドルで買収したが、ミレニアムの旧経営陣はその資金でエピジェネティック抗がん剤開発のベンチャー企業、コンステレーション・ファーマシューティカルズを創設した。
1周遅れが許されないことに気付いた武田やエーザイなど国内大手製薬企業も現在、エピジェネティックス抗がん剤導入に走っている。抗がん剤だけでなく、精神疾患に至る幅広い治療薬開発の可能性も秘めている。エピジェネティックス医薬は、企業の今後の成長性を占う試金石となる。
7月1日、米メルク社の日本法人であるMSDが、日本における皮膚T細胞リンパ腫の治療薬「ゾリンザ」の販売承認を獲得した。単なる希少疾患薬(オーファンドラッグ)ではない。最近急速に解明されつつある新しい生命現象、エピジェネティックス(遺伝子の後天的制御)と呼ばれる新たな創薬標的を射抜く、画期的な抗がん剤である。
エピジェネティックスはバイオテクノロジーにおけるポストゲノム研究の有望株。例えば国立がん研究センターのグループが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染による胃の慢性炎症がエピジェネティックス異常を蓄積し、胃がんを生じることを解明するなど、エピジェネティックスの異常ががんを引き起こすことが続々と報告されている。
従来の化学抗がん剤はがん細胞が増殖するために必要なたんぱく質や酵素を標的にしてきた。最近では、がん細胞にだけ特異的に生産されるたんぱく質を標的にした抗体医薬や、がんが増殖するために必要なリン酸化酵素を阻害する標的医薬、そして細胞内で老廃物となったたんぱく質を分解する酵素を阻害する新規の抗がん剤まで現れた。
こうした厳しい抗がん剤開発競争で、ゾリンザが標的とするのは、遺伝子のスイッチを調節するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)だ。ゲノムDNAと結合し、染色体の構造を緩めたり、締めたりする働きがある。これを阻害すると、がんで盛んにスイッチが入っていた増殖関連遺伝子などをオフにし、最終的には細胞死を誘導する。米国では既に2種類の医薬品が発売されており、ゾリンザは日本初のHDAC阻害剤となった。
今年1月には日本新薬がビダーザというエピジェネティックス新薬を発売している。これは日本で発売されたDNAメチル化酵素阻害剤の第1号だ。前がん状態とも言える骨髄異形成症候群の治療薬である。
エーザイはMGIファーマを買収し、DNAメチル化阻害剤のダコジェンを獲得、急性骨髄性白血病治療薬として米国で開発を進めていた。今年6月に発表したフェーズ3臨床試験の初期の解析成績は失望に終わったが、投薬した患者を1年間追跡した結果、薬効を証明でき、近く米国で販売申請を行う計画だ。
こうした実用化の成功がエピジェネティックス抗がん剤開発に拍車を掛ける。今や抗体医薬や標的医薬の次の戦場と言われるまでになった。
実際、2008年4月、武田薬品工業が抗がん剤開発のベンチャー企業、ミレニアム・ファーマスーティカルズを88億ドルで買収したが、ミレニアムの旧経営陣はその資金でエピジェネティック抗がん剤開発のベンチャー企業、コンステレーション・ファーマシューティカルズを創設した。
1周遅れが許されないことに気付いた武田やエーザイなど国内大手製薬企業も現在、エピジェネティックス抗がん剤導入に走っている。抗がん剤だけでなく、精神疾患に至る幅広い治療薬開発の可能性も秘めている。エピジェネティックス医薬は、企業の今後の成長性を占う試金石となる。
1万個のセンサー組み込み、橋の劣化状態、即時判定―NTTデータ、解析技術。
NTTデータは1万個のセンサーのデータを毎秒数十万件の速度で解析処理できるシステムを実用化した。橋に組み込んだ多数のセンサーを使い、コンクリートなどの劣化状態を瞬時に判定できる。米国の金融業界で自動取引システムなどに採用されている技術を応用した。企業や自治体などに売り込み、2015年度末までに200億円の売り上げを目指す。 設定した条件に基づいて自動的に株式を売買する「アルゴリズム取引」システムなどで実績のある処理手法を採用した。「CEP(複合イベント処理)」と呼ばれる手法で、刻々と変化するデータを、リアルタイムで処理できる。 今回、橋の劣化状態を判定する既存ソフトの判定ロジックをCEPに組み込み、1万個のセンサーの情報から橋の劣化状態をリアルタイムに判定する実験に成功した。 NTTデータは今回のシステムを、業務システムのデータを分析して経営戦略に生かす「ビジネスインテリジェンス(BI)」の分野で利用する。大量のデータをリアルタイムで処理できる利点を企業などに売り込む。 |
スパコン能力7倍、日立、科学技術用に新モデル。
日立製作所は流体解析や気象予測など科学技術計算に的を置いたスーパーコンピューターシリーズSR16000に、計算能力を引き上げたサーバーモデル「M1」=写真=を加えると発表した。21日から販売する。従来モデルと比べ、サーバーの設置面積当たりで理論上の能力は最大7倍になる。
M1は計算処理単位である1ノードに、高性能プロセッサー4個、メモリーを最大256ギガ(ギガは10億)バイトまで搭載できる。プロセッサーの発熱をすべて水で冷やす技術に加え、プロセッサーボードの高密度実装技術で、設置面積当たりの能力を引き上げた。
M1は高エネルギー加速器研究機構の次期スーパーコンピューターシステムの一部に採用された。9月1日から稼働する予定。64ノードを導入し、素粒子や原子核分野のシミュレーションなどに利用する。
日立はM1を含むSR16000シリーズを、2012年度までの5年間で合計30システム販売する計画。スパコンの開発を巡って、富士通やNECなどとの競合が一段と激しくなっている。
M1は計算処理単位である1ノードに、高性能プロセッサー4個、メモリーを最大256ギガ(ギガは10億)バイトまで搭載できる。プロセッサーの発熱をすべて水で冷やす技術に加え、プロセッサーボードの高密度実装技術で、設置面積当たりの能力を引き上げた。
M1は高エネルギー加速器研究機構の次期スーパーコンピューターシステムの一部に採用された。9月1日から稼働する予定。64ノードを導入し、素粒子や原子核分野のシミュレーションなどに利用する。
日立はM1を含むSR16000シリーズを、2012年度までの5年間で合計30システム販売する計画。スパコンの開発を巡って、富士通やNECなどとの競合が一段と激しくなっている。
半導体ウエハー、表面状態1秒で観測――東北大が新顕微鏡、微細化に一役。
東北大学の板谷謹悟教授と大見忠弘教授らの研究グループは、半導体の製造工程でのシリコンウエハー表面の状態を高速で観測できる光学顕微鏡システムを開発した。従来、シリコンウエハー表面を観測するには数時間から数十時間かかったが、新システムは1秒程度で原子レベルの配列を把握できる。将来は半導体の製造・検査工程に組み込めるとみられ、微細化・高密度化が進む半導体の品質安定と大量生産を支援するシステムとして期待される。
既存の光学顕微鏡の部品を改良するとともに、計測方法も工夫してシステムとしてのノウハウを積み上げた。その結果、空気中や水溶液中で化学反応させたシリコンの原子配列の段差などを観察できた。0・1ミリメートル角の範囲で1秒以下という高速の観測を可能にした。
半導体は、基板となるシリコンウエハーを熱したり化学反応で削ったりしながら回路を形成していく。板谷教授らによると、半導体の微細化が進むなか、製造過程でシリコンウエハー表面に微妙な凹凸やひずみも生じやすく、半導体の性能や品質に影響する恐れもあるという。
表面の状態を調べるには、電子線を照射しながら表面画像をコンピューターで読み取る「走査性電子顕微鏡」を使う方法などがある。ただ現状の方式は計測に時間がかかるうえに観察範囲も数マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル角と狭く、製造ラインに組み込むのは難しいという。板谷教授らは今回の技術をもとに半導体製造装置メーカーなどと協力して、製造工程に組み込める検査システムとしての実用化を目指す。
既存の光学顕微鏡の部品を改良するとともに、計測方法も工夫してシステムとしてのノウハウを積み上げた。その結果、空気中や水溶液中で化学反応させたシリコンの原子配列の段差などを観察できた。0・1ミリメートル角の範囲で1秒以下という高速の観測を可能にした。
半導体は、基板となるシリコンウエハーを熱したり化学反応で削ったりしながら回路を形成していく。板谷教授らによると、半導体の微細化が進むなか、製造過程でシリコンウエハー表面に微妙な凹凸やひずみも生じやすく、半導体の性能や品質に影響する恐れもあるという。
表面の状態を調べるには、電子線を照射しながら表面画像をコンピューターで読み取る「走査性電子顕微鏡」を使う方法などがある。ただ現状の方式は計測に時間がかかるうえに観察範囲も数マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル角と狭く、製造ラインに組み込むのは難しいという。板谷教授らは今回の技術をもとに半導体製造装置メーカーなどと協力して、製造工程に組み込める検査システムとしての実用化を目指す。
電力自給の下水処理、メタウォーター、50~100%賄う――発生メタン活用。
水処理事業の国内最大手であるメタウォーター(東京・港、木田友康社長)は下水処理向けに、バイオマス発電などを利用して電力を賄うシステムの開発にめどをつけた。特殊樹脂で下水を効率的にろ過するほか、汚泥を発酵させてつくるメタンガスを使い燃料電池で発電する。都市ガスも原料に加えると下水処理に必要な電力の50~100%を供給でき、来春以降に全国の自治体へ売り込む。
このほど、省エネ型の下水処理技術の開発を目指す国土交通省のモデル事業に選ばれた。国交省から11億円の補助金を得て、大阪市内の下水処理場にパイロットプラントを建設する。1日当たりの処理量は5700立方メートルの見通し。日本下水道事業団と共同で、2012年3月まで実証実験に取り組む。
下水処理場では通常、家庭などの汚水を沈殿池に一定期間ためて、水と固形物を分離する。固形物と分離した後の水は、さらに微生物を入れて有機物を分解して浄化している。この際、空気を送り込んで微生物の働きを活性化させるため大量の電力が必要。下水道処理施設で使う電力の約3割が空気を送り込む装置で利用されている。一般に下水処理場で使う電力は日本全体の電力供給量の約1%を占めるという。
メタウォーターのシステムはまず、家庭から出た汚水を貯水槽に入れ、水と汚泥に分離。装置内に浮かせた樹脂の粒の間に水を通すことで、効率的に水を浄化する。汚泥の除去率は66%と従来より20ポイント改善する。樹脂でろ過した水は有機物が少なく、微生物による浄化処理に必要な電力を2割減らせるという。
こうして前工程で省エネ化したうえで、水と分離した後の汚泥を自家発電に利用する。汚泥槽の中に菌を入れて発酵させ、メタンガスを発生させる。槽に不織布を入れて菌を増殖しやすくするほか、自治体が家庭から回収した生ゴミも加えてメタンガスの発生量を増やす。
このメタンガスを原料に燃料電池で発電する。大阪市の実証設備の場合、メタンガスだけの発電量能力は25キロ~30キロワット。燃料電池の原料として都市ガスも使えば能力は100キロワットと、実験場となる下水処理設備の電力をほぼ賄える。
電力不足の長期化が予想されるなか、実証実験で効果を確認して自治体に販売する。新システムは一般の下水処理設備で使う電力の50~100%を供給できる見通し。将来は新興国など海外でも販売する考えだ。
メタウォーターは富士電機グループと日本ガイシの水事業が統合して08年に発足した。10年度の売上高は09年度比で横ばいの1005億円、営業利益は約2割増の81億円だった。
このほど、省エネ型の下水処理技術の開発を目指す国土交通省のモデル事業に選ばれた。国交省から11億円の補助金を得て、大阪市内の下水処理場にパイロットプラントを建設する。1日当たりの処理量は5700立方メートルの見通し。日本下水道事業団と共同で、2012年3月まで実証実験に取り組む。
下水処理場では通常、家庭などの汚水を沈殿池に一定期間ためて、水と固形物を分離する。固形物と分離した後の水は、さらに微生物を入れて有機物を分解して浄化している。この際、空気を送り込んで微生物の働きを活性化させるため大量の電力が必要。下水道処理施設で使う電力の約3割が空気を送り込む装置で利用されている。一般に下水処理場で使う電力は日本全体の電力供給量の約1%を占めるという。
メタウォーターのシステムはまず、家庭から出た汚水を貯水槽に入れ、水と汚泥に分離。装置内に浮かせた樹脂の粒の間に水を通すことで、効率的に水を浄化する。汚泥の除去率は66%と従来より20ポイント改善する。樹脂でろ過した水は有機物が少なく、微生物による浄化処理に必要な電力を2割減らせるという。
こうして前工程で省エネ化したうえで、水と分離した後の汚泥を自家発電に利用する。汚泥槽の中に菌を入れて発酵させ、メタンガスを発生させる。槽に不織布を入れて菌を増殖しやすくするほか、自治体が家庭から回収した生ゴミも加えてメタンガスの発生量を増やす。
このメタンガスを原料に燃料電池で発電する。大阪市の実証設備の場合、メタンガスだけの発電量能力は25キロ~30キロワット。燃料電池の原料として都市ガスも使えば能力は100キロワットと、実験場となる下水処理設備の電力をほぼ賄える。
電力不足の長期化が予想されるなか、実証実験で効果を確認して自治体に販売する。新システムは一般の下水処理設備で使う電力の50~100%を供給できる見通し。将来は新興国など海外でも販売する考えだ。
メタウォーターは富士電機グループと日本ガイシの水事業が統合して08年に発足した。10年度の売上高は09年度比で横ばいの1005億円、営業利益は約2割増の81億円だった。
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