2011年7月5日火曜日

糖尿病や動脈硬化、肥満でも進行せず、東大、たんぱく質の働き抑制

 東京大学の宮崎徹教授らは、体の脂肪を溶かすたんぱく質の働きを抑えると、太っていても糖尿病や動脈硬化に進行しないことをマウス実験で突き止めた。肥満に伴う慢性炎症が起こらないため、病気を発症しない。既に発症していても進行を食い止められるとみている。成果は米科学アカデミー紀要(電子版)に5日掲載される。
 このたんぱく質は「AIM」。脂肪細胞がため込んだ脂肪を分解する働きがある。実験用に体内でAIMを作れなくした遺伝子改変マウスを作製した。高カロリー食を与え肥満にさせても、脂肪組織や全身に炎症が起こらなかった。慢性炎症が引き金になり発症する糖尿病や動脈硬化を抑えることができた。
 通常マウスを太らせ糖尿病にすると、血糖値が下がりにくくインスリンも効きにくくなる。改変マウスは肥満度がより高くても血糖値やインスリンの効き目が悪くならず、発症もしなかった。
 宮崎教授は昨年、AIMが脂肪を溶かし肥満を抑えるブレーキとして働くことを解明。しかし、それを上回って太るとAIMの作用がマイナスに転じ、炎症を起こした。宮崎教授は「太り始めはAIMを外から補い、肥満が進んだら逆にAIMを抑える薬を投与すれば病気を防げる」と話す。
 大日本住友製薬と共同研究を始めており、10年後をめどに薬を実用化したい考えだ。

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