2013年1月23日水曜日

レビー小体型認知症、微量な脊髄液で判定、新潟大、負担減、早期診断に道。

 新潟大学の池内健准教授らは、三大認知症の一つ、レビー小体型認知症を、患者から採取した微量な脊髄液で判定する技術を開発した。病気の目印となるたんぱく質にくっつく物質を使い、光らせることで見分ける。高齢化で患者数が増える認知症の中でもレビー小体型は診断が難しい。早期診断につながるとみており、臨床研究の患者数を増やして実用化を急ぐ。
 レビー小体型認知症はアルツハイマー型に次いで多いとされる。実際に存在しない人や物が見える幻視などが典型的な症状だが、幅広い症状を持つ患者も半数おり、症状では見分けにくい。
 研究グループは、患者の脊髄液にアルファシヌクレインというたんぱく質が含まれることに着目。それと結合しやすいたんぱく質(抗体)を2種類選び、その片方に光る物質をくっつけた。アルファシヌクレインがあると、抗体が上下から挟み込んで結合して光る。
 注射針で抜き取る脊髄液は100マイクロ(マイクロは100万分の1)リットルと微量なので、患者の負担を軽減できる。レビー小体型やアルツハイマー型、その他の型の認知症患者それぞれ40人で調べた。レビー小体型の患者の場合、アルファシヌクレインの量は他の認知症患者の約5~6割に減っていた。
 池内准教授は「アルファシヌクレインの量が少ないと、レビー小体型と診断できる可能性が高い」とみている。今後、健康な人などとの比較を進めて検出精度の向上を目指す。
 抗体を使ってアルファシヌクレインを検出しようとする試みはあった。しかし、患者の脊髄液に含まれるアルファシヌクレインは微量で、1種類の抗体では結合しないことが多かった。新技術の検出感度は従来法よりも数倍高いという。
 アルツハイマー型認知症は、記憶をつかさどる脳の海馬という部分が萎縮するため、磁気共鳴画像装置(MRI)で調べれば診断できる。レビー小体型はうつ病などと誤診されることも多い。交感神経にも異常がみられるため、心臓を調べることで診断する手法が昨年から始まったが、専用装置を持つ病院でしか対応できない問題があった。
 ▼レビー小体型認知症 アルツハイマー型や脳血管性と並んで代表的な認知症の一つ。横浜市立大学医学部の小阪憲司名誉教授が発見した。国内に40万~50万人の患者がおり、認知症の約2割を占めるとされる。
 記憶をつかさどる脳の海馬の萎縮が起きるアルツハイマー型と違い、大脳皮質に「レビー小体」という特殊なたんぱく質の塊が多数現れ、神経細胞を傷つける。うつ病と診断されて抗うつ剤を使う患者も多いが、薬が効きすぎて問題となることがある。

カシオ、Gショック3割軽く、樹脂バンド、変色も抑制。

 カシオ計算機は主力の腕時計「Gショック」シリーズのバンド部分などに使う素材で本体重量を従来より3割軽くできる新素材を開発した。国内の素材メーカーと衝撃などを受けても摩耗しにくい樹脂を共同で開発。汗などによる変色も抑えたという。2012年度の秋冬製品から一部製品で採用を始めており、13年度から本格的に採用機種を広げる。
 新たに開発した素材は「ファインレジン」。メガネのフレームなどで使用実績がある強度に優れたポリアミド樹脂をベースに開発した。樹脂に色素を混合したうえで固形化し、射出成型機を使って腕時計向けに加工をするため、表面が退色することがない。新素材は紫外線による変色も抑えられるほか、肌への負担も軽減できるという。
 Gショックのバンド素材はステンレスが中心で女性向けなどでは軽量化が難しかった。プラスチック素材のものも、腕時計と同じ色を後から塗装するため退色しやすいなどの難点があった。
 カシオでは12年秋冬製品で「Gショック」と女性向けの「ベイビーG」の一部製品で採用を始めた。女性向けの腕時計に採用した場合の重量は54グラムとステンレス製より3割軽くなるという。
 腕時計のバンド部分は汗など湿気を含むほか、ステンレスなどの金属アレルギーを懸念する女性も少なくない。樹脂を使うことでかぶれなどを軽減できる。現在、男性用腕時計はバンドの一部分への採用にとどまっているが、今後は100%新型素材を使用した製品開発も進めていく。