2011年7月5日火曜日

米パデュー大学、ハワイ、マグマ垂直上昇ない

 米パデュー大学の研究者らは、ハワイ諸島の地下に従来あるとされていたマグマの垂直上昇の流れがないとする研究を発表した。地震波が地下で散乱する様子を解析したところ、ハワイ諸島西部の上部・下部マントルの間に、幅約800~2000キロメートルにわたって高温物質がたまっていることが明らかになった。
 下部マントルから上がってきたマグマがたまり、その後ハワイ諸島に向かって上昇する可能性が高いという。ハワイ諸島の火山活動の原動力として、これまでは下部マントルから幅が狭いマグマが垂直に上昇していると考えられていた。

遺伝子組み換え植物栽培の工場、ノーステック財団が建設

北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団)は、遺伝子組み換え植物などを人工的に栽培できる「植物工場」を札幌市内に建設する。建設費は10億円で、約6億円を国が補助する。企業に開放し、道産農産物を原料にした医薬品開発に役立ててもらう。
 11月から産業技術総合研究所北海道センターの敷地内で植物工場を建設し、2012年6月に完成させる。延べ床面積は910平方メートル。工場を密閉し、実験的に栽培する植物の花粉が外部に出ないようにする。
 植物工場では、遺伝子組み換え作物の開発や、水耕栽培の収量拡大技術、植物から効率的に医薬成分を抽出する技術を研究する。

糖尿病や動脈硬化、肥満でも進行せず、東大、たんぱく質の働き抑制

 東京大学の宮崎徹教授らは、体の脂肪を溶かすたんぱく質の働きを抑えると、太っていても糖尿病や動脈硬化に進行しないことをマウス実験で突き止めた。肥満に伴う慢性炎症が起こらないため、病気を発症しない。既に発症していても進行を食い止められるとみている。成果は米科学アカデミー紀要(電子版)に5日掲載される。
 このたんぱく質は「AIM」。脂肪細胞がため込んだ脂肪を分解する働きがある。実験用に体内でAIMを作れなくした遺伝子改変マウスを作製した。高カロリー食を与え肥満にさせても、脂肪組織や全身に炎症が起こらなかった。慢性炎症が引き金になり発症する糖尿病や動脈硬化を抑えることができた。
 通常マウスを太らせ糖尿病にすると、血糖値が下がりにくくインスリンも効きにくくなる。改変マウスは肥満度がより高くても血糖値やインスリンの効き目が悪くならず、発症もしなかった。
 宮崎教授は昨年、AIMが脂肪を溶かし肥満を抑えるブレーキとして働くことを解明。しかし、それを上回って太るとAIMの作用がマイナスに転じ、炎症を起こした。宮崎教授は「太り始めはAIMを外から補い、肥満が進んだら逆にAIMを抑える薬を投与すれば病気を防げる」と話す。
 大日本住友製薬と共同研究を始めており、10年後をめどに薬を実用化したい考えだ。