2013年1月29日火曜日

大同特殊鋼、プリウスの「魔法の粉」増産――スマホに供給へ


新ライン建設、成長分野に、磁力付き合金 HV基幹素材
 国内新車販売でトップを走るトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」。この人気車種で使われている大同特殊鋼製の特殊な鉄粉にひそかな注目が集まっている。燃費を良くし製造コストも削減できるためHVには欠かせない素材となっており、新たにスマートフォン(スマホ)への供給も狙う。大同特殊鋼は4月にも増産を始める。韓国など海外勢からも引っ張りだこの“魔法の粉”とは一体何なのか。
 大同の名古屋市内の「築地テクノセンター」。ここにあるビル内の応接室の入り口にはハングル語の案内板がかかっている。国内の自動車メーカーの関係者ばかりではなく、韓国からのビジネスマンも増えているからだ。お目当ては同拠点内で生産している金属製の粉末だ。
 この鉄粉の名称は「金属製磁性粉末」。大同が開発した。鉄にシリコンを3%程度混ぜた磁力付き合金で、直径0・1ミリメートルほどの粉状に加工されている。
 トヨタのプリウスにはバッテリー電圧を上げる電磁石に似た装置(リアクトル)が搭載されているが、昇圧性能を左右する鉄心はこの鉄粉によってつくられている。現行の3代目プリウスは最大電圧が先代の500ボルトから650ボルトへと引き上がった。これは新たなリアクトルがあることで昇圧機能が高まったため。結果としてモーターの小型、高出力化が可能になった。さらにモーターの駆動電流も低減できるため、インバーターの発熱量を抑え部品の小型化が進んだという。
 もともとトヨタは大手鉄鋼メーカーの電磁鋼板を加工することで、リアクトルの鉄心をつくってきた。ただ、その場合は板を切り抜く際に無駄が出るほか組み立てが煩雑。鉄粉ならば金型に入れてプレス成形するだけでよく「3分の2のコストですむ」(大同特殊鋼の大河内敬雄・粉末工場長)という。
 トヨタは、2001年、大同の特許資料からこの技術を“発見”。HV専用鉄粉の開発を持ちかけた。
 とはいえ、もとはパソコン回路向けを想定した技術だ。磁力のバランス、耐久性、耐熱性などHVが求める条件をクリアするには壁があった。プレス成形しても壊れにくい粉の形状にし、熱を帯びないようにひとつひとつの鉄粉を特殊材で覆う。01年に始まった共同開発は途中の中止期も含め、実用化のメドがたったのは08年だった。
 大同の鉄粉を使ったリアクトルは安いだけでなく、磁力特性も板材製より向上している。結果としてリアクトル自身を小さくできるようになったほか、使用電流も少なくすむためモーターなど周辺部品の電線コストも抑えられる。トヨタにとっては原価ダウンと燃費改善という、HVシステムの根底を支える基幹素材だ。09年発売の現行プリウスから全面採用された鉄粉は11年末発売の小型HV「アクア」でも使われている。
 大同の次の課題はさらなるコスト改善とライバルとの競争だ。トヨタは14年度にも次期モデルのプリウスを発売する予定。システム価格をさらに引き下げる方向で部品の最終選定を進めている。JFEスチールなど他の製鉄会社も挽回を目指し新技術の開発を急いでいるもよう。大同特殊鋼は「質の良さをアピールしたい」(大河内工場長)と勝負に挑む構えだ。
 12年はトヨタの国内販売車のうち約4割がプリウスなどのHVだったという。量産効果がコストダウンの最大要因とされるHVシステムだが、今までにない素材や部品の採用もそこに一役買っている。
 最近は他の国内の自動車メーカーのほか、韓国や欧米メーカーからも問い合わせがあるほか、スマホやタブレット端末への供給も始めようとしている。
 大同の粉末はスマホにも重要な素材になり得る。スマホなどの電子機器の電子回路では電圧変換などに使う「インダクタ」と呼ばれる部品を搭載している。大同の粉末を採用したインダクタは酸化鉄が主成分の従来の素材に比べて電流を流しやすい。電圧変換部品であるインダクタのサイズを小さくしてスマホ自体も小型にできる利点がある。
 粉末事業にアクセルを踏む大同。「築地テクノセンター」内の工場に金属粉末の生産ラインを建設中だ。HVやスマホ向けのラインとし、4月には増産を始める。名古屋市内の拠点に約10億円を投資。生産能力を年1万5000トンと従来比で5割程度増やす。
 大同は「まだ社内では小さなビジネスにすぎないが、成長分野だ」(同社幹部)という。粉末事業は連結売上高4500億円(13年3月期見込み)の1%強にとどまる。自動車向け中国事業などが伸び悩む中、特殊鋼低迷の中で成長する数少ない事業だ。
 大同は粉末事業を15年3月期の事業売上高で90億円と現状比5割増やす計画だ。クルマからスマホへ。夢の素材は大きく花開くのか。プリウスに端を発した粉末の波及効果は計り知れない。

火力発電停止最小限に、三菱電が制御システム、宇宙線・静電気に強く。



部品交換も短縮
 三菱電機は信頼性と操作性を大幅に高めた火力発電所制御システムを開発した。制御システムは宇宙線や静電気の影響など不可抗力とされる理由で半年に1回程度は再起動を余儀なくされ、発電は最低でも数時間止まる。新システムは再起動の必要がなく、稼働率が高まる。2013年後半に提供を始める計画。将来は新システムをベースに原子力発電所向け制御システムの展開も目指す。
 発電所制御システム「MELSEP5」は三菱電機にとって、約13年ぶりとなる新システム。
 現行の制御システムは宇宙線や静電気、近隣での工事用機器の影響により、半年に1回程度の頻度で再起動を余儀なくされている。通信機器のデータが一時的に送受信できなくなるためで、システムに異常がない場合でも点検のために数時間は発電が止まっている。
 新システムはデータを一時読み取れなくなっても周辺機器や前後の時間を参考にデータをリカバリーする機能を盛り込んだ。これによって、宇宙線や静電気などの影響で再起動が必要になることはほぼ無くなるという。
 約20年ごとの制御システムの更新にかかる手間も減らす。CPU(中央演算処理装置)や電源など電源系統の基幹部品を「モジュール盤」にまとめ、専用アダプターを介してプラモデルのように組み付けられるようにした。モジュール盤やケーブルを逐一取り外したり、部品交換したりする手間が無くなる。現行モデルでは半年かかる期間が1~2カ月で済む。
 火力発電所には国が定める定期点検期間があり、三菱電機は定期点検を使えば発電所を止める期間は実質ゼロになるとみている。
 操作性では、発電所の異常箇所を末端まで追跡できるように改善した。発電所の運転中に圧力上昇などの警報が出た場合、現在は広い敷地内のどこの場所に異常があるのか正確には分からない。保守担当者は警報を受けて現場に急行。どこに問題があるのか現場で確認することになる。新システムは詳細な設計図を搭載し、警報が鳴った段階で、保守担当者にどこへ急行すべきか連絡することができる。
 新システムの販売価格などは非公開だが、三菱電機は14年以降、年間10件の受注を見込む。同社によると、宇宙線や静電気といったこれまで不可抗力とされている要因による発電所稼働停止を防ぐ機能は世界初という。
 三菱電機は約30年前に火力発電所の電子制御システムに参入。同社が納入したシステムは国内で約60件が稼働中で、日立製作所、東芝に次いで25%程度のシェアを持つ。

リプロセル、アルツハイマー薬、開発用神経細胞、iPSから2種生産。


新薬候補探索、効率的に
 バイオベンチャーのリプロセル(横浜市、横山周史社長)はアルツハイマー病の治療薬開発に使う神経細胞のうち、「グルタミン酸」で神経伝達するものをiPS細胞から安定生産する技術を確立した。4月から製薬会社や大学に供給を始める。もう1つのiPS由来神経細胞と合わせると、アルツハイマー病治療薬候補の探索に必要な神経細胞がそろうことになり、新薬開発の効率が高まるという。
 アルツハイマー病の患者は、アセチルコリンという物質の刺激によって神経伝達をする「コリン作動性神経細胞」と、アミノ酸の一種であるグルタミン酸で神経伝達する「グルタミン酸作動性神経細胞」の両方の細胞に異常が見られることが知られている。
 リプロセルは2010年に、iPS細胞から作り出したコリン作動性神経細胞を発売した。今回発売するグルタミン酸作動性神経細胞と同時に使用すれば、より詳細にかつ迅速にアルツハイマー病の治療薬候補が探索できるようになるという。
 両細胞ともに、正常なヒト神経細胞の特徴を持つ通常型と、アルツハイマー病の患者の神経細胞と同じように細胞内に「アミロイドベータ」というたんぱく質が蓄積しやすい特徴を持つ「アルツハイマー病モデル神経細胞」を品ぞろえする。
 グルタミン酸作動性神経細胞は96サンプル分の試験ができる細胞1セットが20~30万円になる予定。年間売上高としては約2000万円を目指す。

ナノチューブ束ねて糸に、帝人、研究向けに出荷、電子機器の配線用。

 帝人はナノテク炭素材料のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を束ねてできた糸を量産する技術を開発した。金属並みに電気をよく伝え、電子回路の配線で一般的な銅の30倍の強度がある。研究向けにサンプル出荷を始めた。電子機器の配線などへの応用を目指す。成果は米科学誌サイエンスに発表した。
 糸のように長いナノチューブ繊維を開発したのは帝人のオランダ子会社であるテイジン・アラミドと、米ライス大学や米空軍の研究所など。
 カーボンナノチューブを強い酸に溶かし、その液を細い穴が開いたノズルを使い水槽に流し込んだ。直径8~10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのナノチューブ繊維が毎分10メートルの速度でできた。まず約500メートルまで作れた。
 防弾チョッキなどに使うアラミド繊維の製法を応用し、電気や熱の伝わり方を高め、実用レベルを達成した。

宇宙開発日本はどこへ(上)国産衛星、官製市場に限界―企業の活力生かせるか。

 日本の宇宙開発戦略が問われている。政府は2013年度から5年間の政策を示す宇宙基本計画を新たに始める。日本の宇宙産業を国頼みから企業が主役の成長産業に変えて、20年度には15兆円市場に倍増すると意気込む。欧米やロシアが先を行き、中国やインドが台頭するなか、日本らしい宇宙開発へどう道筋をつけるか。課題を検証する。
 日本版全地球測位システム(GPS)を目指す最初の1基「準天頂衛星」が昨年末、突然、時刻を刻まなくなった。もう一つの時計が壊れたら位置が測れない。深刻な事態だが、運用する宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「問い合わせは一件もない」(広報部)。
 それから約1カ月後、遠く宇宙に浮くこの衛星が日本の目玉事業になる。安倍晋三首相は25日、官邸で開いた宇宙開発戦略本部で「宇宙は成長エンジン。防災対策にも活用できる」と強調。準天頂衛星を柱とする新宇宙基本計画を決めた。
 政府は同衛星を17年度までに3基追加し、いずれ7基で米国のGPSから乗り換える。11年にはGPSと併用し、無人農機を数センチ刻みで動かす実験もした。7基体制には約3000億円かかるが、独自の位置情報サービスで日本とアジアで4兆円の経済効果をもくろむ。
 だが、国が笛を吹いても、民間はそう簡単には踊らない。準天頂衛星の実験を進める衛星測位利用推進センターの松岡繁・副本部長は「様子見の企業がいる」と明かす。
 昨年末、中国版GPSサービスがアジア太平洋地域で始まった。中国は独自の衛星16基を運用中。20年には米国のGPSに匹敵する35基に増やす。ロシアは米国に対抗し、欧州も参入をうかがう。日本は2基目以降の打ち上げ予定などがいまだ不透明。松岡氏は「ビジネスにつなげる戦略が必要」と気にかける。
 日本の戦略は企業の役割を描けていないのが最大の問題だ。国内の宇宙関連機器の売り上げ約2600億円の9割は政府が支える。財政難から予算は増えず、ここ8年でロケット関連の撤退企業は54社に上る。国が丸抱えの官製市場では成長は望み薄だ。
 「打ち上げてから使ってくださいではなく、ニーズを衛星の仕様に盛り込み国内産業につなげることが大事」。中須賀真一東京大教授が意見を言ったのは、委員として宇宙基本計画を議論した昨年の内閣府宇宙政策委員会の席上だった。
 日本は海外の商業衛星から毎年約100億円分もの撮影画像を買う。委員会では「国産のいい画像が出てくれば購入を検討したい」と防衛省側が発言。国内の需要を取り込めない国産衛星にやりきれなさが募る。
 日本にも27日に打ち上げた情報収集衛星や、開発に合計464億円をかけ13年度以降に投入するJAXAと経済産業省の衛星2基がある。衛星画像の流通に民間を生かす視点があれば、国内で富を分かち合える。
 宇宙開発は軍事と関わり、米国でも4兆円超と政府の支出は多い。それでも民間の知恵を取り込み、米企業の宇宙船を国際宇宙ステーションに就航させた。「情報が集まりやすい官がその情報をメーカーとユーザーをつなぐのに有効活用する発想を」。宇宙政策委員を務める山川宏京都大教授の訴えは切実だ。

持ち運べる燃料電池、ボンベ1本で運転

 ■産業技術総合研究所 28日、持ち運べる燃料電池システムを開発したと発表した。市販の液化石油ガス(LPG)カセットボンベ1本で24時間連続運転できるという。災害時や野外でも電子機器を使えるようにする。2~3年後の実用化を目指す。
 試作システムは縦23センチメートル、横約25センチメートル、高さ約13センチメートル。重さは5キログラム程度。出力は50ワット。電圧は電池のつなぎ方によって5~36ボルトという。
 微小な固体酸化物形燃料電池を36本入れた。燃料電池をバーナーで燃焼した排ガスで温め、LPGを供給して発電する。2分以内に5ボルトで動く発光ダイオード(LED)ライトを点灯できた。
 従来はLPGをいったん高価な貴金属の触媒を入れた装置で処理する必要があった。今回、電極にナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの酸化セリウムを採用、LPGから直接発電できるようにした。

曲がるタッチパネル、産総研、実用化急ぐ、カーボンナノチューブ活用。


 産業技術総合研究所は、曲げに強いタッチパネル=写真=を試作した。代表的なナノテクノロジー(超微細技術)素材のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を塗ることで、折り曲げても電気を流せる透明フィルムをパネルに使った。丸めて持ち歩けるタッチパネルの実現につながる成果。耐久性などを高め、早期の実用化を目指す。
 新しい導電フィルムはカーボンナノチューブのインクを印刷技術で表面に印刷して作る。高温や真空の状態で製造する現行のインジウムとスズの酸化物を使うフィルムに比べ、製造コストを大幅に減らせるという。衝撃や曲げにも強い。
 このフィルムを隙間ができるようにして2枚張り合わせたタッチパネルを試作。曲げた状態でペンでパネルをなぞり、ペンの軌跡がディスプレーに表示できることを確かめた。

CRESTエピゲノムの診断・治療技術



 食生活や老化、ストレスなどの後天的な要因で遺伝子の働きが変わる「エピゲノム」。様々な病気と関係すると考えられ、世界で診断や治療に関する技術の研究が活発になってきた。日本で先頭を走るのが、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の「エピゲノム研究に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出」だ。
 「ようやく肝臓のエピゲノムの解読にメドがたった」。国立がん研究センター研究所の金井弥栄・分子病理分野長はこう話す。正常な人の組織ごとにエピゲノムを調べる作業に取り組んでいる。肝臓や胃、大腸、腎臓を担当し、プロジェクト開始から1年余りで肝臓をほぼ解読し終えた。
 がんの手術で摘出された組織の一部を執刀医と患者から提供してもらって解析する。シーケンサーなど専用の解析装置をいくつも使いながら、ゲノムを構成する30億個の塩基にくっつくメチル基やアセチル基など分子の有無を調べる。
 さらに、メチル基やアセチル基が約2万2000個あるといわれる遺伝子のどの部分にくっついているのか、それとも外れているのかを確かめる。メチル基やアセチル基はついたりはずれたりしやすく、どの結合・離脱状態なら正常なのかがはっきりとわかっていない。「かなり高度な解析技術が必要となる」と金井分野長は指摘する。
 プロジェクトの目的のひとつは正常な細胞のエピゲノムを決めることだ。2011年に本格始動した国際ヒトエピゲノムコンソーシアム(IHEC)にも参加している。
 IHECには日本のほか、欧州連合(EU)、米国、カナダ、韓国などが参加。健康と病気に関係するエピゲノムのうち1000種類の解読を5年間で終えることを目指している。
 日本は肝臓や大腸、胃などの消化器と、血管内皮、胎盤や子宮内膜などを担当する予定。他の国は血液の細胞などが主体だ。IHECの臓器分担のワーキンググループリーダーを務める牛島俊和・同研究所上席副所長は「ユニークな組織の解読に挑んでいるため、注目されているようだ」と話す。
 IHECが取り組んでいるエピゲノム解読手法の国際標準作りでも貢献を目指す。東京大学の白髭(しらひげ)克彦教授らは大阪大学などと共同で、DNAが巻きついているたんぱく質のしっぽの部分に結合するアセチル基やメチル基を高い精度で特定する技術を開発した。ドイツやカナダ、米国のチームに提供し、評価を受けている。
 さらに、ひとつの細胞からDNAをまんべんなく増やして塩基配列を解読する手法も開発中だ。エピゲノム解読に必要な細胞を、現在の1千万~100万個から、1万個程度に引き下げることを狙っている。
 1万個程度の細胞で検査できないと、実際の医療現場では使いづらいという。新技術はIHECが進める国際標準の手法に採用される可能性もあるとみている。白髭教授は「日本発のエピゲノム解析技術が世界中で使われれば、将来、医療応用される場合に有利になる」と意気込む。

技術立国反撃の年



 安倍政権の閣僚が相次いで、研究機関が集まる茨城県つくば市を視察した。その中で下村博文文部科学相は「イノベーションを作るという意味では、(つくばの)研究機関が果たす役割は大きい」と強調した。
 半導体、液晶、太陽電池などハイテク分野で日本はアジアの攻勢にさらされている。技術立国の土台が揺らいでいるように見えるが、今年は反撃に出る年となりそう。北関東にある企業・研究機関はそのための大きな役割を担う。
 今夏、打ち上げ予定の国産小型ロケット「イプシロン」は、その代表だ。パソコンで点検や発射をこなす世界初の「モバイル管制」に挑む。
 開発には主に、つくば市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)と群馬県富岡市にあるIHIエアロスペースの富岡事業所が取り組んできた。
 従来の固体燃料ロケットに比べて、1トン当たりの打ち上げコストが3割程度安くなる。成功すれば、宇宙ビジネスの国際競争力強化につながる。
 筑波大学発のベンチャー企業、サイバーダイン(つくば市)は、難病や脳卒中、脊髄損傷などによる足の運動障害を改善するための装着型ロボット「HAL」の開発を進める。このほど国立病院機構新潟病院が「HAL」を医療応用するための臨床試験の申請を行った。早ければ4月にも試験が始まる見通しになった。
 その後、スウェーデンのカロリンスカ医科大学など海外でも試験が始まる予定。試験が終わり、医療用ロボットとして国から承認が得られれば、新たな輸出産業に育つ可能性を秘めている。
 昨年12月に高エネルギー加速器研究機構(つくば市)などに属する世界の研究者が技術設計を終えた次世代加速器「ILC(国際リニアコライダー)」もイノベーションの起爆剤になる。日本は今夏にも建設候補地を決め、誘致へ向けた動きを加速する。
 ILCの加速器技術は宇宙誕生の謎を解明する基礎科学だけでなく、医療や新素材など幅広い応用が期待される。
 このように、つくばをはじめ北関東の大学や研究機関には、イノベーションの基になる科学技術の種が眠る。
 山本一太科学技術相が指摘するように「科学技術を産業に結びつける仕組み作り」を急ぎ、技術立国ニッポン復活への歩みを加速する必要がある。

ビデオ活用、仕事と両立――芝浦工業大学大学院田中秀穂氏

田中秀穂 芝浦工業大学大学院 工学マネジメント研究科長
大学院新講義、4月から 「学び直し」容易に
 芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科は4月から、対面授業とビデオ授業を組み合わせたハイブリッド型講義を始める。社会人を大学に呼び込もうと2003年度に発足した専門職大学院制度だが、仕事との両立が難しく学生募集で苦戦する大学院が多い。田中秀穂研究科長に狙いを寄稿してもらった。
 芝浦工業大学の工学マネジメント研究科は、2003年度に日本で最初に開設された技術経営学(MOT、マネジメント・オブ・テクノロジー)の専門職大学院である。MOTとは日本が得意とする科学技術力を生かした製品やビジネスを生み出すのに必要なマネジメントを学ぶ学問領域で、技術系のための経営学修士(MBA)とも称される。
 11年目が始まる今年4月から、私たちは社会人学生がもっと学びやすい環境を整えるために、ハイブリッド型講義という取り組みを始める。インターネットを利用し、いつでも都合のいいときに視聴できるオンデマンド型のビデオ授業と、従来型の教室で行う面接型授業を組み合わせた新たな講義システムだ。
□ □ □
 人生80年の時代になり就労期間が大幅に延びる一方で、知識のライフサイクルは急速に短くなり陳腐化が早まっている。こうした時代には、多くの人がキャリアを2段階で考えざるを得なくなる。もはや、20歳代前半までに受けた高等教育で得た力のみで、40年以上の長期間にわたり社会で活躍し続けることは困難である。キャリア人生の前半で培ったコンピタンス(専門的な能力)を生かしつつ、新たな活力を得て、後半の活動を推進することが重要なのだ。
 キャリア人生の後半に学ぶ必要が生じる学問領域で、最も大きな需要があるのはビジネスやマネジメント領域であろう。例えば、大学で工学を学び技術の現場で就業してきた人が、技術の事業化のリーダーを任されたとする。その場合、学生時代には体系的に学ぶ機会がなかったマネジメント全般を本格的に学ぶ必要が出てくる。そのような需要に応える使命を担うのが、社会人学生を主な対象にしたMOTの専門職大学院である。
 では、専門職大学院による学びの機会の提供は十分であろうか。
 現在、日本にはビジネス・MOT系の専門職大学院が33校あり、うち15が東京都内にある。東北地方には皆無で、北海道、四国、中国地方にはそれぞれ1校しかなく、地域の偏りが著しい。関東地方でもビジネス・MOT系専門職大学院は東京23区内に集中しており、東京都下や神奈川、埼玉などの事業所で就業する社会人には、平日に容易に通学できる大学院がほとんどない。
 しかも専門職大学院の多くでは、平日の授業開始時間は18時30分前後なので、たとえ都心に勤務する社会人でも仕事を時間までに終え通学するのは簡単ではない。
 週末であれば、通学が可能な地域は広がるが、週末の通学だけで専門職修士号を得るだけの十分な学びを達成するには、並はずれた努力が必要となる。
□ □ □
 この状況を改善し、社会人に十分な学びの機会を提供することには大きな意義があるはずだが、残念なことに、さほど工夫があったとは言い難い。そこで、私たちが考えたのがハイブリッド型講義なのである。
 ハイブリッド型講義とは平日夜に開講した講義を録画し、インターネットを使ってオンデマンド配信するメディア授業(通学して受講もできる)と、土曜日は大学に通って受講する従来型の面接授業の組み合わせで一つの講義を構成する講義システムでメディア授業と面接授業の“いいとこ取り”を狙ったといえる。
 これにより、平日は業務が忙しく通学できない場合でも受講ができ、土曜日は必ず通学して面接授業を受けるために、教員と学生が直接、熱のこもった議論を展開できる。学生によるプレゼンテーションや、ビデオ教材、高度なソフトウエアを用いた講義など、多彩で有効な授業形態も可能となる。
□ □ □
 時間割上のハイブリッド型講義の配置イメージを図に示す。例えば火曜日の7時限目に知的財産の講義の1コマ目が開講される。通学した学生は教室で授業を受けるが、講義の様子はビデオ録画されオンデマンドで配信するので、通学できなかった学生は、翌日から金曜日の都合のいい時間にビデオで宿題をこなす。同じ週の土曜日の3時限目には当該講義の2コマ目が開講されるので、全員が通学して受講するという構成である。
 全科目をハイブリッド型講義で開講するわけではないが、核となる科目の多くはハイブリッド型講義とし、ハイブリッド型講義だけでも修了必要単位数を取得できるようにする予定である。
 私たちは、このシステムにより、これまで大学院入学をあきらめていた多くの社会人学生に学びの機会を提供することができると考えている。特に関東の場合、MOTが主たる対象としている技術系社会人は、多摩地区や千葉や埼玉、神奈川などに立地する工場や研究所に勤務している。新たな講義システムが有効な潜在入学者は相当数に上ると推定している。
 社会人の学び直しでは、学習する側の社会人自身の努力が必要なのは当然だ。キャリア形成を所属企業任せにするのではなく、一人ひとりが大学院などで学び直すことの価値を真剣に検討する意識も欠かせない。だが、大学側も、旧態依然の授業システムに甘んじることなく、教育現場にイノベーションを起こし、学びの利便性を高めるための努力をすることが必要であろう。ハイブリッド型講義がその先駆け例となるように頑張りたい。
ポイント
社会人通える
環境づくりを
 研究者ではなく、高度で専門的な職業能力を持つ人材の育成をめざす専門職大学院制度は2003年度に発足した。法曹(法科大学院)、会計、ビジネス・MOT(技術経営)、公共政策、公衆衛生、教職など幅広い分野に185校(2012年度)の大学院が開校しているが、学生数は09年度の2万3381人をピークに減少傾向にある。当初の期待以上に新司法試験合格者が増えない法科大学院が不振であることの影響が大きいが、社会人が通いにくいことも無縁ではない。
 日本の大学の学生は18~22歳が中心で、他の先進国に比べ社会人学生の比率が極端に低い。18~22歳以外の学生の確保は“悲願”でもあるが、それには社会人が通いやすい環境づくりが欠かせない。芝浦工大の取り組みの成否が注目される。

ホンダ、3モーターハイブリッド――車輪駆動、個別に自在

 ホンダが3つのモーターを使う次世代ハイブリッド車(HV)システムを近く実用化する。モーターで後輪を別々に駆動して操作性を高める仕組みだ。クルマが約100年前に誕生して以来、曲がる力をハンドル操作に頼ってきた概念を変える革新技術だ。このシステムを搭載した初のモデルを今年後半に投入する。
 開発中の「スポーツハイブリッドSH―AWD」は車体前部にモーターを搭載し、エンジンと使い分けて燃費性能を高める。これは従来のHVと同じだ。違いは後輪をつなぐ部分に2つのモーターを置き、それぞれを自在に駆動するところにある。
 見せ場はコーナーリング時だ。内側で発生したエネルギーを電気的に回収して外側の車輪に与え、外輪の駆動力を内側より強める仕組み。これにより遠心力をおさえこんで、より安定して曲がることができる。
 外側の後ろ脚を強く蹴って自在に曲がる動物の走りから発想された新技術だ。ジーエス・ユアサコーポレーションとの共同出資会社「ブルーエナジー」が生産するリチウムイオン電池を搭載する見通しで、高出力を実現する。
 V型6気筒エンジンを搭載するHVながらV8以上の走りと4気筒を上回る燃費性能を実現した。伊東孝紳社長は「運転する楽しさが飛躍的に高まる」と自信をみせる。
 最初の搭載車種となるのが高級車ブランド「アキュラ」のRLXのHVモデルで、今年後半に北米で発売する。15年ごろに発売する予定のスーパーカー「アキュラNSX」にも搭載し、往年の名車が3モーターHV専用車として復活する。
 ホンダはこれまで1つのモーターを使うHVを展開し、今秋には次期「フィット」でより低燃費のシステムに刷新する。2つのモーターを使う新システムも北米で販売する「アコード」に搭載。3モーターHVの投入で、車業界に例のない3種類のHVシステムをそろえることになり、ホンダのエコカー戦略が加速する。

レアアースのサマリウム、リサイクル、半日で、岩手大、純度96.9%。

小型モーターの磁石から
 岩手大学の山口勉功教授らは、産業機械や時計の小型モーターの磁石からレアアース(希土類)のサマリウムをリサイクルする技術を開発した。酸化ホウ素を混ぜてセ氏1200度の状態で溶かして置いておくと、素材ごとに分離する性質を利用した。従来の手法に比べて処理時間が半分の半日に短縮する。進んでいないサマリウムのリサイクル技術として有望とみており、実用化を急ぐ。
 新技術はサマリウムと希少金属(レアメタル)のコバルトの合金からサマリウムやコバルトなどを回収するのに使う。同合金の年間生産量は500トン程度で、高い温度でも使用でき、中国からの輸入に頼るネオジムを使わない強力な磁石として注目されている。
 モーターから取り出したサマリウムとコバルトの合金に酸化ホウ素を混ぜ、電炉の中でセ氏1200度で2時間かけて処理する。冷やして取り出した固体は、酸化したホウ素、サマリウムが濃縮した部分、コバルトと鉄、銅などの合金の3つに分かれる。
 サマリウムが濃縮した部分を割って取り出し、塩酸をかけて溶かす。アンモニアで水素イオン濃度(pH)を調整したうえで、化学反応の還元反応を起こすのに使うシュウ酸を加えると、サマリウムが沈殿する。セ氏400~500度で約1時間焼いて乾燥させると、粉状のサマリウム酸化物が回収できる。
 実験では、回収したサマリウムの純度は96・9%、回収率は99・96%になった。従来の硫酸や塩酸などで合金をすべて溶かす手法では、鉄との分離が難しく工程も複雑で、作業にほぼ1日かかった。山口教授は「レアアースとして十分な純度があり原料として利用できる」と話す。また、コバルトも純度99・8%で回収できたという。
 山口教授らは今後、回収装置を大型にした場合でも高い回収率を実現できるか検証するとともに、改良に取り組む。
 ▼サマリウム 銀白色の軟らかい金属で、17種類あるレアアース(希土類)のひとつ。地球の地殻の部分に存在するサマリウムは0・00079%(7・9PPM)ほどしかない。ガリウムやジスプロシウムなどを見つけたフランス人化学者のボアボードランが19世紀末に発見した。
 主に磁石に使われ、ネオジム磁石が開発されるまでは最強とされた。ただネオジム磁石はさびやすく熱にも弱いことから、高い温度での利用ではサマリウム系の磁石が広く使われている。

米サンフランシスコに拠点、電通国際、先端VBと研究、アプリ開発、アジアも視野。

 電通国際情報サービスは米サンフランシスコにIT(情報技術)に関する研究開発拠点を設立した。米国のITベンチャーなどが開発する最新の技術を現地で発掘。電通国際が持つ技術と組み合わせ、新しいサービスやアプリケーション(応用ソフト)の開発を目指す。日本だけでなくアジアでの販売も視野に入れ、米企業との共同開発案件を増やしていく。
 設立したのは「ISIDアメリカ・サンフランシスコオフィス」。同社が研究開発専門の海外拠点を設置するのは初めて。ニューヨークにある現地法人、ISIDアメリカの傘下として位置付ける。代表はISIDアメリカの高橋英昌社長が兼任し、当面は数人体制だが、今後現地の採用を増やしていく予定。
 シリコンバレーに近いサンフランシスコには、ネットやソーシャルメディア、スマートフォン(スマホ)などを活用した最先端のサービスを提供するIT企業が多く集まる。拠点を構えることで、デザインや新たな技術に関する動きを把握し、現地企業と密接にコミュニケーションがとれる体制にする。
 同社はこれまでも米国IT企業の新しいサービスやアプリケーションを日本で販売してきた。カリフォルニアのネット会社、スピギットが開発した社内SNS(交流サイト)は、電通が日本仕様にカスタマイズし、2011年から販売している。日本ではモスフードサービスや全日空が導入した。
 現在進行中の案件も含め、米国企業との共同プロジェクトは30以上に及ぶ。現在は主に日本で販売しているが、今後は中国やタイなど、アジア地域でも積極的に販売していく。
 電通国際はアメリカのほか中国や英国など、海外5カ所に現地法人を構えている。4月にはインドネシアとタイにも開設する予定で、アジアの成長に合わせてグローバル事業の拡大を経営の柱に据える。15年度までに海外での売上高を11年度に比べ6割増の100億円に拡大することを目指している。

新ナノ炭素、量産技術、NEC、燃料電池の性能向上、電気ためやすい円すい状。

 NECは電池の性能を引き上げるとして注目のナノテク炭素材料で新たな素材の量産技術を開発した。これまで応用されていないユニークな円すい状で、電気をためやすい。燃料電池や蓄電部品の性能を大幅に高める。微細な構造に薬剤を閉じ込めて患部に効率よく送り込むDDSにも応用できる見込み。今後3年間で20以上の企業や研究機関に本格的に売り込む。
 量産するのは炭素原子が円すい状につながった材料。大きさは直径2~5ナノ(ナノは10億分の1)メートル、長さ40~50ナノメートル。NECは牛の角(ホーン)に似ているとして「カーボンナノホーン」と呼ぶ。
 NECは15年前に発見したが、高純度で大量に生産する技術の確立は難しかった。近年、燃料電池やDDSなどの用途が期待され始め、ナノ炭素材料の安全性の検証も進んでいることから、技術開発を急いだ。
 新素材は同じ重さならばナノ炭素材料で知られるカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)やフラーレン(球状炭素分子)と比べても表面積が大きい。燃料電池の活性炭の代わりに使うと、取り出せる電気の量を2~3割増やせる。
 高い圧力をかけなくても室温で炭素の固まり(黒鉛)を強い炭酸ガスレーザーで砕いて簡単に作る方法を見つけた。直径10センチメートル程度の固まりから純度95%で安定生産でき、産業応用に道を開く。
 レーザーの強度や炭素の固まりを回す速さを調整し、1日1キログラム以上生産する技術を確立した。数千万円を投じ、筑波研究所(茨城県つくば市)に製造設備を整えた。
 カーボンナノホーンは同社の飯島澄男特別主席研究員らが1998年に発見した。同社が構造や製造に関する基本特許を取得している。
 サンプル価格は1グラム当たり4万5000円。大量購入の場合には数百円台での提供を目指す。関連売上高は10億円規模が目標という。

ISID、サンフランシスコに研究開発拠点を設立

発表日:2013年1月29日
ISID、サンフランシスコに研究開発拠点を設立
~グローバルなオープンイノベーションを加速、先端技術を活用したビジネス開発を強化~



 株式会社電通国際情報サービス(本社:東京都港区、資本金:81億8,050万円、代表取締役社長:釜井 節生、以下ISID)は、米国現地法人(以下ISID アメリカ)のR&D機能強化を図り、グローバル市場に向けたサービス開発を加速するため、ISID アメリカ・サンフランシスコオフィスを設立し、2013年1月より営業を開始しました。ISIDは、同オフィスを当社の研究開発組織であるオープンイノベーション研究所のサテライト拠点としても位置付け、米国IT企業の最先端のテクノロジーを、国内外のISIDグループ、さらには各国の電通グループや顧客企業などにスピーディーに展開していく体制を強化してまいります。


■設立の目的■

 今回拠点を設立するサンフランシスコ・ベイエリア南部には、インターネットやソーシャルメディア、スマートフォンなどを活用した先進サービスを提供するIT企業の多くが本拠を置いています。ISIDでは、これら米国IT企業との協業を図り、最先端のテクノロジーを新たなサービス開発に生かすべく、2010年より調査・研究活動を行ってまいりました。2011年4月に開始した、3カ年の中期経営計画「ISID Open Innovation 2013」では、重要戦略の一つに先端技術を活用した新規ビジネス開発を掲げ、研究開発組織としてオープンイノベーション研究所を設置しました。以降、ISID アメリカとも連携して、米国の先進IT企業との共同プロジェクトを数多く立ち上げ、現在では、位置測位技術やバーチャルリアリティ技術、AR(拡張現実)技術などを用いた新規事業開発や、電通と協調したビッグデータや広告・マーケティング領域の調査・研究活動など、すでに30を超えるプロジェクトに取り組んでいます。

 ISIDでは、このたびのISID アメリカ・サンフランシスコオフィス設立を機に、ISID 国内グループはもとより、海外のグループ各社・拠点が、各国市場のニーズに応じた先進サービスをスピーディーに市場投入できる体制を整え、先端技術を活用したビジネス開発を一層強化してまいります。


■ISID アメリカ・サンフランシスコオフィスの概要■

 (1)名称:ISI-Dentsu of America,Inc.San Francisco office
 (2)代表者:高橋 英昌(ISI-Dentsu of America,Inc.President&CEO)
 (3)所在地:901 Mission Street,Suite 105 San Francisco,CA 94103
 (4)設立:2012年12月
 (5)営業開始:2013年1月


<ご参考情報>

 <電通国際情報サービス(ISID) 会社概要>
  社名:株式会社電通国際情報サービス(略称:ISID)
  代表者:代表取締役社長 釜井 節生
  本社:東京都港区港南2-17-1
  URL:http://www.isid.co.jp
  設立:1975年
  資本金:81億8,050万円
  連結従業員:2,228人(2012年3月31日現在)
  連結売上額:638億6,900万円(2012年3月期)
  事業内容:
   1975年の設立当初から顧客企業のビジネスパートナーとして、コンサルティングからシステムの企画・設計・開発・運用・メンテナンスまで一貫したトータルソリューションを提供してきました。IT Solution Innovatorをビジョンとし、金融機関向けソリューション、製品開発ソリューションをはじめ、グループ経営/連結会計、HRM(人事・給与・就業)、ERP、マーケティング、クラウドサービスなど、幅広い分野で積極的な事業展開を図っております。

日産新連合、トヨタ追撃、燃料電池車、開発費抑え普及急ぐ



 日産自動車―仏ルノー連合、独ダイムラー、米フォード・モーターが燃料電池車の共同開発を決めた。トヨタ自動車と独BMWの提携に続いて新連合が誕生する。日産などは提携で技術開発やコスト削減を加速しトヨタを追撃するほか、日米欧政府に燃料供給のインフラの整備を働きかける。実用化まで遠いとされた燃料電池車だが、大手の戦略提携で普及の時期が前倒しされる可能性が出てきた。(1面参照)
 燃料電池車は従来のガソリン車や電気自動車(EV)とは大きく異なる。EVでも動力を生み出す電気は当面、発電のために石炭などが使われる。燃料電池車は燃料の水素を取り出すために天然ガスを使ったり水を分解させたりするが、化石燃料を使う必要が非常に少ないという意味で環境面で優れる。EVに比べて航続距離の長さや燃料の充填時間の短さなどでガソリン車とは遜色ないというメリットもある。
 課題は車両価格の高さと水素供給のインフラ整備だが、世界大手の提携などで解決に向けて前進する。燃料電池車は10年前まで1台1億円といわれた。最近は急速にコストが下がっている。ハイブリッド車(HV)と駆動系の電気モーターなど多くの部品を共通化できるためだ。ホンダが2015年をメドに500万円以下の量販車を投入する方針を打ち出しているのも、HVでの量産効果を生かせる見通しがあるからだ。
 トヨタとホンダは1990年代から燃料電池車の基礎研究を本格化しており、中核の発電関連装置など幅広い分野で技術力が強い。日産・ルノー、ダイムラー、フォードにとっては新連合を組まなければ、技術開発などで追撃が難しい状況になっていた。
 日産などの新連合は提携でコスト削減を急ぐ。特に中核部品の燃料電池スタック(酸素と水素を反応させて電気を生み出す装置)や水素ボンベなどを共通化することで大幅なコスト削減を見込んでいる。
 「消費者に手ごろな価格で燃料電池車を提供できる。各社単独で開発するより良い成果を出せる」。日産・ルノーと独ダイムラーの共同開発プロジェクトに新たに合流することになったフォードのラジ・ナイール副社長はこうコメントした。
 今回の提携はインフラ整備を加速させるという意味でも重要だ。日産・ルノーとダイムラーは日欧連合にフォードを迎えることで、米国で燃料電池車普及への足がかりを築ける。水素ステーションなどの整備には政府との連携も不可欠だ。米政府との強いパイプをもつフォードと協力すれば、政策面での後押しを受けやすくなるとの読みもある。
 日産などの提携は他社の戦略にも影響を与えそうだ。今後はGMのほか、独フォルクスワーゲン(VW)、韓国の現代自動車などの動きが注目される。新たな陣営作りに着手するか、あるいはトヨタ―BMWなどの連合に接近するかなど今後動きがありそうだ。