2011年7月7日木曜日

セメントから半導体ガラス、東工大、低エネルギーで電子放出――太陽電池に利用も

有機EL・太陽電池に利用も
 東京工業大学の細野秀雄教授と金聖雄特任准教授らは、電気を通さないセメントから電気が流れる半導体のガラスを作ることに成功した。低いエネルギーで電子を放出する特徴がある。ガラス粉末を溶剤に溶かしたインクを金属の表面に塗ることで、大画面の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)や太陽電池の電極に利用できると期待している。
 原料は強化セメントの一種であるアルミナセメント。セメントは絶縁体だが、真空装置に入れて結晶を構成するカルシウムとアルミニウム、酸素からなる直径約0・44ナノ(ナノは10億分の1)メートルのカゴの中の酸素イオンを電子に置換。さらに1230度以上で液体にし、急冷することで半導体のガラスができた。
 細野教授らは2003年、セメントから金属と同様に電気が流れる結晶を作ることに成功。昨年は旭硝子と共同で、消費電力が従来より約3割低い蛍光灯の開発に成功している。今回は結晶を高温で溶かした液体に電気が流れる性質を確認し、さらに急冷すると結晶化せずガラス化することを突き止めた。
 このガラスはアルミなど一般の金属より低いエネルギーで電子が外に飛び出す。この性質を利用すれば、少ない電気で光る有機ELのテレビや照明、電気をより多く取り出せる太陽電池を作れ、省エネルギーや創エネルギーに役立つとみられる。
 ガラスを粉砕した微粒子を溶かしたインクを基板に塗布後、熱処理して性能を高める。ガラスは結晶に比べて低温で処理できる。軽量だが熱に弱いプラスチック基板で大画面のテレビや太陽電池を作るのに適している。

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