ブラジルで合弁 1600億円投資、15年量産
三井物産は米化学大手ダウ・ケミカルと合弁で、サトウキビからプラスチックを作り出す世界最大規模の植物樹脂コンビナートをブラジルに建設する。石油化学樹脂と同等かそれ以下のコストで量産し、環境負荷の低い素材として世界で売り込む。総事業費は20億ドル(1600億円)を超える見通しで、2015年に年35万トンの量産に入る。原油価格の高騰や消費者の環境意識の高まりで石化樹脂から植物樹脂へのシフトが進むと見て大型投資に踏み切る。
ブラジルで原料サトウキビの農園運営から、汎用樹脂のバイオポリエチレンやその他の植物化学品を一貫で合弁生産するコンビナートにする計画。ダウが全額出資している現地の事業会社「SVAA」に三井物産が2億ドル(約160億円)出資し、折半出資の合弁会社に切り替える。19日に両社が基本合意した。
ブラジルのミナスジェライス州に13年以降、年産能力24万キロリットルのバイオエタノール工場を複数、建設する。15年にはこのエタノールを原料に、年産能力35万トンの植物樹脂工場を建設する。植物樹脂工場としては世界最大規模となる。
一連の化学品量産の総事業費は20億ドルを超える見通しで、三井物産も比率に応じて追加負担する予定。
植物樹脂の生産コストは石化樹脂の1・5~2倍とされるが、ダウは反応技術の改良と大量生産でコストを下げ、石化樹脂と同等かそれ以下のコストで生産するメドをつけた。強度や耐久性も一般的な石化樹脂とほぼ同等という。
植物樹脂は生産過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない環境素材として食品容器や自動車、家電分野で利用が広がりつつある。三井物産はブラジルで量産する植物樹脂を南米や北米に生産拠点を持つ日本の自動車、電機メーカーなどにも供給する考えだ。
調査会社によると、現在年30万トンの世界の植物樹脂市場は20年には300万トンに増える見通し。量産で価格が下がれば、普及に一段と弾みがつきそうだ。
サトウキビ由来の植物樹脂はブラジルの石化大手ブラスケムなどが生産しているが、原料のサトウキビから一貫生産する大規模コンビナートの建設は初めて。日本企業では、三菱化学がタイで国営石油会社と植物樹脂の生産を検討している。
▼植物樹脂 植物など再生可能な資源から作るプラスチック。サトウキビやトウモロコシを分解して糖を取り出し、化学合成で樹脂に変える。植物の成長過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、CO2排出が増えないと見なされる。稲わらや木くずなど非食料の原料から生産する技術も開発が進んでいる。
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