2013年1月22日火曜日

ディスプレー、表示法切り替え、千葉大が材料開発、温度で発色・発光自在に。


フルカラーに対応

 千葉大学は1台で2つの表示方法を切り替えて使う次世代フルカラーディスプレー向けの材料を開発した。電子ペーパーとパソコンなどを想定しており、温度により色と光が変わる材料を活用した。照明の明るさなど周囲の状況に合わせて表示法を選べば、目などへの負担が減らせる。企業に呼びかけて共同研究を進め、ディスプレーの早期実用化を目指す。

 ディスプレーには電子ペーパーなど外からの光を反射し表示する反射型と、画面の後ろに光源がある液晶テレビやパソコンなどの発光型がある。

 中村一希助教と小林範久教授らは、染料に色を引き出す顕色剤という材料がくっついて発色する方式を反射型に採用。発光型を用いる際は、染料と顕色剤が離れて色が消える代わりに、発光材料が光るようにした。

 発色と発光の切り替えを実現する材料を開発、フルカラー化に必要な3原色(赤・青・緑)をそろえた。発色する材料と発光材料を、色ごとに組み合わせた。例えば赤色では、赤い色の染料と顕色剤と、赤い光を出す物質のユーロピウムを合わせた。研究に協力した山田化学工業(京都市、山田新平社長)の染料を利用した。

 温度により発色・発光材料のうち、どちらかが働くように工夫した。実験では材料を樹脂中に混ぜてガラス基板上に薄い膜を作った。この膜を一度加熱して急激に冷やして染料と顕色剤がくっついた状態にすると、赤い色になった。

 加熱後にゆっくり冷やすと、染料と顕色剤が離れ色は消えた。この状態ではユーロピウムが赤い光を放った。この切り替えは何度も繰り返せる。

 同じ原理を利用し、ガラス基板上の1つの膜で青と緑でも色と光の切り替えができた。実際のディスプレーでは、電気を流して温度を変化させる方式を採用する考えだ。

 日中など明るい場所では電子ペーパーで、暗い場所では液晶テレビで見るように表示方法が切り替えられれば、目への負担を減らせる。野外に設置し天候や時間帯によって表示方法を切り替えられる電子広告などへの応用も目指す。

 ▼温度変化で色が変わる材料 サーモクロミック材料と呼ばれ、感熱紙や温度変化を示す塗料などに利用されている。液晶やロイコ染料などが代表的な材料だ。
 ロイコ染料は顕色剤と組み合わせて使う。顕色剤がくっついた状態では色が付き、離れた状態では無色になる。加熱と冷却速度を調節するとロイコ染料と顕色剤のくっつき方が変わるため色も変わる。

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