運動器具に応用も
東京電機大学の三井和幸教授らと藤倉化成は、乾電池で数百グラム相当の力を制御できる新型ブレーキを共同開発した。樹脂製シートを金属の電極板で挟んだ構造。電極間の電圧を上げるとシートと電極間の摩擦力が増す仕組みだ。“重くないバーベル”をはじめとする運動器具など幅広い分野で実用化が期待される。
開発したのは電圧を与えると表面の摩擦力が高まる樹脂製シートと、シートを組み込んだ数ボルトの電圧で働く小型ブレーキ。自ら動くのではなく、動かそうとすると動きを止める力(制動力)が働く。例えばヒジに固定すれば、持ち上げるときだけ重く感じるバーベルになる。電圧の高さでバーベルの重さに相当する力を加減できる。
シートは厚さ約1ミリ。高分子を酸化スズ薄膜で包んだ直径約16マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの微粒子をシリコーンゴムで固めた。試作したブレーキは直径約6センチの円形に切り取ったシートを4枚使い、金属板の電極と交合に挟んだ構造になっている。シートの枚数が増えれば制動力が増すという。
ブレーキは9ボルトの乾電池で働く。電極には交互にプラスとマイナスの電気を与える。昇圧器で電圧を2・5キロボルトまで上げると、約400グラムのバーベルに相当する制動力が出た。ブレーキに流れる電流は数十マイクロアンペアで、消費電力は数十ミリワットと極めて小さかった。一般の100ボルト電源を使えば、数十キログラムの制動力が出る可能性がある。
電気で制動力を高めるには、電磁石を利用する方法がある。しかし電磁石はコイルが必要で寸法が大きくなり、消費電力は100倍以上高い。また、磁力を発生する電磁石は、精密機器の近くで使えないという欠点がある。「新技術は、電磁石を置き換える他の用途もありそうだ」と三井教授は話している。
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