2011年6月27日月曜日

微小な磁石「スピン」、たくさん持つ新物質、東大、超省エネ電子機器に

 東京大学の石坂香子准教授や十倉好紀教授らは、超省エネ電子機器の材料になる新物質を開発した。微小な磁石「スピン」として扱える電子をたくさん持つのが特徴。電気の代わりにスピンを使った省エネ半導体や、少ないエネルギーで情報を書き換えられるメモリーなどスピントロニクスの実用化に役立つ成果だ。
 開発した新素材はビスマス、テルル、ヨウ素を層状に並べた結晶構造を持つ半導体。表面から内部まで、スピンをたくさん持っていることを観測した。新素材を細いワイヤ状に加工し微弱な電流を流せば、スピンの流れである「スピン流」が作れる可能性がある。
 電流の代わりにスピン流で情報処理ができれば、電子機器の消費電力を大幅に減らせると期待されている。これまでもスピンを持つ素材は開発されているものの、表面に少し持つだけの素材が多く、スピンを取り出して思い通りに制御するのが難しかった。
 ハードディスクのメモリーをスピン流で書き換えれば、従来の大きな電流を使う方法と比べて消費電力を100分の1以下にできる。電流をほとんど使わない超省エネトランジスタも作れるという。

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