2011年6月30日木曜日

土中の温暖化ガス、一酸化二窒素、分解する微生物発見――北大・東大、培養にも成功

 北海道大学の石井聡助教と東京大学の妹尾啓史教授らの研究チームは、土壌中でできる温暖化ガスの一酸化二窒素だけを分解して無害な窒素に変える微生物を見つけた。この微生物を取り出して培養することにも成功。水田や畑にまけば、二酸化炭素(CO2)とメタンに次ぐ第3の温暖化ガスである一酸化二窒素の発生を抑えられる可能性がある。
 見つけたのは水田の土壌中に住むハーバスピリダム属というグループに分類される微生物の一種。同属の微生物は一酸化二窒素や硝酸を窒素に変える性質を持つことで知られる。
 研究チームは、まず様々な微生物を含む土を一酸化二窒素の濃度を高めた空気の中に入れ、細胞分裂を阻害する薬品を加えた。すると盛んに細胞分裂していたハーバスピリダム属の微生物だけが阻害剤に反応し、円形から線状に変形した。変形した細胞を1つずつ採取して培養した。
 さらに硝酸を含む空気の中で微生物を培養し、硝酸濃度の変化を測定した。硝酸濃度が低くなった微生物を除外。一酸化二窒素だけを分解する微生物を分離できた。
 この微生物を畑や水田にまいた場合、硝酸の分解が抑制され、肥料のやり過ぎで起こる土壌の酸性化が加速する恐れがあるが、研究チームは「適切な施肥と併用すれば、温暖化も土壌酸性化も抑えられる」(石井助教)と考えている。耕作地以外の自然土壌や、人間の排せつ物を処理する下水処理場などでも使える。
 一酸化二窒素は大気中に微量に存在し、CO2の約300倍という高い温室効果を持つ。温暖化への寄与はCO2の1割程度と見られる。農地への肥料の投入や家畜の排せつ物で大量に発生し、産業革命以降の大気中濃度は上昇傾向にある。
 オゾン層を破壊する性質も持ち、増加が続けばフロンガスを上回るオゾン層破壊物質になる恐れも指摘されている。

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