2013年1月31日木曜日

日本ガイシ、今春ウエハー、セラミックス技術活用、LED・スマホ照準。


 日本ガイシが祖業のセラミックス分野で培った材料技術を武器に、ウエハー事業に今春参入する。狙うのは、発光ダイオード(LED)光源やスマートフォン(スマホ)向けの電子部品などの成長市場だ。排ガス浄化用セラミックスなどの自動車関連に依存する事業構造の見直しに向け、新事業の育成を急ぐ。
 「研究部門が(先端素材である)窒化ガリウムのいいウエハーを作った。生産技術や営業など全社の力をインプットして事業を成功させる」。加藤太郎社長は意気込む。
 窒化ガリウムはLED素子の発光効率を飛躍的に高める素材として注目されている。量産は難しいとされてきたが、同社はセラミックスなどで培った材料技術を発展させた。溶かした半導体材料から結晶を成長させる「液相成長法」を応用し、高品質のウエハーを安価に得られる独自製法を確立した。
 LED研究で著名な名古屋大学大学院工学研究科の天野浩教授らの協力を得て、高輝度化が困難とされる緑色LEDの素子でも、発光効率を既存製品の2倍に引き上げられることを確認した。プロジェクターの光源の小型化や省電力化が可能になるほか、タブレット(多機能携帯端末)やディスプレーのバックライトとしても有望だ。
 3月末までにウエハーを月1000枚以上(2インチ換算)量産できる体制を整備。LED素子メーカー向けに供給する。
 窒化ガリウムウエハーは電力損失が少ない点にも注目が集まる。2014年までに大口径ウエハーの量産体制も整え、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)、産業用機械などのパワー半導体の中核材料として供給する計画だ。19年3月期に窒化ガリウムウエハーで売上高100億円を目指す。
 同社は足元では、世界的な排ガス規制強化を追い風に自動車の排ガス浄化用セラミックスが好調だ。ただ、電力部門は電力会社の設備投資抑制で電力用碍子(がいし)が振るわず、NAS(ナトリウム硫黄)電池も11年の火災事故から新規受注がゼロ。全社の営業利益のほとんどは自動車関連が稼いでおり、ウエハーに寄せる期待は大きい。
 ウエハー戦略では、スマホの成長にうまく乗りたいとの思惑もある。このほど電波を特定の周波数ごとにふるい分ける「SAW(表面弾性波)フィルター」向けに、2種の材料を接合した「複合ウエハー」を試作した。
 「材料を磨き、張り合わせるという、当社のコア技術で強みを発揮できる」(加藤社長)としてさらに高性能化を進め、窒化ガリウムとは別に事業化の準備を進めている。
 新事業立ち上げとあわせて、研究開発投資も増額する。今後3年程度で現状より3割近く多い年150億円規模に引き上げる。ウエハー事業など仕掛かり中の案件に投資するとともに、新テーマの創出・育成を強化する。「ここ数年、テーマを厳選していた」(加藤社長)という研究開発の方針を積極策に転換し、収益基盤の強化を急ぐ。

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