2011年7月11日月曜日

宇宙開発、変わる勢力図――戦略の再構築、日本も急務に、独自開発、予算が壁。

 スペースシャトルの引退で、日本の有人宇宙開発は転機を迎える。ISSへ向かう手段は当面、ロシアのソユーズのみになる。約20年にわたりシャトルに依存して有人宇宙開発を続けてきた日本は、「シャトル後」の展望を早急に打ち出す必要がある。
 シャトルに搭乗した日本人宇宙飛行士は、1992年の毛利衛さんをはじめ計7人。シャトル退役後、ソユーズでは6月に古川聡さんを乗せて発射、来年以降も星出彰彦さんらの搭乗予定がある。
 ただ、ISSへの有人飛行をソユーズだけに依存することへの懸念もあり、宇宙航空研究開発機構の立川敬二理事長は「複数の国・地域が打ち上げ能力を持つべきだ」と日本独自の有人宇宙船に意欲を示す。
 日本は、日本人飛行士を月面に送り込む有人宇宙開発の構想を2009年にまとめた。米国の月探査計画に歩調を合わせたが、10年に米国が月探査計画の中止を発表し、構想自体が宙に浮いた格好だ。
 日本単独で有人宇宙開発に乗り出すには、コストが大きくなりすぎるため現実的には厳しい。政府の宇宙開発戦略本部(本部長・菅直人首相)の専門調査会は6月に宇宙政策の提言をまとめたが、予算面に配慮して有人宇宙船について具体的な表現はない。今後、長期展望をどうするのか早急に検討が必要だ。

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