ルピーダ 生産比率、来春5倍
東芝 新工場稼働、6割に
半導体大手がデータ記憶用半導体であるメモリー分野で、最先端の微細化技術を使った製品への生産シフトを加速する。エルピーダメモリは2012年3月末までに最先端製品の生産比率を現在の約5倍に高める。東芝は7月中旬に最先端品に生産を特化した工場を稼働、9月には6割に高める。早期に最先端製品の量産体制を整え、投資回収を早める。
DRAMで世界3位のエルピーダは12年3月末までに、広島工場(東広島市)と台湾工場の生産能力に占める回路線幅30ナノ(ナノは10億分の1)メートル以降の最先端品の生産比率を75%に増やす。
6月末時点の比率はおよそ15%だった。DRAMで世界首位の韓国サムスン電子の最先端品比率は50%とみられ、25ナノメートルの量産開始は早くても今年12月になる見込み。エルピーダは今年中に最先端比率でサムスンを追い抜くことになる。
エルピーダは5月に世界で初めて25ナノメートルを開発し、微細化技術の開発競争で世界の先頭に立った。同時にDRAMの回路設計を見直し、少ない工程数で生産する手法を確立した。
これにより現行世代から最先端品に量産をシフトするのにかかる設備投資を従来の3分の1~約4分の1に抑制。韓国や台湾、米国のライバル企業よりも低コストで最先端品を生産できる体制を整えた。
NAND型フラッシュメモリーで世界2位の東芝は、四日市工場(三重県四日市市)の新工場を最先端品の中核製造棟に位置付け、24ナノメートル、19ナノメートルのフラッシュ量産に乗り出す。これまで最先端品は少量生産にとどめていたが、新工場立ち上げを機に、9月には最先端品の生産比率を一気に60%へ高める。
東芝はフラッシュの微細化技術開発で世界をけん引し、サムスンに約半年の差を付けている。ただインテルとマイクロン・テクノロジーの米国連合の追い上げなど、競争は激しい。新工場稼働に合わせて最先端品を大量生産し、海外勢に対する優位性を確保する。
半導体業界で競う韓国や台湾企業に比べて、日本企業は法人税や人件費、水や電力などインフラ費用が高い。円高・ドル安で収益が目減りするなど生産活動には逆風が吹いている。このため利幅の大きな最先端品分野の量産を加速し、収益を安定させる必要があった。
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