理化学研究所などの共同チームは、C型肝炎が悪化して肝がんになるリスクを高める遺伝子の変異を発見した。日本人のC型肝炎患者を解析し、変異を持つ人は持たない人に比べ肝がんの発症率が約2倍になることが分かった。肝がん発症の仕組みの解明や、新しい診断法の開発につながる可能性がある。
理研と広島大学、大日本住友製薬などの共同研究成果。詳細は米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に掲載された。
肝がんによる死者数は日本で年間約3万人で、うち7割はC型肝炎が原因で発症するといわれる。ただ、C型肝炎が肝がんを引き起こす仕組みは詳しく分かっていない。
共同チームは、日本人のC型肝炎患者と肝がん患者3312人の遺伝子を解析し、「DEPDC5」という遺伝子に注目。この遺伝子の塩基配列に変異がある人は、変異を持たない人に比べ肝がんの発症率が1・96倍高かった。遺伝子の解析で肝がんの発症のしやすさを予測できるようになる。
肝がんの組織の中ではDEPDC5遺伝子が活性化していることも確認した。ただ、遺伝子の機能は詳しく分かっていない。今後の解析で機能が分かれば、肝がん発症の仕組みの解明につながる可能性がある。
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