2011年7月13日水曜日

東京理科大、歯細胞育成、歯以外で―再生新手法、移植後すぐ機能

 東京理科大の辻孝教授と大島正充助教らは、歯の再生医療の新手法を開発した。歯以外の場所で歯と歯周組織を細胞から育て、歯を失った箇所に移植し定着させる。マウス実験で再生歯が移植後すぐでも機能することを確認した。米科学誌「プロスワン」(電子版)に13日掲載された。
 大塚ホールディングスグループで再生医療向け医薬品を手掛けるオーガンテクノロジーズ(東京・千代田)、東北大、東京医科歯科大などとの共同研究。
 歯の再生には、マウス胎児から採取した幹細胞「歯胚」を使った。ここからエナメル質を作る上皮細胞と、象牙質やセメント質などを作る間葉細胞を取り出した。これを集めて再生歯胚を作製。マウス体内の腎臓の中で育てた。円柱状のプラスチック製器具を使い歯を最適な長さに調節しながら成長させた。
 60日後には長さ約2ミリメートルの歯と歯周組織が成長した。大人のマウスから臼歯を抜き、再生歯などを移植した。移植後にすぐかむことができ、40日後にはあごの骨と融合して一体化し、血管や神経も歯に入り込んでいた。
 痛みの刺激が神経を通じて脳に伝わるのも確認した。歯を支える骨がなくなった場合でも、再生した歯や歯周組織が定着させることができた。
 研究チームは、既に同様の手法で歯を抜いた場所に再生歯胚を植え、歯まで育てることに成功している。新手法を開発したことで、体外で器官を育てる技術の足がかりになるとみている。

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