NECはデータセンター向けの新たな省電力技術を開発した。コンピューターの冷却に費やす電力を半減できる。エアコンに使う冷媒でCPU(中央演算処理装置)の熱を取り除く。水を巡らして冷やす従来方式と組み合わせ、今年度中の実用化を目指す。
データセンターは年率約10%で市場が成長しているが、消費電力の削減が大きな課題だった。一般に電力の約半分はコンピューターなどの冷却に使っている。
新技術は冷媒の代替フロンを入れた容器をCPUの隣に設ける。CPUが発熱すると、冷媒が気化して熱を奪う。その後、CPUから離れた場所で冷媒は液体に戻り、熱をうまく運び出す。
気体と液体の変化を巧みに生かす「相変化冷却」と呼ぶ方式を取り入れたのが特徴だ。
さらにCPU以外の電子部品もよく冷やすため、コンピューターの構造を工夫し風を通りやすくした。この冷却に使うファンの消費電力に限れば、約7割減らせる。
すべての対策を水冷を中心とする既存技術と組み合わせれば、全体の冷却電力はほぼ半分にできる。
データセンターでは冷却に使う電力が多いと、設置できるコンピューターの数に制約が出てくる。新技術を使えば、フロアに設置できるコンピューターの数を約2倍にできる。
精密機器に影響を与えない安定した地盤やセキュリティー環境が整った場所がどこにでもあるわけではなく、1カ所で多くのコンピューターを動かせる利点は大きい。
コンピューターの計算速度とデータの処理量が飛躍的に高まるにつれて、消費電力も大きく膨らんでいる。例えば日本が世界に誇るスーパーコンピューター「京」では、1年間に費やす電力が90ギガ(ギガは10億)ワット時と2万5000世帯分にも相当するとの試算がある。
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