北陸先端科学技術大学院大学の川上勝准教授らは、複雑な構造をした細菌の3次元(3D)模型を短時間で作る技術を開発した。顕微鏡写真や想像図をもとにCG(コンピューターグラフィックス)画像を作り、3Dプリンターで作製する。立体模型を手掛かりに化学物質を合成すれば、新薬開発につながる。
大阪市立大学の宮田真人教授、3D模型作製ベンチャーのスタジオミダス(埼玉県上尾市・中村昇太社長)との共同成果。細胞内に寄生して肺炎の原因にもなる細菌のマイコプラズマの3D模型を作製した。実際のマイコプラズマは長さが1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル程度だが、作製した3D模型は約20センチメートルで重さ約50グラムある。
模型の作製には市販価格が十数万円の安価な3Dプリンターを使った。ABS樹脂製で材料費は1000円以下。5時間で完成した。従来は専門メーカーに注文してから納品まで1カ月以上かかり、価格も40万~50万円程度になるとみられる。
マイコプラズマは動物や植物の細胞に比べてはるかに小さい。外観は顕微鏡で観察されているが、正確な内部構造はわかってない。マイコプラズマの生態を長年研究する宮田教授らが作った想像図をもとにチームでCGを作製。川上准教授らが印刷の向き、部品構成など3D印刷に適した設計図をパソコンで作りデータを入力した。
川上准教授は公開データから複雑な構造のたんぱく質の3D模型も作っている。今後は、想像図から生物や生体物質の3D模型を作り、創薬などの研究に役立てる。
0 件のコメント:
コメントを投稿