2013年5月16日木曜日

リチウムイオンキャパシタ――JMエナジー、EV向け照準

2倍のエネ放蓄電 可能に
 JSR子会社のJMエナジー(山梨県北杜市)は従来製品と比べて約2倍の高エネルギーを放蓄電できるリチウムイオンキャパシタを開発した。現在は産業機械の補助電源としての用途が中心だが、高電圧が必要な電気自動車(EV)や鉄道向けにも搭載が可能になる。パッケージの小型化につながるため、自然エネルギーの小口蓄電など成長分野での用途拡大が期待されている。
 JR中央本線の小淵沢駅から東に約10キロ離れた山あいに、JMエナジー本社はある。同社は2008年11月、この地で他社に先駆けてリチウムイオンキャパシタの製造工場を立ち上げた。
 機械の補助バッテリーとして一般的に使われている電気二重層キャパシタは、急速な充放電が可能でほとんど劣化しない特徴を持つ。ただ、自己放電が多く、エネルギー密度が小さいのが課題で、大量に電気をためる蓄電装置はリチウムイオン電池が主流となっていた。
 同社は高いエネルギー密度が可能なリチウムイオン電池と電気二重層キャパシタの特性を併せ持つリチウムイオンキャパシタに注目。生産コストを抑え、リチウムイオンキャパシタの量産に成功した。
 JMエナジーの宮部五郎社長は「耐久性や安全性が高く、メンテナンスフリーを実現できるため、医療機器や停電補償装置として採用が進んでいる」と指摘。同社は現在、金属の容器で包んだ角型で年12万セル、ラミネートで密封したラミネート型で年30万セルの生産能力を持つ。
 ただEVやハイブリッドカーへの本格採用を目指すには、さらにエネルギー密度を高める必要がある。そこで同社は正極材に使う活性炭と負極材に使う炭素素材をより低抵抗な新素材に作り替え、今年に入り新製品を開発した。
 新製品の角型のエネルギー密度は1キログラム当たり16ワット時、ラミネート型は同20ワット時。同社の従来品と比べて約2倍の高エネルギーを放蓄電できるようにした。瞬発力を示す出力は他社製品の約3倍で、急速な放蓄電も可能になったという。
 新製品は量産車にも採用される可能性が出てきた。アイドリングストップ時のエンジン起動に必要な電気を蓄える部材として使われる電気二重層キャパシタと比べ、約4~5倍のエネルギー密度があるため、代替需要が見込めるからだ。
 これまで顧客は放蓄電量に合わせて複数のリチウムイオンキャパシタを専用のセルモジュールに組み込んで利用していたが、新製品は必要なセル数が従来の2分の1で済み、コスト削減効果が見込める。さらにパッケージを小型化することで、太陽光・風力を使った外灯の蓄電など自然エネルギー分野にも用途が広がる。
 同社は約8億円を投じ、今年6月にもリチウムイオンキャパシタの研究棟の増設を完了させる。製品の評価装置も新たに導入する予定で、「高機能な製品開発を加速させる」(宮部社長)考えだ。
 ▼リチウムイオンキャパシタ キャパシタはコンデンサーの別名。化学変化ではなく、正極と負極に電子が吸着することで電気を蓄えられる電気二重層キャパシタと、リチウムイオン電池の特性を組み合わせた蓄電装置。正極に活性炭、負極にリチウムイオンを吸収した炭素素材を使用。繰り返しの急速充放電が可能で、通常のキャパシタと比べ、エネルギー密度が高い。

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