後継機へ課題生かす
政府の総合科学技術会議(議長・安倍晋三首相)は13日、国の大型研究開発の事後評価などを議論する専門調査会を開いた。理化学研究所のスーパーコンピューター「京」の検証を開始。7月までに評価結果をまとめるが、出席者からは高い計算能力を生かした「戦略的な利用を促すべきだ」などの注文が付いた。
京は毎秒1京回(京は1兆の1万倍)の演算ができる世界最高水準の性能を持つ。新薬開発から地震・津波の予測まで幅広い利用が期待できる。
2006年度に事業に着手。12年度までの予算は約1111億円で、12年9月に本格稼働した。世界性能ランキングで11年6月に1位を獲得したが、1年後に2位に転落。現在は米クレイ、IBMのスパコンに次ぐ3位だ。
専門調査会では理研を所管する文部科学省が、京について今年3月までに100件の利用が採択されたと報告。利用企業はトヨタ自動車や竹中工務店、大日本住友製薬など46社に上る。データを細かく分け、並列台数を多くした超並列処理などの技術的課題を解決し、卓越した成果を創出したと評価した。
ただ出席した委員からは使い方に工夫が必要だとの声が出た。京を使って0・3京以上の大規模計算をするのは2週間に2日程度。委員からは「1京の演算ができる性能を発揮する使い方をすべきだ。民主的にみんなで小分けで使うと開発した意味がない」との指摘が出た。
戦略的に利用する仕組みを決めるための指針が必要だとの意見もあった。消費電力について「必ずしも省電力できなかったのではないか」との声も上がった。
文科省は14年度から、京の100倍の計算能力を有する後継機を開発する方針だ。専門調査会は9月から後継機の事前評価も始める。京の検証作業で問題点を洗い出し、後継機開発に生かすことが求められる。
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