2013年5月16日木曜日

サムスン、アップル、スマホ、国内で決戦、ドコモの端末戦略左右

 スマートフォン(スマホ)で世界首位に立つ韓国サムスン電子の日本市場での存在感が高まりそうだ。NTTドコモはサムスンの新型機種を特に販売に力を入れる戦略スマホと定め、ソフトバンクなどが扱う国内トップのアップル「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。サムスンが日本でシェアを拡大できるかどうかは、ドコモのiPhone導入の行方を左右することにもなりそうだ。
 「ツートップは自信を持ってお薦めするドコモの顔だ」。15日、夏商戦向け新商品を発表したドコモの加藤薫社長は記者会見終了までに「ツートップ」という言葉を10回近く発し、2つの新スマホを持ち上げた。
 ツートップは23日発売のサムスン「ギャラクシーS4」と17日発売のソニー「エクスペリアA(エース)」。ドコモは販促費を重点配分して他のスマホより価格を引き下げiPhoneにぶつける。加藤社長が特に説明に時間を割いたのがギャラクシーだ。
 サムスンが「iPhoneキラー」と位置付ける旗艦機種。鮮明なフルハイビジョン(HD)映像を表示できる5インチの有機ELパネルを世界で初採用。顔の動きで動画を自動再生・一時停止したり、画面に触れずに指をかざすだけで操作したりできる機能など持てる技術を詰め込んだ。
 主要市場でのギャラクシーS4の販売はこれからで実績はまだないが「iPhone5に対して優位。スマホ初心者にも使いやすい」(調査会社MM総研の横田英明取締役)と商品力を評価する声は多い。
 ドコモにはiPhoneに真っ向勝負を挑める機種が必要だ。iPhoneを扱うソフトバンクとKDDI(au)への顧客流出が続いているためだ。通信会社を乗り換えられるMNP(番号持ち運び制度)で、2012年度には転出の超過数が過去最悪の140万件に膨らんだ。
 ドコモ自身もiPhone導入を検討するが、販売ノルマなどアップルの条件が障害となって成り行きは流動的。そこで様々なメーカーの機種を等しく扱ってきた従来の販売戦略を転換、ツートップを対抗馬として明確に打ち出すことにした。
 ただ日本でアップルは依然強い。12年度の国内スマホ市場でのシェアは35・9%。サムスンは5位にとどまる。サムスンはここ数年で着実に存在感を高めているとはいえ、ドコモの新戦略が功を奏するかは予断を許さない。
 ツートップ戦略をもってしても顧客流出が止まらない場合、ドコモは厳しい条件をのんででもiPhone導入を迫られる。逆に流出を抑えられればアップルとの交渉で優位に立てると同時に、iPhoneなしでの独自路線という選択肢も含め戦略の自由度は増す。

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