2013年5月16日木曜日

iPSから造血幹細胞、東大、マウスで治療効果。

 東京大学の中内啓光教授らはマウスの体内を使い、人間のiPS細胞から血液のもとになる造血幹細胞を作ることに成功した。別のマウスへの移植で治療効果があることも確認した。白血病など血液の難病の治療法研究に役立つ。米科学誌(電子版)で14日発表した。
 iPS細胞をマウスに移植するとできるテラトーマ(奇形腫)という良性腫瘍に着目。細胞の増殖を促すたんぱく質などとともに人のiPS細胞をマウスの皮下に投与し、腫瘍の中で造血幹細胞が育ちやすくした。
 腫瘍から骨髄に集まった造血幹細胞を採取し、人為的に造血幹細胞を壊した別のマウスに移植した。マウスは致死量の放射線を浴びていたが、移植後も生き延びた。骨髄に集まった造血幹細胞はリンパ球などすべての血液細胞を生産していた。
 iPS細胞を体外で人工的に培養する従来の手法では十分に働く造血幹細胞を作るのが難しかった。ただ、今回の成果を治療に生かすにはブタなどの大きな動物で造血幹細胞を大量に作る技術などの確立が必要になる。
 テラトーマを人間の体内で作るのは倫理的に問題がある。当面はiPS細胞から病態を再現した造血幹細胞を作り、血液難病の発症の仕組みや治療法の研究に生かす。

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