2013年1月24日木曜日

超電導ケーブルシステム、住友電工、工場で実証運転、配電網と接続、信頼性を検証




 住友電気工業は22日、大阪製作所(大阪市)で超電導ケーブルの実証運転を始めたと発表した。ケーブルを工場内の配電網と接続してシステムの信頼性などを検証。改良やコスト削減につなげる。電力の供給側の送配電網での超電導ケーブルの実験は進んでいるが、企業の工場といった需要家側で実証試験を実施するのは初めて。
 銅ケーブルは一般に送電ロスが5%発生する。超電導ケーブルを使うと送電ロスを3分の1から2分の1に減らせる。大容量の電力を長距離送る場合ほど省エネ効果が得られるという。データセンターや鉄鋼工場、自動車工場などの基幹ケーブルで利用を見込む。
 企業の省エネ意欲が強いため、大規模な設備投資が必要な電力会社の送電網向け超電導ケーブルよりも、需要が早く立ち上がるとみている。実験成果をもとに企業に提案を積極化し、5年以内の商業化を目指す。
 大阪製作所に導入したシステムは、交流の超電導ケーブル70メートルを敷設。高低差による影響を検証するため、ケーブルの一部は高さ18メートルの建物の壁面に配置した。マイナス約200度に冷却した液体窒素をケーブル内に循環させ、超電導の状態とする。投資額は3億円。
 住友電工は「ビスマス系」と呼ばれる金属材料で強みを持ち、世界で相次ぐ実証試験向けに材料を供給している。昨年10月には東京電力などと共同で電力会社の送配電網に超電導ケーブルをつなぐ国内初の実証試験も始めている。欧州での送電網の実用化に向けた実験にも超電導線を供給している。

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