産業技術総合研究所は23日、窓ガラスに貼って太陽光を遮り冷房効果を高める新型の調光ミラーシートを開発したと発表した。水素ガスを利用し鏡になったり、透明になったりする。5秒で切り替えられる。電気で切り替える従来の調光ガラスに比べて素早い。調光する薄膜も薄く製造コストの大幅削減が期待できる。
試作した調光ミラーシートは縦37センチ、横26センチ。透明シートの上にマグネシウム合金とパラジウムの2層からなる調光薄膜をつけ、ガラスに貼り付けた。電気分解用の高分子膜に3ボルト程度の電圧をかけ、空気中の水蒸気から水素を発生させて、ガラスと調光薄膜の間にある0・1ミリメートル程度の隙間に流すと、鏡の状態から透明に変化する。
試作品は約5秒で鏡の状態から透明に変わる。同じ大きさの従来の調光ガラスは30秒ほどかかっていた。1メートル角の場合は10分程度必要だったのが約30秒に短縮できる。
また従来は調光層が5層あるのが一般的だが、これを2層にした。全体の厚みも100ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下と約10分の1になった。
試作品は透過率が約40%だが実験室レベルでは60%を達成した。今後、透過率を70%以上に高めて自動車のフロントガラスなどへ応用を目指す。
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