携帯電話大手3社が利用制限をかけることで子どもでも安心して使える携帯電話をそろって販売している。これまで従来型の携帯電話で販売してきたが、NTTドコモが2月上旬、初めてスマートフォン(スマホ)を発売する。スマホの顧客を早期に囲い込みたいとの思惑が働いている。
「『中学生にキッズケータイは幼すぎる』との意見が多かった」。NTTドコモマーケティング部の斉藤武マーケティング統括担当部長は、子ども向けのスマホを発売した理由をこう説明する。 ドコモの子ども向けスマホ「スマートフォンforジュニア SH―05E」は基本機能を除くとドコモが事前に審査した10種類程度しかアプリ(応用ソフト)が使えない。インターネットの閲覧やメール、カメラなどは通常のスマホと同じように利用できる。 4・1型の液晶パネルを使うなど外見は通常のスマホと同じ。危険を察知したときに側面のボタンを押してブザーを鳴らす程度で、ハードウエアとしてのデザインや機能は子ども向けと銘打つほどの特徴はない。 ドコモが子ども向けの従来型携帯「キッズケータイ」を発売したのは2006年3月。同年2月に初めて子ども向けを発売したKDDI(au)とほぼ同時期だった。主要な機能は音声通話に限定しており、インターネットやメールは使えない。デザインも小ぶりでかわいらしさが前面に出ており、主に小学校低学年を対象にしている。スマホは小学校高学年や中学生の利用を狙った。 ドコモの調査では、小学生でスマホを利用したいと答えた人の割合は11年12月末時点の71%から昨年7月に83%に増加。実際にスマホを利用している小学生の割合も7%から15%に拡大している。 ドコモは「キッズケータイからジュニアスマホ、そして通常のスマホに買い替えてもらえる長期的な仕組みが整った」(斉藤氏)と主張。子どもが新しい電子機器に興味を示すのは当然なうえ、小中学生もネットに慣れ親しんでいる。小中学生のころからスマホ需要を取り込んで数年後のスマホの購入やサービスの長期利用につなげることをもくろむ。 他の2社は子ども向けのスマホを販売する予定は当面ないという。KDDIは11日、ひもを引っ張ると防犯ブザーが鳴るなどの機能を持つ「マモリーノ」の第3弾を発売した。音声通話以外にもメールが使え、「中学生の利用に十分応えられる」(同社)と話す。 KDDIとソフトバンクモバイルは子どものスマホ利用にはアプリの利用制限で対応している。ソフトバンクは保護者が設定することでアプリをダウンロードできなくするほか、ダウンロード済みのアプリも使えなくする「あんしん設定アプリ」を、基本ソフト(OS)に米グーグルの「アンドロイド」を使う端末向けに無料で提供している。 「保護者がアプリの是非を個別に判断できる」(ソフトバンク)。KDDIもダウンロード済みのアプリを選んで利用制限するアンドロイド向けアプリ「安心アクセスforアンドロイド」を用意している。 ドコモは従来型携帯で中高年向けの「らくらくホン」がヒット。スマホでもボタンを大きくするなどした中高年向け機種を発売して人気を得るなど、年齢層別の機種の開発で実績がある。だがスマホは従来型携帯や中高年向けほど子ども向けの特徴は出しにくい。ドコモの子ども向けスマホの年間販売目標は30万台。国内ではスマホは50万~60万台売れればヒットと言われる。少子化の中で目標を達成できるか注目だ。 |
2013年1月24日木曜日
子ども向け携帯―ドコモ、一足先にスマホ
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