東京理科大学の松野健治教授らは、ショウジョウバエが胚の段階で、腸に左右非対称性が生まれる仕組みを解明した。腸を構成する上皮細胞がねじれて傘の柄のような形ができるが、細胞の形がゆがむことでねじれる力が生み出されていた。人の腸でも同じ仕組みが働いている可能性があるという。臓器の形を制御する技術の足がかりになり、将来の臓器再生にも役立つと期待している。成果は米科学誌サイエンスに15日掲載された。 動物は外見が左右対称でも内臓の器官は非対称のケースが多い。ショウジョウバエは受精卵から成長した胚の段階で、人の小腸・大腸に相当する「後腸」ができ、角度が90度ねじれることで傘の柄のような左右非対称な形を作る。 研究チームは後腸を構成する上皮細胞の個々の形を測定し、腸がねじれる前は細胞が左右にゆがんでいるのを見つけた。左右の手のように似ているが重ならない形ができていた。ひずみはねじれた後に解消し、細胞の形も安定した六角形に戻った。形のゆがみがねじれを生む力になるのは、コンピューターによる模擬計算でも再現できた。 |
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