2011年7月15日金曜日

新エネの可能性風力(上)太陽光より普及の壁高く

 太陽光や風力などでつくった電気の全量買い取りで再生可能エネルギーの導入拡大を狙った再生エネルギー特別措置法案の国会審議が14日始まった。「脱原発依存」を表明した菅首相は成立に強い意欲を示している。
 再生可能エネルギーと言えば太陽光が代表格だが、国内で最も導入余地が大きいのは風力だ。環境省の試算(洋上風力発電を含む)によれば、買い取り制度に技術革新と事業費補助が加わった場合で導入可能量は15億キロワットに達する。大型太陽光発電所などの建設が見込まれる非住宅分野の太陽光発電の10倍以上だ。
 ただ、従来は国が風力発電所の建設費の3分の1を補助する制度があったが、買い取り制度導入と引き換えの形で先行して打ち切られており、シナリオのように買い取り制度と補助金の「併用」になるかどうかは不透明だ。実際、補助打ち切りの影響で、昨年度の風力発電の新規導入量は26万キロワットと09年度比13%減少した。
 風力発電は可能性は豊かだが、導入に向けた壁は結構高い。風車の回転で発生する低周波音が人の健康に悪影響を及ぼす問題もその一例だ。風車に鳥が衝突する「バードストライク」も生態系保全の観点から問題視されている。環境省は出力1万キロワット以上の風力発電所を建設する際に環境アセスメント(事前評価)を義務付ける方針だ。再生可能エネルギー導入促進と環境保全の板挟みになっている状況だ。洋上の場合も立地を巡って漁業者との調整が必要になる可能性がある。
 全量買い取り制度が実現すれば追い風になるが、それで順風満帆というわけにはいかない。風力の可能性を引き出すには規制の見直しや利害調整など環境整備が欠かせない。

0 件のコメント:

コメントを投稿