産業技術総合研究所は従来に比べ100倍以上高性能な有機薄膜半導体を製造できるインクジェット印刷法を開発した。これまで困難だった大画面の電子ペーパーなどに必要な性能レベルを達成しており、今後製品開発を加速できるとみている。
高エネルギー加速器研究機構との共同研究成果で、英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。
インクジェット印刷法は半導体材料の微小な液滴をインクのように基板に吹き付けて薄膜をつくる製造法。新技術は半導体材料の液滴の前に、材料の結晶化を促す液滴を吹き付ける2段階方式にしたのが特徴で、「ダブルショットインクジェット印刷法」と呼ぶ。
従来は薄膜が多結晶やアモルファスだったが、新手法は高品質な単結晶の製造を可能にした。薄膜トランジスタ(TFT)を製造したところ、電子の移動度という性能が従来印刷法の100倍以上で、有機TFTとしては世界最高性能になったという。
それだけ動作速度が向上し、表示装置なら大画面化につながる。ポスターサイズの電子ペーパーを可能にするレベルという。今後、金属配線などの印刷法と組み合わせ、表示装置用の高性能な駆動回路パネルの試作などを進める。
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