2013年1月29日火曜日
技術立国反撃の年
安倍政権の閣僚が相次いで、研究機関が集まる茨城県つくば市を視察した。その中で下村博文文部科学相は「イノベーションを作るという意味では、(つくばの)研究機関が果たす役割は大きい」と強調した。
半導体、液晶、太陽電池などハイテク分野で日本はアジアの攻勢にさらされている。技術立国の土台が揺らいでいるように見えるが、今年は反撃に出る年となりそう。北関東にある企業・研究機関はそのための大きな役割を担う。
今夏、打ち上げ予定の国産小型ロケット「イプシロン」は、その代表だ。パソコンで点検や発射をこなす世界初の「モバイル管制」に挑む。
開発には主に、つくば市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)と群馬県富岡市にあるIHIエアロスペースの富岡事業所が取り組んできた。
従来の固体燃料ロケットに比べて、1トン当たりの打ち上げコストが3割程度安くなる。成功すれば、宇宙ビジネスの国際競争力強化につながる。
筑波大学発のベンチャー企業、サイバーダイン(つくば市)は、難病や脳卒中、脊髄損傷などによる足の運動障害を改善するための装着型ロボット「HAL」の開発を進める。このほど国立病院機構新潟病院が「HAL」を医療応用するための臨床試験の申請を行った。早ければ4月にも試験が始まる見通しになった。
その後、スウェーデンのカロリンスカ医科大学など海外でも試験が始まる予定。試験が終わり、医療用ロボットとして国から承認が得られれば、新たな輸出産業に育つ可能性を秘めている。
昨年12月に高エネルギー加速器研究機構(つくば市)などに属する世界の研究者が技術設計を終えた次世代加速器「ILC(国際リニアコライダー)」もイノベーションの起爆剤になる。日本は今夏にも建設候補地を決め、誘致へ向けた動きを加速する。
ILCの加速器技術は宇宙誕生の謎を解明する基礎科学だけでなく、医療や新素材など幅広い応用が期待される。
このように、つくばをはじめ北関東の大学や研究機関には、イノベーションの基になる科学技術の種が眠る。
山本一太科学技術相が指摘するように「科学技術を産業に結びつける仕組み作り」を急ぎ、技術立国ニッポン復活への歩みを加速する必要がある。
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