2013年1月29日火曜日

ホンダ、3モーターハイブリッド――車輪駆動、個別に自在

 ホンダが3つのモーターを使う次世代ハイブリッド車(HV)システムを近く実用化する。モーターで後輪を別々に駆動して操作性を高める仕組みだ。クルマが約100年前に誕生して以来、曲がる力をハンドル操作に頼ってきた概念を変える革新技術だ。このシステムを搭載した初のモデルを今年後半に投入する。
 開発中の「スポーツハイブリッドSH―AWD」は車体前部にモーターを搭載し、エンジンと使い分けて燃費性能を高める。これは従来のHVと同じだ。違いは後輪をつなぐ部分に2つのモーターを置き、それぞれを自在に駆動するところにある。
 見せ場はコーナーリング時だ。内側で発生したエネルギーを電気的に回収して外側の車輪に与え、外輪の駆動力を内側より強める仕組み。これにより遠心力をおさえこんで、より安定して曲がることができる。
 外側の後ろ脚を強く蹴って自在に曲がる動物の走りから発想された新技術だ。ジーエス・ユアサコーポレーションとの共同出資会社「ブルーエナジー」が生産するリチウムイオン電池を搭載する見通しで、高出力を実現する。
 V型6気筒エンジンを搭載するHVながらV8以上の走りと4気筒を上回る燃費性能を実現した。伊東孝紳社長は「運転する楽しさが飛躍的に高まる」と自信をみせる。
 最初の搭載車種となるのが高級車ブランド「アキュラ」のRLXのHVモデルで、今年後半に北米で発売する。15年ごろに発売する予定のスーパーカー「アキュラNSX」にも搭載し、往年の名車が3モーターHV専用車として復活する。
 ホンダはこれまで1つのモーターを使うHVを展開し、今秋には次期「フィット」でより低燃費のシステムに刷新する。2つのモーターを使う新システムも北米で販売する「アコード」に搭載。3モーターHVの投入で、車業界に例のない3種類のHVシステムをそろえることになり、ホンダのエコカー戦略が加速する。

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