2013年1月29日火曜日

新ナノ炭素、量産技術、NEC、燃料電池の性能向上、電気ためやすい円すい状。

 NECは電池の性能を引き上げるとして注目のナノテク炭素材料で新たな素材の量産技術を開発した。これまで応用されていないユニークな円すい状で、電気をためやすい。燃料電池や蓄電部品の性能を大幅に高める。微細な構造に薬剤を閉じ込めて患部に効率よく送り込むDDSにも応用できる見込み。今後3年間で20以上の企業や研究機関に本格的に売り込む。
 量産するのは炭素原子が円すい状につながった材料。大きさは直径2~5ナノ(ナノは10億分の1)メートル、長さ40~50ナノメートル。NECは牛の角(ホーン)に似ているとして「カーボンナノホーン」と呼ぶ。
 NECは15年前に発見したが、高純度で大量に生産する技術の確立は難しかった。近年、燃料電池やDDSなどの用途が期待され始め、ナノ炭素材料の安全性の検証も進んでいることから、技術開発を急いだ。
 新素材は同じ重さならばナノ炭素材料で知られるカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)やフラーレン(球状炭素分子)と比べても表面積が大きい。燃料電池の活性炭の代わりに使うと、取り出せる電気の量を2~3割増やせる。
 高い圧力をかけなくても室温で炭素の固まり(黒鉛)を強い炭酸ガスレーザーで砕いて簡単に作る方法を見つけた。直径10センチメートル程度の固まりから純度95%で安定生産でき、産業応用に道を開く。
 レーザーの強度や炭素の固まりを回す速さを調整し、1日1キログラム以上生産する技術を確立した。数千万円を投じ、筑波研究所(茨城県つくば市)に製造設備を整えた。
 カーボンナノホーンは同社の飯島澄男特別主席研究員らが1998年に発見した。同社が構造や製造に関する基本特許を取得している。
 サンプル価格は1グラム当たり4万5000円。大量購入の場合には数百円台での提供を目指す。関連売上高は10億円規模が目標という。

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