2013年1月29日火曜日

火力発電停止最小限に、三菱電が制御システム、宇宙線・静電気に強く。



部品交換も短縮
 三菱電機は信頼性と操作性を大幅に高めた火力発電所制御システムを開発した。制御システムは宇宙線や静電気の影響など不可抗力とされる理由で半年に1回程度は再起動を余儀なくされ、発電は最低でも数時間止まる。新システムは再起動の必要がなく、稼働率が高まる。2013年後半に提供を始める計画。将来は新システムをベースに原子力発電所向け制御システムの展開も目指す。
 発電所制御システム「MELSEP5」は三菱電機にとって、約13年ぶりとなる新システム。
 現行の制御システムは宇宙線や静電気、近隣での工事用機器の影響により、半年に1回程度の頻度で再起動を余儀なくされている。通信機器のデータが一時的に送受信できなくなるためで、システムに異常がない場合でも点検のために数時間は発電が止まっている。
 新システムはデータを一時読み取れなくなっても周辺機器や前後の時間を参考にデータをリカバリーする機能を盛り込んだ。これによって、宇宙線や静電気などの影響で再起動が必要になることはほぼ無くなるという。
 約20年ごとの制御システムの更新にかかる手間も減らす。CPU(中央演算処理装置)や電源など電源系統の基幹部品を「モジュール盤」にまとめ、専用アダプターを介してプラモデルのように組み付けられるようにした。モジュール盤やケーブルを逐一取り外したり、部品交換したりする手間が無くなる。現行モデルでは半年かかる期間が1~2カ月で済む。
 火力発電所には国が定める定期点検期間があり、三菱電機は定期点検を使えば発電所を止める期間は実質ゼロになるとみている。
 操作性では、発電所の異常箇所を末端まで追跡できるように改善した。発電所の運転中に圧力上昇などの警報が出た場合、現在は広い敷地内のどこの場所に異常があるのか正確には分からない。保守担当者は警報を受けて現場に急行。どこに問題があるのか現場で確認することになる。新システムは詳細な設計図を搭載し、警報が鳴った段階で、保守担当者にどこへ急行すべきか連絡することができる。
 新システムの販売価格などは非公開だが、三菱電機は14年以降、年間10件の受注を見込む。同社によると、宇宙線や静電気といったこれまで不可抗力とされている要因による発電所稼働停止を防ぐ機能は世界初という。
 三菱電機は約30年前に火力発電所の電子制御システムに参入。同社が納入したシステムは国内で約60件が稼働中で、日立製作所、東芝に次いで25%程度のシェアを持つ。

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