2011年7月12日火曜日

人の染色体、早大、中心構造詳細に、ダウン症など解明に道

 早稲田大学理工学術院の胡桃坂仁志教授と立和名博昭助教らは11日、人の染色体の中心部分の構造を世界で初めて詳細に解明したと発表した。中心部分は、細胞が分裂するときに染色体分離の要となる部位。ダウン症やターナー症候群などの病気に深く関わるため、発症メカニズムの解明などに役立つ。成果は11日に英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。
 胡桃坂教授らが構造を解明したのは、染色体の中央にあるくびれの部分で「セントロメア」と呼ばれる領域の基本構造。DNA(デオキシリボ核酸)が4種類のたんぱく質を包み込んで、両端を広げているような構造をとっていた。この基本構造が30個ぐらい集まってセントロメアを形成していると考えられるという。
 セントロメアを構成するたんぱく質は量が少ないため、人の染色体から精製して解析することができなかった。研究チームはセントロメアを構成する4種類のたんぱく質に注目。遺伝子組み換え技術で大腸菌に人工的に作らせ、DNAと一緒に試験管の中で反応させ、できた結晶を大型放射光施設「Spring―8」で解析した。
 人の染色体はセントロメアのくびれに紡錘糸がくっつき2つに分離されて、細胞分裂が進む。これまで染色体の末端「テロメア」の構造はわかっていたが、セントロメアはわかっていなかった。

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