スイスの医療機器メーカー、メデラの日本法人(東京・江東)は乳児が母親の乳首から母乳を吸わなくなる「母乳拒否」を起こりにくくする工夫を凝らした人工乳首と哺乳瓶を日本市場に投入した。母乳には子どもの免疫力を強める物質が多く含まれるため、母乳育児への関心が高まりつつある。同社は新製品をテコに日本市場開拓を強化する。
哺乳瓶の人工乳首は従来の一般的な製品は長さが1センチメートル程度だが、同社の新製品は1・5センチメートル程度に伸ばし、乳児が力を入れて吸わないとミルクが出てこない構造にした。
人工乳首の中心部には針程度の大きさの穴しか開いておらず、逆さにしても中身は出てこない。
同社は授乳時の乳児の口の中の圧力や口の開き方など、口の中の動きの研究を重ね、実際に母乳を吸っている感触を得られるような人工乳首にしたという。このため母乳拒否が起こりにくいとみる。
人工乳首とマルチ蓋の価格は1900円(税別)、150ミリリットルの母乳ボトル付き(マルチ蓋2個入り)は2200円(税別)。日本では大手百貨店や子供用品店などへの販路を開拓する方針。働く女性の母乳育児の障害を取り除ける新たな哺乳瓶として拡販を目指す。
メデラは1961年の設立。主力製品は「搾乳機」で、病院向けに痰(たん)などの気道吸引器なども手掛ける。日本では搾乳機を中心に、新生児向けの高ビリルビン血症治療用の光線治療システムを販売している。非上場のため売上高などは非公表。従業員は世界で1000人以上いる。
▼母乳拒否 乳児が吸う努力をしなくてもミルクが出てくる哺乳瓶を使って、乳児がそれに慣れてしまうと、母親の乳首を吸わなくなる「母乳拒否」という現象。口を大きく開けて乳首を吸わなくても栄養が取れるため、乳児に“怠け癖”がついてしまうことが原因といわれている。
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