2011年7月12日火曜日

電流流すと微小振動発生、触覚、形状記憶ワイヤで、香川大など技術開発

携帯やカーナビ応用
 香川大学工学部の沢田秀之教授と産業用電子回路開発のエスシーエー(香川県丸亀市、内田啓治社長)は、形状記憶の極細ワイヤを使って指や手のひらで文字などを読み取る技術を開発した。ワイヤに電流パルスを流し、微小振動を触覚として感じるようにした。手袋や自動車のハンドルに貼り付けたり、視覚障害者などが利用する携帯電話に組み込んだりすることで、触覚を利用した新たなデバイスとして応用できる可能性がある。
 沢田教授らが開発したのは、直径50マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル、長さ3ミリの形状記憶ワイヤをアーチ型に丸め、基板に設置した微小振動子。電流を流すと、ワイヤが1~2マイクロメートル縮み、止めると元に戻る。基板に電流の増幅装置をつけて、電流を流す時間などを調節する。1秒間に30回程度オンとオフを繰り返すと、ワイヤの伸縮で指や手のひらでざらざらした触覚として感じるという。
 この微小振動子を複数個並べて、振動子の間に0・4秒ずつ時間差を作って電流を流し始めると、アルファベットなどの文字として認識できるという。ワイヤが細く振動子も小型のため、消費電力は数十ミリワット程度で動かせる。
 グループは自動車のハンドルの表面に振動子を複数個埋め込み、カーナビの動きに連動させて振動子に電流を流すシステムを試作した。カーナビで右折の指示が出ると、ハンドルを握る手に、右に回すのを促すような触覚が生じるという。
 このほか、パソコンなどのタッチパネルの表面に埋めて触覚を感じるディスプレーや、背面に埋めれば握ったままで届いたメールを触って読み取れる携帯電話などに応用できると見ている。
 これまで触覚を感じる素子は多数のピンなどで作ることが多く、モーターなどで動かす必要があった。このため消費電力が大きくなり、応用範囲が限定される原因となっていた。

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