2011年7月12日火曜日

バイオVBのジナリス、PET樹脂を薬品原料に、大腸菌で分解、製造コスト安く

ペットボトル 再資源化の用途拡大
 バイオベンチャーのジナリス(横浜市、西達也社長)は化学品を分解する微生物を使い、使用済みペットボトルなどを再資源化する技術を開発する。ボトルなどの材料に使われるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から薬品原料を低コストで製造する方法にメドをつけた。廃ボトルの新たなリサイクル用途として注目されそうだ。
 PET樹脂はテレフタル酸類を主原料にしている。ジナリスはこのほど、バイオ医薬品などに使われる遺伝子組み換え技術を活用して、テレフタル酸類を分解する酵素を出す大腸菌をつくり出した。分解によって、医薬品や農薬の原料などになるプロトカテク酸や没食子酸を得られる。
 プロトカテク酸は化学的に分解する方法で製造されており、多段階の反応工程を経るため複数の設備が必要になる。ジナリスの技術は大腸菌にテレフタル酸類を与えるだけで済み、製造コストを従来の1割程度に抑えられる。2日間で培養液1リットルあたりプロトカテク酸50グラムを生産でき、「バイオ技術を使った他の化学品の生産性と遜色ない」(西社長)という。
 今後はこの技術と、PET樹脂をアルカリ性溶液でテレフタル酸類に分解する手法を組み合わせる。同手法が微生物に影響を与えないかどうかなどを検証し、来春をメドに一連のリサイクル技術を完成させる。
 国内で回収された使用済みペットボトルは9割以上が繊維やシートの原料になっている。廃ボトルの樹脂を使って新たなボトルをつくる取り組みもまだ少数派だ。ジナリスの再資源化技術が確立すれば、用途拡大や、より付加価値が高いリサイクルが可能になる。
 ジナリスはまず、テレフタル酸類からプロトカテク酸などを量産する技術について化学メーカーなどと組んで事業化をめざす考えだ。
 同社は2002年設立で、独立系ベンチャーキャピタルの東京大学エッジキャピタルなどが出資している。今回の新事業を成長をテコに、現在数億円程度の売上高を3年以内に10億円以上に拡大することをめざす。

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