2011年7月19日火曜日

半導体ウエハー、表面状態1秒で観測――東北大が新顕微鏡、微細化に一役。

東北大学の板谷謹悟教授と大見忠弘教授らの研究グループは、半導体の製造工程でのシリコンウエハー表面の状態を高速で観測できる光学顕微鏡システムを開発した。従来、シリコンウエハー表面を観測するには数時間から数十時間かかったが、新システムは1秒程度で原子レベルの配列を把握できる。将来は半導体の製造・検査工程に組み込めるとみられ、微細化・高密度化が進む半導体の品質安定と大量生産を支援するシステムとして期待される。
 既存の光学顕微鏡の部品を改良するとともに、計測方法も工夫してシステムとしてのノウハウを積み上げた。その結果、空気中や水溶液中で化学反応させたシリコンの原子配列の段差などを観察できた。0・1ミリメートル角の範囲で1秒以下という高速の観測を可能にした。
 半導体は、基板となるシリコンウエハーを熱したり化学反応で削ったりしながら回路を形成していく。板谷教授らによると、半導体の微細化が進むなか、製造過程でシリコンウエハー表面に微妙な凹凸やひずみも生じやすく、半導体の性能や品質に影響する恐れもあるという。
 表面の状態を調べるには、電子線を照射しながら表面画像をコンピューターで読み取る「走査性電子顕微鏡」を使う方法などがある。ただ現状の方式は計測に時間がかかるうえに観察範囲も数マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル角と狭く、製造ラインに組み込むのは難しいという。板谷教授らは今回の技術をもとに半導体製造装置メーカーなどと協力して、製造工程に組み込める検査システムとしての実用化を目指す。

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